さまざまな離職対策に取り組む企業にお話を聞く企業インタビュー。
今回は、株式会社グッド・クルーの執行役員である野村尚史さんにお話をお聞きしました。
同社はHRコンサルティングや人材支援、就職支援、キャリア形成支援サービスをおこなっています。野村さんは採用担当兼セカンドキャリアエージェントという立場で離職対策や人材育成のためにさまざまな取り組みを実施しています。
今回は離職対策や人材育成の具体的な施策について、早期離職.comを運営する株式会社カイラボ代表取締役の井上がインタビューをおこないました。
記事は前編と後編に分かれています。
インタビュー
1.社員の定着や活躍につなげるための施策
さっそくですが、グッド・クルーでおこなっている離職対策や人材育成の施策について教えていただけますか?
育成面以外では何か取り組みはあるのでしょうか?
とくに社員採用に関して、今季は新卒と中途で合計200名以上の採用数を追い、社員の定着や個人の活躍にも繋げる採用をやっていく工夫をしています。
そのために、まずエンプロイージャーニーマップを構築しました。
2.エンプロイージャーニーマップとEX(従業員体験)
弊社のエンプロイージャーニーマップはいわゆるEX(Employee Experience:従業員体験)だけではなくてCandidate Experienceつまり候補者体験(以下、CX)も描かれているのが特徴です。候補者のうちから、どうアプローチをするのかを考えています。
エンプロイージャーニーマップを活用して入社後に活躍するイメージはもちろん、退社・退職するときのイメージも持って採用をおこなうようにしています。
ですが、採用側としては出会ってからがその方のCXのスタートなので、出会った瞬間から入社後の活躍のイメージをして、そのイメージから逆算して「選考時の面接は誰がやるのか?」という部分まで構想しています。
EXという概念自体は最近出てきている印象はありますが、言われてみるとCXの考え方も大切ですね。
順番としては、いわゆる入社後のEXが先にあって、候補者が応募してきてから入社するまでの設計を考えるようになった感じなのでしょうか?
どのような人を採用したいのかペルソナ設計をした後、ペルソナを採用するためにはどのような募集をしないといけないのか、最後から最初までを一気通貫させたマップを作りました。
施策の効果は2年後3年後にならないとわからないんですが、離職率が徐々に解消していく感覚は得られていますね。
最初はお客様扱いなのに、言い方が悪いんですが入社したら奴隷扱いみたいな。
エンプロイージャーニーマップについてもう少し教えてください。カスタマージャーニーマップで言うと、ペルソナ設定がぶれていることで個別の戦略に落とし込むときにぐちゃぐちゃになるケースもあると思うんですが…エンプロイージャーニーマップは1パターンだけなんでしょうか?
今、社内でさまざまな施策が走っているんですが、これまでは一つひとつの施策がどんな理想に対してやっているのかが可視化されていませんでした。これをエンプロイージャーニーマップを活用し、理想の状態を明確にしました。
たとえば「〇〇さんは今こういう状態でこのフェーズだったら理想の状態はこの状態だから、このギャップを埋めるためにどんな施策が必要かな?」のように、名前を出しながら施策構築の道しるべに使っています。
そのため、何か新しい施策を走らせるときの議論には、必ずエンプロイージャーニーマップを引っ張り出して「今〇〇さんはどのフェーズでどの状態を目指したいのか?そのためにどのようにギャップを埋めていくのか?」という話をしています。
人事の施策は、やったらやりっぱなしになったり、立ち消えになったりしがちですもんね。
エンプロイージャーニーマップは完成しているので、今年度はそれを1つの基準にして、施策を走らせていこうと動いています。エンプロイージャーニーマップは毎年ブラッシュアップしていく予定です。
今後、新卒の人材紹介の事業も伸ばしていく予定なので、そこと交えながらアルバイトの就職活動を支援するというゴール設定も描けるかなと思っています。
一番多いのは、大学卒業して就職活動を継続してやっている層ですね。
自分の希望通りにならなかった、いわゆる不本意な就職みたいな人たちを採っていくみたいな。
3.社員が辞めるときの出口戦略からEXを考える
理想の辞め方は、弊社を辞めた後も口コミとして友達に紹介してくれたり、リファラル採用したりできるような関係がある状態ですね。いずれは、アルムナイのコミュニティを作りたいので、そこに繋がるような辞め方をしてもらいたいと思っています。
一方で現実はかけ離れていて「どうして〇〇さんは辞めたんだろう…」というケースがあります。この部分をかみ砕いていくと、辞めた理由に着眼点を当てざるを得なくなっていくんです。
そのため、エンプロイージャーニーマップを作るときは、関わり方や社内での機会創出方法、評価方法など、こういった部分にフォーカスを当てて「〇〇さんはなぜこうなってしまったんだろう」と名前を出してメンバーとすり合わせをしました。
後編ではエンプロイージャーニーマップを活用した具体的な施策についてお聞きしました。
後半はこちらから
株式会社グッド・クルーのご紹介
会社概要
社名:株式会社グッド・クルー
資本金: 8億4,626万円(グループ全体)※資本準備金含む
設立: 平成18年7月10日
本社所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ32F
Webサイト:https://www.good-crew.co.jp/
売上高:260億(グループ連結2022年度見込み)
関連会社
・株式会社ディ・ポップス
・アドバンサー株式会社
・株式会社STAR CAREER
・株式会社graghD
・株式会社フェイスフル
・opzt株式会社
・株式会社テックビーンズ
・株式会社アットマーク・ソリューション
インタビューにご対応いただいた野村尚史さんプロフィール
野村尚史さん略歴
株式会社グッドクルー
ヒューマンリソースコンサルティング事業部
リクルート担当兼セカンドキャリアエージェント担当
執行役員
高1で将来は建築構造設計職になると決意し、大学・大学院と建築を学び戸田建設へ就職。憧れの仕事についたが、「イキイキ仕事してる人が少ない。ものづくりの根底には人がいるから、まずは働きがいを作らねば!」と決意して、未経験の人事領域の仕事を目指し転職。採用担当を経て現在は企業価値創造部という、組織開発や人材開発、人事評価、採用までを担う。
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