4月、5月の新入社員研修がひと段落し、6月からは一般社員に対するスキルアップ研修や、OJT担当者に向けた育成担当者研修、昇格者に向けたマネジメント研修などが毎週入っています。

一言に研修といっても、新入社員研修と一般社員向けのスキルアップ研修、マネジメント研修など、それぞれ内容はまったく異なったものになっています。
特に一般社員、管理者層向けの研修では「明日から使える」ことが求められることが多くなっています。

一方新入社員研修の場合、企業にもよりますが「すぐにつかえる」ことよりも、現場に入ったときに「あの研修の意味はこういうことだったのか!」とわかるような仕掛けを求められることもあります。
また、スキルアップというよりも、社会人としての心得であったり、知識を与えることを目的とした研修も少なくありません。

私は早期離職防止が一番の専門分野ですので、早期離職防止を目的とした研修ももちろん提供しています。ただ、多くの研修会社は新入社員研修の効果として「新卒離職率の低下」をうたっています。
では、一般的な新入社員研修は本当に新入社員の離職を防ぐ効果があるのでしょうか?

私は、入社一年以内の離職を防止する効果はあると考えています。新入社員にほとんど研修をしていない会社より、外部に依頼して体系化された研修を受講させた方が離職率は下がると思います。同じ内容を教えられるにしても、社内の人間に「社会人というのはこういうものだ」といわれるよりも、外部の講師の人に「多くの新入社員を見てきましたが、成果を残せる人はこんな特徴があります」といわれるのでは、受講者の納得度は全く違うでしょう。外部の講師が担当する効果というのはそういう部分にもあるのです。
入社一年以内の退職の場合は、職場環境がよっぽど劣悪ではない限り、本人がそもそも社会に対して真剣に向き合っていないケースが多いというのが、早期離職白書をつくってみての私の印象です。(もちろん、あまりに劣悪な環境のケースもありますし、採用側にも問題はあります)
ですが、二年目以降の退職に関しては、一年目に比べると社内の仕組みや人間関係による理由が増えてきている傾向があります。

ですから、多くの研修会社がうたっている「新入社員研修の導入で離職率の低下」というのは嘘ではないでしょう。でも、2年、3年という長い目でみたときに入社時の研修だけでは効果はありません。さらに、2年目、3年目のサポート研修に関しても、一年目の研修で書かせた行動計画書の進捗管理だけをやっているケースも見受けられますが、正直あまり意味がないと思います。
2年目、3年目にはまた別の悩みがあるのです。

個人的には2年目、3年目の社員こそ積極的に外部の集合型研修でフォローアップ研修を受けるべきではないかと思います。多種多様な業界から様々な人材が集まる場は多くの刺激を与えられるとともに、今の自分の立ち位置を認識する絶好の機会です。そこで鼻っ柱をへし折られるケースもあるでしょうし、逆に自信をつけるケースもあります。
社員の離職率にお悩みの企業の方は、是非2年目、3年目への集合型研修を検討してみてはいかがでしょうか?