本記事の要約
大卒新入社員の31.9%が3年以内で退職
10月25日に厚生労働省が新規学卒者の離職状況を発表しました。
中卒、高卒、短大等卒、大学卒とカテゴリ別に発表されていますが、一般的に報道されるのは大卒の3年で3割という離職率だと思います。
今年の3年以内離職率は31.9%で昨年よりも0.4ポイント減。2年連続の減少です。
大卒の3割が辞めているというと「最近の若い奴は根性がない!」と仰る方もいますが、念のためお伝えしておくと、この水準は30年前からあまり変わっていません。バブルの前後で多少の変動がありましたが、少なくとも直近20年間はほぼ30%~35%で推移しています。なんでもかんでも「ゆとり教育」などの「若い奴はけしからん」論にもっていくのはやめましょう。
新卒3年以内で辞めることの何が悪いのか?を説明できることが大切です
また「3年で辞めるのはけしからん!」と言う方もいます。
なぜ、3年で辞めるのは悪いことなのでしょうか?この辺りは先日のブログ新卒社員が3年で辞めるのは悪いことなのか?にも書きました。
私がこれまで数百名に対面インタビューとアンケートを実施してわかったことは、早期離職者の7割は退職した企業に対して不満を抱いて退職している「ネガティブ離職」です。そして、ネガティブ離職の人はうつ病など精神的に不安定になっている人の割合が約3割となっています。この状況を見て、私は早期離職への対策は必要だと思い、早期離職防止コンサルティングを行っています。
事業規模や業種でも3年以内の離職率は差が大きい
3年以内の離職率は事業規模別や業種別でも発表されています。
事業規模別でみると、従業員数が少ないほど離職率が高い傾向があります。
「少人数だからコミュニケーションが濃くて離職率も低い」みたいなことは、このデータからは読み取ることはできません。
業種別では宿泊業・飲食サービス業が昨年に続いて1位(50.5%)となっています(「その他」を除く)。
意外と思われるかもしれませんが、例年、宿泊・飲食サービス業と同じくらい高い離職率なのが教育・学習支援業です。具体的にどんな会社が分類されているのかはわかりませんが、恐らく学習塾、英会話教室、スポーツ教室などが含まれているのだと思います。学習塾などは小規模の事業者も多いため、結果的に離職率が高くなっているのかもしれません。
大卒者の3年以内離職率も、事業規模別の離職率も、業種別の離職率も実は統計が発表されてからほとんど変わっていません。民間企業が実施している調査で発表される「辞めた理由」も大きな変化がみられるわけではありません。
もしかすると、何をしても大卒は3年で3割辞めるのかもしれません。
データを若者叩きに使うのではなく、なぜ辞めるのか?なぜ辞めることはいけないのか?といったことを考えるきっかけにしてもらい、
少しでもネガティブ離職の人が減ってほしいと思っています。