インタビュー概要

2020年3月関西外語大学短期大学部英米語学科卒業。学生時代はアルバイトやサークルなどに力を入れる。思い入れのあった化粧品ブランドの会社に第一希望で入ったが、将来の事が不安になる。
しかし、職場が誰にも相談できる環境ではなく、日に日に退職の気持ちが募り入社4か月で退職届を出す。今は妊娠を機にウェブデザインを目指して勉強中。

退職者情報

職種接客業(化粧品販売)
最終学歴短期大学
きっかけ給与面と業務面で将来が見えない、人間関係
決め手働き続けることが現実的ではないと思い、スパッと辞めることを決意

退職企業情報

業界美容業界
規模中小企業
上場有無未上場

インタビュー

第一志望の会社に入社できた就職活動

インタビュアー
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本日はよろしくお願いいたします。まずは学生時代のことを教えてください。

中学生の時から化粧が好きで、美容に興味がありました。高校卒業後の進路を考えた時に、本当は美容専門学校に行きたかったんですが、専門学校だと人間関係が偏ってると思ったので、人脈を広げたいと思い短大を選びました。勉強は好きではなかったので4年生大学は選択肢にはなかったです。
短大時代はソフトボールサークルを頑張ったのと、アルバイトはキャバクラをやってました。キャバクラは短大を卒業してからもお店を変えながら最近までやってました。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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そんな中で、就職活動はどのように進めましたか?

1年生の3月くらいに、大学への編入組と就職組に分かれるんですが、もう勉強はしたくなかったので、就職を選びました。3~4社くらいの会社説明会に参加して、実際に受けたのは2社でした。前職の会社は第一志望だったので、化粧品ブランドの美容部員として内定をもらった後は、就職活動を終えて学生時代を謳歌してました。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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第一志望の会社だったんですね。なぜ、前職の会社に就職したかったのですか?

母親がずっと大事に持ってた化粧品の空きビンがあって、「なんでこれ捨てないの」って聞いたら、それは昔父親が母親にプレゼントしたものだと教えてくれたんです。慣れない化粧品売り場で、父親が美容部員の人に話を聞きながら、母親のために買ったと思うと捨てられなかったそうです。母親は父親のその気持ちが嬉しかったんだと言ってました。
そんなエピソードを聞いて、私も思い入れのあるブランドになりました。就職する際は、どの化粧品ブランドの会社でもよかったんですが、やっぱり思い入れのあるブランドの会社に入りたいと思い、その会社を第一志望として受けました。すぐに内定が決まったので、その会社に決めました。就職活動を終えた後で母親にそのことを伝えると、実は私の勘違いで、父親が買ってくれたのは違うブランドだったそうです(笑)。でも、受かっちゃったし、いいかなと思ってその会社に入社することに決めました。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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素晴らしいエピソードですが、そんなオチがあるなんて・・・。就職活動で、軸のようなものはありましたか?

自分ができそうなこと、できること、やりたいこと、に絞りました。やりたいことは、化粧品などの接客業でした。それ以外の業界は頭になかったです。
高校の時から、飲食店やアパレルなどの接客バイトをしていたので、人と世間話をしながら商品を勧めたりするのが好きでした。「ずっと喋ってなさい」と言われればずっと喋ることもできるので、キャバクラのバイトも苦ではなかったです。
ご本人
ご本人

入社後に遭遇したギャップ

インタビュアー
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できそうなこと、できること、やりたいことで考えた結果、接客の仕事だったんですね。入社してからの話も聞かせてください。入社前の研修はどんなものがありましたか?

内定が2019年8月に出て、内定者の研修は2020年3月に2週間くらいありました。ちょうどコロナが流行り出した年で、本当は対面の研修だったんですが、オンラインになってしまいました。本当だったら、内定者同士でメイクをし合ったりするはずだったんですが、オンラインでの講義になってしまったので、その研修はできなくなりました。オンライン研修では、Zoomでメイクの仕方などを教えてもらいながら、送られてきた化粧品のサンプルで自分自身で試してみたり、家族にメイクをしたりして練習しました。同期は50人くらいで、私と同じ商品ブランドの販売をする同期は10人くらいでした。
ご本人
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インタビュアー
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入社後の研修はどのようなものでしたか?

入社式はオンラインで、研修もずっとオンラインでした。百貨店が5月半ばくらいまでは自粛で閉鎖しているので、その期間は配属されませんでしたし、オンラインで研修しているので、入社した実感がなかったです。
研修内容は、接客練習、トークスクリプト、商品知識の勉強、化粧品の基礎知識、会社の説明などでした。プレゼン資料を作ったりもしてました。
私は4か月で辞めてしまいましたが、同期に聞いたら、入社後の研修はその後はほとんどなかったみたいです。
ご本人
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インタビュアー
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接客業でオンライン研修だと、感覚が掴みにくいですよね。配属後の仕事内容はどんなものでしたか?

5月半ばに百貨店が再開したので、私は大阪の百貨店に配属されました。主な仕事は、店舗に来た人への接客、品出し、顧客管理、キャンペーン情報の提供、商品陳列、在庫管理でした。
ご本人
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インタビュアー
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お話を聞いていると、入社前後でかなりギャップがあるように感じました。どんなギャップがありましたか?

配属後、最初の1か月は忙しすぎて他の事を考える余裕がなかったです。働いている人は綺麗で華やかな人が多いけど、「思っていたキラキラじゃないな」と思いました。自分の描いていた理想と違い、現実を見たような気がしました。
私の思っていたキラキラは、外見が綺麗で、しんどいことは少ない職場というイメージでした。実際は、高いヒールを履いて何時間も立っている仕事だったので、体力的にしんどかったです。そういうしんどさがあるのは想定外でした。でも、仕事内容は楽しかったですし、お客さんと話せるのはよかったです。
ご本人
ご本人

相談できる人がいたら会社を辞めなかったかも

インタビュアー
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会社を辞めようと思ったきっかけはどのようなものでしたか?

