「最近は5月病ではなくて6月病になって会社を辞める人が多い」なんて言われるようになって数年が経ちました。今日もどこかで「辞めたいです」と言っている若手社員、言われている管理職がいるかもしれません。

 

「辞めたい」とか「今後の相談したい」と言われたとき、どんな対応をする方が多いでしょうか?私がセミナーなどで部下からの「辞めたい」という相談にどう対応するのかというケーススタディをすると、圧倒的に多い回答が「とりあえず飲みに連れていく」です。さらに、飲みに行った場面でどんな風に部下と接するのかを寸劇風にやってもらうこともあります。接し方は人それぞれですが、よく出てくる言葉が「石の上にも3年って言うしね」というセリフ。私の記憶が確かなら、ケーススタディをやってもらい、飲みに連れていく→「石の上にも3年」のコンボが一度も出なかったセミナーは過去にありません。

 

厚生労働省は新卒入社の3年以内離職率を公表していますが、そもそもなぜ3年なんでしょうか?1年じゃダメなんですか?4年じゃダメなんですか?とも思います。

大卒新卒者の場合は3年後には25歳と区切りが良いというのはありますが、それなら高卒は2年で成人するわけですし、統計を取り出した当初は高卒の大学進学率は50%以下だったはずで、大卒を中心に考えたというのも無理がある気がします。結局、3年以内離職率にしているのは「なんとなく3年」でしかないと思うのです。

むしろ「石の上にも3年」というから、とりあえず3年以内の離職者を取ってみようというくらいの感覚ではないかとすら思えてきます。


日本人の心に刻まれている(?)「石の上にも3年」ですが、退職を考えている若者に向ける言葉として適切だとは思えません。少なくとも、私が多くの方にインタビューをしてきて「石の上にも3年」と言われたから思いとどまったという人はいません。「とりあえず3年くらいはやろう」と決めて、3年ぴったりで退職するケースはいくつか見られましたが。

 

むしろ、3年以内で辞める人の中には「3年すら続けられなかった」という負い目を感じている人も少なくありません。私自身もそうです。「石の上にも3年」なんて言葉は知らない人の方が少ないくらいで、その言葉をかけられたから「もう少し頑張ろう」となる人は少数です。ほとんどの場合は「3年くらいはやった方がいいとわかっているけど、無理」と思っているの
です。だとすれば「無理」と思っている原因を聞いてあげることの方が大切です。

 

原因がすぐに解決できるものなら、解決すればいいだけです。

また、若手社員であるが故に、問題のないところに勝手に問題があると思ってしまっているケースや、事実をとらえ違えているケースもあります。転職エージェントや広告に煽られて、他の会社に行けばバラ色の人生が待っていると勘違いしている場合などです。そういうときは「そんな事実はない」ということを理解してもらうことも大切です。

 

管理職のみなさまには、相談を受けたときに「石の上にも3年」以外のバリエーションを増やしておくことをおすすめします。

 


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