ヴィーガンである自分の価値観から顧客企業と相いれず退職　2021年卒女性

1年生から一貫してボランティアをしていました。学習支援のボランティアが盛んな地域だったので、特別支援学級でのサポートや学童の学習支援などをやっていました。有償のボランティアなので感覚的にはバイトに近く、ほぼ毎日やっていました。
大学の授業と授業の合間にボランティアに行って、そのあと授業に戻ってくるなんてこともありましたが、充実感を持って取り組んでいました。

もともとボランティアや教育関係に興味があったわけではなく、たまたま学内のボランティアセンターに行ったら募集をしていて、やっていくうちに面白くなっていきました。また、3～4年生の時には子ども食堂の活動もしていて、卒論も子ども食堂について書きました。

料理が好きだったので、最初は食品系の会社を受けていました。食品系の中でも　SDGｓへの取り組みがしっかりしている企業が良いと思っていたので、結果的に大手の食品系ばかりをうけていましたが、全滅でした。
今思うと、食品会社に就職すると最初は営業職になりますが、私は営業職向きではないので受からなかったのだと思います。

改めて自分は何がしたいのか考えたとき、ボランティアで地域に根差した活動をしてきたことを思い出し、そこで「地方創成」というキーワードが自分の中で浮かんできました。リクナビで「地方創成」といキーワードで検索して出てきたのが前職のIT企業でした。

当時はITに興味がありませんでしたが、説明会を聞いたら社員の方が将来を語る姿を見て感銘を受けて、こういう人がいる職場なら新しいことにもチャレンジできると思い入社を決めました。就職活動が終わったのは4年生の5月頭でした。
コロナの影響で基本的に就活はすべてリモートでしたが、1社だけ会社に来て欲しいと言われ、行ったら集団面接だったことがありました。

入社前には特に研修はありませんでしたが、内定者交流会と社員との座談会が月に1回くらいありました。すべてオンラインで出社したことは一度もありません。

最初の1週間くらいは配属先に関係なく全員でビジネスの基礎をEラーニングで学びました。他にも外部講師の方が来て自己分析的な内容の研修もありました。
2週目からは部署別に分かれて営業の人たちはOJTが始まっていました。私はIT事業部だったので、ITに関する基礎知識を学ぶために外部の教育プログラムでHTMLやCSS、PHPなどを約1か月間学び最後にオリジナルWebサービスをつくりました。

6月頃になるとチームに分かれて社内の課題を解決するためのプロジェクトに取り組みます。業務の効率化などができる仕組みのプロトタイプをつくり、最後は社内でプレゼンをします。7月からはOJTで実際に業務がスタートしました。
研修もOJTもすべて在宅でオンラインでしたが、配属は東京だったので都内に住んでいました。

OJTといっても、お客さんと接する仕事をする前に退職したので、お客さんと接することはしませんでした。まずはRPAの基礎を学ぶ期間だったので、メンターがついて、メンターが朝会や夕会などのタイミングで毎日課題を出してくれるので、その課題に取り組むという形でOJTが進んでいました。

きっかけは顧客先です。会社自体は研修もしっかりやってくれるし、私のメンタル面も心配してくれる良い会社だったのですが、顧客先が製薬業界や化粧品会社でした。
私はヴィーガンなので、お客さんが動物実験をしている会社とわかってから、仕事に対して気持ちが入らなくなってしまいました。

ただでさえIT業界という自分にとっては新しいことで戸惑うなか、動物実験をする企業に役立つことをしたくないという気持ちで仕事が辛くなってしまいました。

辞める2週間くらい前に人事や上司、先輩に相談しました。最初は人事の方に相談したところ「それは、辛かったね」と言ってくれました。その方は「人事としては頑張ってと言いたいけど、別な道を選ぶのもいいと思うよ」と言ってくれました。
他の上司や先輩も同じように言ってくれました。なので会社と揉めたわけではなく、良い形で辞められたと思います。

顧客先が化粧品業界などになったのは偶然です。顧客アカウント別に部署が分かれているので、他の部署にうつることも検討しましたが、人数調整や適性、お客様との契約があるため難しく、部署を異動しても、やはりどこかでヴィーガンの価値観に反することに繋がってしまうと感じていたため、続けることは考えませんでした。
本当はOJTを終わってから辞めようと思っていたけど、お客様対応がはじまる前に辞めた方がいいということで8月初旬に退職となりました。

同期の中で仲の良かった1人には「仕事のことでもやもやしている」という相談をしたことはありました。
親には相談はせず、辞めたことも事後報告でした。最初に報告したときは驚かれて「これからどうするの？」と聞かれました。

会社が悪いとは思っていません。退職することになったのは、就活が終わってから自分の価値観が変化したことが大きいと思います。

私がヴィーガンになったのは大学4年生になってからです。コロナの影響で環境問題に興味を持つようになり、インスタグラムで偶然ヴィーガンを知り、そこから自分もヴィーガンになりました。
もし入社前に取引先がどういう会社なのかわかっていれば入社前に辞退することもできたかもしれません。

ちょうど人事に辞めたいと相談していた頃、学生時代からつながりのあったNPOの代表へ連絡したところ「うちにきてほしい」と声を掛けられ9月からアルバイトとして働いています。10月から正社員の予定です。

大学4年生の頃からリモートでボランティアをやっていたNPOで、実は学生時代にも「うちで働きませんか？」と言われたこともありましたが、前職に内定しているタイミングだったのでその時は辞退しました。業務内容はヴィーガン向けの食品に関する認証や審査です。

2～3年は今のNPOでヴィーガンの選択肢を広げていく仕事をしたいと思っています。
将来的にはフリーランスで仕事をしていきたいです。今もヴィーガンのレシピをインスタグラムで発信しているのですが、そのおかげで食品会社からレシピ開発の声がかかったこともあります。そういう形で仕事をしていけないかと考えています。

フリーランスになりたいのは　組織、時間、場所に縛られずに働きたいという気持ちからです。もともとHSP（Highly Sensitive Person：非常に感受性が強く敏感な人）の傾向があり、一人で仕事をするのが好きだからです。

決まった場所に出社する仕事よりも、在宅で仕事をする方が自分には合っていると思います。そういう気質のある私でも学生時代のボランティアには充実感を感じられたのは、感謝されるのが嬉しかったからだと思います。それに、子どもたちから元気をもらえるのが原動力になっていました。