昨日のブログで平均年収500万円以下の企業は早期離職率が高いとお話ししました。
ただ、早期離職の場合ほとんどの企業では平均年収の金額をもらうことはできないはずです。
大事なのは新卒~3年目の金額ではないか?ということで、初任給と早期離職の関係も調べてみました。
対象は昨日と同じく就職四季報に掲載されている「通信・ソフト」業界の企業です。

下の図は初任給と3年以内の定着率の散布図です。

初任給と定着率

今回は敢えて早期離職率ではなくて定着率(=1-早期離職率)で算出しています。
もし、初任給と定着率に正の相関関係があれば散布図の点は右肩上がりにプロットされるはずです。
しかし、現実には初任給の金額は多くの企業で20万~22万に設定されているため、あまり関係性は見られませんでした。

ちなみに図の中にある直線はプロットされた点を無理やり直線で表した場合はどうなるかというもので、一応右肩上がりになっています。ただし、その下に小さくR^2=0.06・・・とあります。これは直線がどれだけ全体の実態に近いかを表していると思ってください。0~1の間の数値をとるのですが、0.06ということは極めて0に近いので、右肩上がりの直線はほとんど実態を表していない、つまり、初任給と定着率との間に右肩上がりの関係は特に見られないということです。
もっとも、多くの企業では若手の年収に影響を与えるのは初任給よりも賞与です。
私がかつていた会社でも初任給自体は決して高くなかったものの、賞与が一般的な企業に比べると多かったため、年収ベースでみると新卒1年目の年収としては高い部類に入っていました。

また、就職四季報の中には25歳時のモデル賃金という項目もあり、これが3年以内離職率には大きく影響していそうな気がするのですが、無回答(NA)の企業が多く分析には向かないと判断しました。

昨日、今日と早期離職とお金の関係についてお伝えしてきました。
明日以降はまた別の項目と、「通信・ソフト」以外の業界についてもお伝えしていきます。