4月は新入社員研修のピークですが、6月以降になると今度は新入社員の育成担当者向け研修が増えてきます。1~2か月程度の研修期間を終え、実際に配属されるタイミングの前後で育成担当者にも研修を受けてもらおうという会社が増えているのだと思います。
育成担当者と一言にいっても、OJT担当、メンター、ブラザー・シスター、チューターなど企業によって名称は様々だと思います。

育成担当者の多くは不安でいっぱい

実際に研修をやってみると、多くの育成担当者の方が育成を担当することについて不安を感じていらっしゃいます。
先日、あるメーカーでは高卒3年目の社員が高卒の新入社員のメンターになり、「3歳も年が違うので話しが合うか不安」と言っていて、会場中(同じくメンターの方々ですが、最高齢は50代)が騒然としたこともありました。

不安の内容としては他にも、
 ・ちょっとした発言がパワハラと言われないか不安
 ・飲みに誘ったらパワハラと言われるのではないかと不安
 ・共通話題がわからない
 ・最近の人は叱ってはいけないと聞くけど、どう指導していいかわからない
 ・育成といわれても、経験しながら覚えていくしかない。教えられない。

などなど。
新入社員との接し方や指導の仕方などについてはかなりの不安を覚えています。

上司や育成担当者へのフォローが重要

早期離職を減らしていくためには育成担当者になる方や、新入社員が配属される部署の上司の方々へのフォローも大切です。
ただでさえ忙しい社員の方が、さらに育成も担当するとなれば業務負荷が大きくなりすぎることも考えられます。実際、業務過多で育成担当者の方がメンタル的に追い詰められてしまい休職したケースもあります。
新入社員へのケアは手厚い企業でも、育成担当者へのケアはないがしろになりがちです。そのため「メンターのメンター」のような制度をとっている会社もあるくらいです。制度化は難しくても、人事が定期的に育成担当者の方の相談にのるだけでも心理的な負荷は少しは軽減されると思います。

ネガティブ離職を防ぐにも上司・先輩のかかわりは重要

カイラボでは退職企業への満足度をもとに早期離職をネガティブ離職とポジティブ離職に分けています。上司や先輩との関係性はネガティブ離職とポジティブ離職をわける大きな要因の一つです。

早期離職白書2013のデータでは、福利厚生や労働条件などよりも、上司・先輩の関わり方がネガティブ離職かポジティブ離職かに大きな影響を与えていそうという結果が出ています。インタビューでも「憧れる上司がいなかった」という退職理由を挙げる人は少なくありませんでした。
上司や先輩のかかわりは早期離職防止・定着率向上という面では非常に重要なのです。

育成担当者選びは会社の未来づくり

新入社員の育成担当者は、新卒の社員にとって新卒で初めて入った会社の初めての育成担当者です。部署が変わって別の育成担当者がつくケースもあるかもしれませんが、新卒での初めての育成担当者は人生で一人しかいません。それだけ新入社員の人生に与える影響も大きい仕事なのです。だからこそ、責任感と誇りをもって取り組んでいただくことが会社の未来をつくるためには不可欠です。