先輩の姿が、やめようと思ったきっかけです。先輩や店長、副店長、資格を取った人や賞をもらった人の給料を調べたり聞いたりして、自分の給料と劇的に変わるわけではなかったですし、この給料では未来が見えないと思いました。
もう一つのきっかけは、副店長が意地悪だったことです。ある中学生が来店した時に副店長が対応して、スキンケア商品を勧めたんですが、中学生はその商品に興味がなく、買わずに帰っちゃって、その後で副店長が裏で意地悪な愚痴を言ってたのを聞きました。あと、副店長から他の同僚へ、無視などのいじめがありました。自分は標的ではないけど、こんな意地悪なおばさんになりたくないし、ここで働いてここに染まっちゃったら、自分もそうなってしまうのではないかと思い、辞めようと思いました。
今考えてみると、そもそもこの会社に入ることがゴールになってしまって、本来自分が何をしたいのか、どうなりたいのかというのが不明確だったと思います。給料も低いし、体力的にきついし、人間関係も良くないし、続けていくこと自体が現実的ではないと思いました。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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辞めたい気持ちが強まる出来事はありましたか?

常にモヤモヤしながら働いていました。大きな出来事はないですが、私は決めたら即行動するタイプなので、ある日突然「決めた、辞めよう、行きたくない」というスイッチがオンになってしまって、そうなったら次の日からもう行きたくなくなっちゃって、2〜3日間休みました。それで次の日には上司に辞める意思表示をして、退職届を持って行って、その日は働かずに帰ってきました。それであとは書類だけの手続きで済ませました。
ご本人
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インタビュアー
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辞める時は、誰かに相談しましたか

誰にも相談してなかったです。
同僚や先輩とかに話をする機会がなかったですし、そういう雰囲気というか環境ではなかったですね。仕事の話しかしたことなくて、関係性も築けてなかったので、心を打ち明けられる人がいなかったんです。私の店舗には同期がいなかったので、なんとなく壁があって話し掛けづらかったです。上司からの関わりもなかったですし、お昼もバラバラで食べてましたし、仕事以外のコミュニケーションはほとんどなかったです。
辞めると言った時の上司の反応は「突然やなー」「この期間までは働いてもらわないと困る」みたいなことを言われましたが、「精神的にきついので」という理由を伝えて辞めました。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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相談もできなかったんですね。もしもの話で、どうなっていたら仕事を続けられましたか?

仕事自体は好きだったので、少しでも周りに話ができたり、相談ができる環境があったら続けられていたと思います。それと、本社の人と相談できる環境があればよかったと思います。職場の人には言いにくいことや、やりにくいと思うことが言えたと思うので。もうちょっと打ち解けて、心を開いて相談をしたかったです。辞めることを決めた時、完全に自分の心は閉じていたと思います。エリアマネージャーは入社の時に話したくらいで、その後は話したことがなかったですし、年齢も上すぎて気軽に話せなかったです。同期も職場が離れていたので、悩み相談もできなかったですから。
新人のために、1か月に2~3回くらいメンターのような人が来ていましたけど、仕事のコツとかを教えて帰るみたいな感じで、悩み相談などを出来るような雰囲気ではありませんでした。
ご本人
ご本人

会社を辞めてから今に至るまで(今後の展望)

インタビュアー
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続けられるチャンスはあったということで、会社としても悔やまれますね。今はどのような状況で過ごしているんですか?

派遣登録したり、いろいろな仕事を試してみたんですが、ピンとくるものが無くて。それで、自分を見つめ直そうと思い、人生の長い夏休みのつもりで、2022年5月~2023年4月まで沖縄に行きました。沖縄でも、キャバクラで働いていました。
ちゃんと働こうと思ったタイミングで、知人が美容サロンを東京で経営する話を聞き、2023年4月に上京しましたが、5月には妊娠が発覚しました。なので、いったん美容サロンの方は保留にして実家に帰り、今は出産後のことを考えて、働くための勉強をしています。
ご本人
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インタビュアー
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今は将来のことを考えて学び始めてるんですね。今後のキャリアの展望や、将来の目標などを教えてください。

1人で子供を育てていくことを決心したので、子供が産まれた後も子育てをしながら働くために、ウェブデザインの勉強をしています。シングルマザーだと、時間の融通が利いて在宅の方がいいと思ったので。もし会社に勤めたとしても、フリーランスでも働けるようなスキルを身に着けたいと思っています。最終目標はフリーランスで働くことです。
妊娠をきっかけに、働き方の考え方は変わりました。美容部員は夜も遅いので、結婚して子育てをしながらずっと働くのは難しい職場だとは思います。子供ができても働きやすそうだなと思い、ウェブデザインの仕事にたどり着きました。
ご本人
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インタビュアー
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生き方を踏まえて働き方を考えてるんですね。早期に会社を辞めた身として、早期離職に対して思うことはありますか?

無理に続けなくいいと思います。それは、本当に思います。会社側も、早期離職に対処できるようなサポート体制があった方がいいですね。誰か話せる人が職場にいたり、本社にいたりしないと、早期離職は止まらないでしょう。同期のコミュニティとかもあったらいいですね。
ご本人
ご本人

インタビュアー
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「自分1人で生きていく」という感じではなくて、いろいろな人との出会いを大切にしながら世の中に貢献していこうという気持ちを感じたので、応援したいなぁと思いました!赤裸々にいろいろと語っていただき、本当にありがとうございました!