4月の新入社員研修シーズンが終了して、毎年5月、6月はイベントが多くなる季節です。
今年は仕事と重なってあまり参加することができなかったのですが、それでも5件ほど講演会等に参加してきました。
ああいったイベントのほとんどは参加企業がお金を払って講演をしているので、結局は宣伝のための講演です。そのため、ひたすら自社が手掛けた成功事例を話すというタイプの講演会も少なくありません。
ひどい会社になると、若手社員が会場内を囲っていて、講演が終わった瞬間に名刺交換してくださいタイムに変わるところさえもありました。
私の会社でも他社の成功事例を聞かれる機会が多くあります。
お客さんとしては他社ではどんな実績があるのか気になるのは、ある意味当然のことです。ですが、私は他社の成功事例そのものにはほとんど価値がないと思っています。なぜなら、成功の要因がどこにあったのかがわからないからです。
成功の要因はお客さんの努力にあったのか、手伝った会社(=講演会をしている会社)にあったのかわかりません。基本的にはその両方があったから成功しているわけですが、その努力の度合い、比率もわかりません。さらに、その成功の方法論を他社にも転用できる状態にしているのかどうかも非常に重要です。
個人的には、外資系コンサルティング会社などは、一社での成功事例を他社にも展開できるように汎用化する技術が非常に高いと感じています。一方で、営業力命の日本のベンチャー企業などは、基本的に営業マン(〇〇コンサルタントという名前がついている場合が多い)の能力に左右されるため、同じ会社に頼んでも当たり外れの振れ幅が大きいというケースも少なくありません。
多くの会社に転用できるように汎用化した例が、いわゆるフレームワークというやつです。外資系コンサルティング会社が考えたフレームワークが巷にあふれているのはこのためです。
ただ、当然フレームワークだけでは物事はうまく進みません。
今後は、フレームワークを現場にあった形にカスタマイズする力が必要です。むしろ、ここがコンサルタントの腕の見せ所だと思います。
社内プロジェクトで他社の成功事例を一生懸命勉強して、自社内展開をしようとしても失敗する理由はここにあると思っています。他社の成功事例から成功の要因を抽出して自社に合うようにカスタマイズできないのです。
実は、人材系のコンサルティング会社でも現場にカスタマイズする力が非常に弱いと感じる会社が増えています。そういう会社は頼るものが他社の成功事例しかないので、ひたすら成功事例を連呼します。確かに成功事例があることは素晴らしいことではあるのですが、それだけには何の価値もないと思うのです。
本当に価値があるのは、成功事例から成功の要因を抽出して、さらにその要因を他社にも当てはまるようにカスタマイズする力です。
お客さんから某人材系の会社への愚痴を多く聞くようになったので、なぜそういう会社がダメなのか、自分の頭の整理も兼ねて考えてみました。