早期離職対策に関しては、過去のブログやPlus-handicapの記事などに何度も書いていますが、ブログを移転したのもいい機会ですので、改めて書いてみたいと思います。

私が新卒入社の会社を2年弱で退職したのは2010年1月でした。その後、フリーター期間を経て就職した先も1年足らずで退職し、ビジネススクールの運営事務局を経て独立したのが2012年3月。そんな経歴もあって「若者はなぜ辞めるのか?」に非常に興味があって、早期離職者(新卒入社の会社を3年以内で退職した方)への100人インタビューをおこない、まとめたのが「早期離職白書」です。

「新入社員が辞める理由は何か?」というのは、リクルートなど人材系の会社がすでに調査結果を出しています。ただ、自分自身の経験や周囲の話を重ねてみると、どうしてもその調査結果にリアリティがわかなかったのです。そして、100人のインタビューをした結果、私が行き着いた新入社員が辞める理由は大きく以下の3つです。

(1)成長実感がない
(2)存在承認が感じられない
(3)成長予感がない


この3つ以外にも、給料への不満などもあります。しかし、インタビューをしていると最初は「給料が安いと思った」と言っていても、深く聞いていくうちに給料の安さは一つの会社への不満でしかなく、辞める決めてではないということがほとんどです。ですので、私は新入社員の退職理由として上記の3つをあげています。

(1)成長実感と、(2)存在承認はイメージがつきやすいと思います。
入社してからずっと雑務(としか思えない仕事)ばかりさせられていれば成長実感が伸びません。ただし、一見雑務と思える仕事が、実は会社において非常に大切な仕事であるということは珍しいことではありません。重要なのは「雑務」「成長しない仕事」であると感じさせないことです。そのためには業務の目的や全体像を説明することが必要になることもあるでしょう。また、会社によっては営業にゲーム性を持たせたり、初受注などの際には盛大にお祝いしたりなどの施策を講じています。

しかし、会社が頑張って仕組みをつくったり、周囲がサポートしても、社内の一人のたった一言で深く傷つき退職にいたるケースが多いことも事実です。その原因となる人は必ずしも上司やミドル層とも限らず、1つ2つ上の先輩というケースもあります。(1)と(2)の退職理由は中小企業に多いのですが、大企業に多いのが(3)成長予感がないです。成長予感とは「5年後、10年後自分がこの会社でどんな成長ができるのか」という期待のことです。大企業でこの理由による退職が多い理由は、大企業ゆえの年功序列制度も関係しています。大企業ともなれば、本人の能力が多少不足していても会社の名前だけで仕事ができてしまう部分があるのも事実です。(当然、会社によって差はあります。)また、会社としての業務マニュアルも整備されているため、1年も経てば一人前に仕事ができる状態になることもあります。これは企業努力の賜物ですが、それゆえに新入社員にとっては「自分が早いスピードで成長できる」とか感じられないのです。特に2年目の社員と5~8年目あたりの社員がほとんど同じ仕事をしている(と、感じられてしまう)場合には、2年、3年という期限で退職する方が多くなります。

私がインタビューをした方々でも、就職人気ランキングの上位常連企業を成長予感不足で退職した方は10名以上いました。また某大手旅行代理店の人事の方から「優秀な若手ほど辞める」というご相談をいただいた際に、成長予感不足の話をしたところ、「その視点はなかったけど、言われてみれば確かにその通りですね。」と言われ、その後の具体的な施策のお話をさせていただこともありました。

私の100人の方へインタビューをしてきて、「成長実感」「存在承認」「成長予感」の3要素を新入社員の離職理由として挙げましたが、実際には100人いれば退職理由や退職に至るまでの経緯は100通りあります。ですから、一番大切なのは、これまで辞めた人はどんな理由だったのかを知り、その理由は今も社内に残っているのか(残してもOKなものなら残すのもアリ)、対策は十分にされているのかを把握することが大切です。

結局、最終的には個別対応が最も重要になってきてしまいます。
個別対応の方法については、また別の機会に。

 

早期離職白書はこちら (無料ダウンロード実施中)