Gunosy見てたら「『自動ブレーキ型」今年の新人が暴走する日 教育係「禁断のNGワード』とは」という記事がありました。

毎年恒例、日本生産性本部が発表した今年の新入社員を表すキーワードは「自動ブレーキ型」だそうです。日本生産性本部のHPには以下のような解説が書いてあります。

知識豊富で敏感。就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声も。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導、育成)が必要。

また、今年の4月入社の新社会人の就職活動の特徴については以下のように述べています。

 企業業績が徐々に回復する中で新卒採用数も増加しつつある。2月1日時点の大卒者の就職内定率は、 82.9%と3年連続で回復した(前年比+1.2%)。「時間短縮型就活(企業による採用広報活動の解禁日が10月から12月へと遅くなり、就職活動期間が2ヶ月間短縮した)」の第2期生となり、導入一回目の昨年に見られたスケジュールの混乱は企業側、学生側のともにあまり見られなくなった。
  昨年は「ブラック企業」問題が社会的関心を集めたこともあり、就職先企業の情報収集に熱心になった就活生もいた。勤務時間の実態、コンプライアンスの状況などを気にして疑心暗鬼になる場合もあったようだ。


ちなみに、私の年代は「カーリング型」新入社員だったらしいです。この活動はネタとしては面白いと思いますが、正直、それ以上の価値はないと思います。
毎年、新入社員に対しては短所7割、長所3割くらいの割合で書いていますが、この記事を読んだほとんどの人が短所の部分しか覚えていません。私は仕事でOJT担当者への研修なども担当するのですが、OJT担当者は日本生産性本部のこのニュースは知っていることがほとんどです。しかし、今年の新入社員と実際に顔を合わせてもいないのに「今年の新入社員は自動ブレーキ型なんですよね」と言ってきたりします。

当たり前のことですが、どんな新入社員のタイプなのかは会社によって、個人によって大きく異なります。また、最近では休学しての留学や就職浪人が以前よりも増えてきたこともあって、同じ新入社員でも年齢がバラバラというケースが中小企業でも増えてきています。就職活動時は入社時の社会環境は同じかもしれませんが、育った環境は異なります。

2014年3月時点での大学卒業予定者のうち内定者は約35万人です(厚生労働省発表)。短大を加えると40万人弱。それだけの人数がすべて「自動ブレーキ型」なわけがありません。そんなの当たり前なんですが、「今年の新入社員は〇〇型」と言われてしまうとそれを信じてしまうんですよね。

ちなみに、日本生産性本部に関して、就転職の口コミサイトをいくつか見てみたところ「牧歌的」「昭和な会社」「古い体質」といった内容が書かれていました(良い点も書かれていましたけどね)。社員の平均年齢はわかりませんでしたが、あまり若そうなイメージはないですね。

もし、おじさんたちがデータだけをもとに「今年の新入社員のタイプのネーミングどうしようか?」なんて打ち合わせしているんだとしたら、それこそものすごく生産性低い気がします。だいたい、この新入社員タイプをどう活用するつもりなんでしょうか。

就職活動の方法も多様化し始め、新入社員のタイプを一つのキーワードでくくるなんてこと自体がナンセンスです。