新入社員研修を含む若手向けの研修を提供する立場として感じるのは、「企業の従業員として身につけるべきこと」と「自らビジネスを創る人が身につけるべきことは」は大きく違うなぁということです。共通している部分もありますが、やっぱり最終的には求められるものは全然違うと思うのです。

ですから、起業家の人が新入社員時代を振り返って「研修を受けたときに、なんて馬鹿らしいことをやっているんだろうと思った」というのは、至極当然なことだと思うし、むしろ、のちに起業家として成果を出した人がそう感じる研修は「新入社員向け」の研修としては正しい内容なのではないかとさえ思ってしまいます。

もし、学生時代に自分でビジネスを立ち上げて居たり、SNSなどを通じて収益を得ている人がいたりすれば、企業研修は息苦しく、くだらないものに思えるのは仕方がない部分もあると思います。

 

企業の従業員に求められるのは、少し極端な表現をしてしまえば「企業の期待通りに行動し結果を出すこと」であり、そのためにどんなことをしなければならないかを伝えるのが研修という場の目的の一つでもあります。

カイラボの研修は一方通行ではなく、双方向でワークがかなり多い研修ですが、それでも「企業の期待に沿って結果をだすための行動を伝える」という要素があるのは事実です。むしろ、その部分がなければ、企業は人材育成にお金を出しません。

 

また、新しいことを取り組む際にも「言われた最低限のことは満たしたうえで、新規性をだせ」という無理難題に取り組まなければならないのが企業の従業員の宿命です。

ですが、起業家は違います。起業家に求められるのは、こちらも極端な話をすれば「結果」です。結果さえ出せば言われたことを全部無視しても周囲は認めてくれます。その代り、結果がでなければ全員がそっぽを向いてしまうリスクも伴います。

従業員の場合、リスクは会社側が負担してくれる部分が多いわけで、そうなればリスクを負っている企業側は「こっちの言った通りにやれ」という主張になるのは当然だと思うのです。

 

従業員と起業家、どちらが偉いわけでもないでしょう。

優秀な従業員が優秀な起業家であるとは限らないし、優秀な起業家が優秀な従業員だとも限りません。それに、優秀だといわれる人がいつの時代もどんなときでも優秀と認められるかどうかもわかりません。だから、立場や時代に合わせて求められる能力は違って当たり前。

起業家が「新入社員研修なんてくだらない」と言っていることの方が当たり前過ぎてくだらないような気さえしてしまいます。

 

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