地元就職志向の大学生が減っているらしい。そんなニュースをみかけました。

「『地元で働きたい』学生、51%に減少 強まる都会志向」

 

調査方法が「出身高校の所在と最も働きたい都道府県の一致率」というおもしろいやり方ではありますが、前年比3.5ポイント減、2012年卒の63.3%と比較すると11.5ポイント減ということから、確かに地元志向の人は減ってきているようです。

 

最近では学生の大手志向もとりあえげられます。2018年卒を対象としたマイナビの調査では大手志向の学生は52.8%で2010年依頼の50%越えだそうです。

また、具体的になんの調査だったかは忘れてしまいましたが、大学生や中高生のうち「将来起業したい」と考えているのは先進国の中で日本が最低レベルという調査も目にした記憶があります。

 

こういった状況について「安定志向の若い人はけしからん」「日本で起業が少ないことは問題だ」という方がいますが、私は安定志向が多いことや、起業したい若者が少ないことが特別問題だとは思いません。

私自身は安定とは程遠い人生を送っていますし、20代で計画もなしにとりあえず起業したタイプの人間です。なので、安定志向とは逆の考えを持っていますが、だからといって安定志向が悪いことだとは思えません。

 

企業のコンサルティングをする立場として、安定志向な人ばかりが集まることの組織的なリスクや弊害はあると感じています。一方で、大企業だからこそできることに能動的に取り組んでいる方もたくさんいます。大企業の中で能動的に働いている人が必ずしも起業志向ではないですし、入社のきっかけは安定志向からきていることもあります。

 

安定志向が増えることよりも問題なのは、自分の人生を他人だけにゆだねる人が増えてしまうことだと思います。仕事をする中で人との関係性をまったく断ち切るのは難しいため、誰もが自分の人生を他人に委ねる要素はあると思います。問題は「他人だけ」に委ねている状態です。「今勤めている会社がつぶれたら行き場がない」「リストラされたら再就職先がない」なども他人だけに人生をゆだねている状態です。

 

安定志向と他人だけに人生を委ねることは、イコールではありません。「大企業だからこそできることをやるために大企業に入る」「大企業の安定した給与の中で自己投資と自分のなりたい人生を実現する」などは、大企業だからこそのメリットを活かしています。

起業志向にしても、「学校の先生としてこんな教育を実現したい」「子どもが好きだから保育士になりたい」「銀行員になって半沢直樹みたいになりたい」と思う人は起業志向ではなくて当たり前です。誰もが起業志向である必要はないし、起業志向ではないから能動的ではないわけではないと思います。