人手不足が深刻化するといわれる昨今、人を採用したくても応募が少ない。求人情報を出しても応募がないという企業もあります。
そういった企業で、採用のためにPRを頑張りたいと思っても「何をアピールしたらいいのかわからない」と悩む採用担当者の方に向けて、今回は自社の強みの見つけ方をお伝えします。
自社の強みを見つけるためには3つのステップがあります。
- 自社の情報をすべて数字で表す
- 採用競合と比べて優位な数字を探す
- アピールになる数字と、その数字が実現している背景や想いをストーリーで語る
それぞれの内容について、詳しくご説明します。
本記事の要約
ステップ1 自社の情報をすべて数字で表す
最初のステップとして自社の情報をすべて数字で表します。
数字で表せる自社の情報には「社員数」「男女比」「残業時間」といった求人票にも記載されている情報もあれば「役員の平均年齢」「管理職昇進までの期間」「社員満足度調査のスコア」などもあります。
場合によっては、
・社内イベントの数
・福利厚生の数
・福利厚生の利用率
・社員の平均通勤時間
などの、数字として出している会社は少ない項目を敢えて数字にしてみることで、あなたの会社の意外な強みがでてくるかもしれません。
自社の強みは「社員のライフスタイルに関わる数字」で表す
「自社の情報を数字で表す」という作業を進める際の重要なポイントがあります。
それは、「働く人たちのライフスタイルに関わる数字」を優先的に出すことです。
「働く人たちのライフスタイルに関わる数字」とは、
例えば
・社員の平均通勤時間
・残業時間や有給休暇
・家賃補助の金額
などが挙げられます。
このように社員の働き方やライフスタイルに関係する数字を出すことは、求職者の方にとって入社後の生活をイメージしやすく、アピール材料として有効です。
一方で、「会社の経営数字ばかりを数字として挙げる」というケースは要注意です。会社の経営数字とは、
例えば
・営業利益率20%
・10期連続増収増益
などの数字です。
会社の経営数字は大切ですが、求職者の方々にとっては、就転職先で自分がどんな仕事をするのか、どんなライフスタイルになるのかがわかりません。
特に新卒採用の場合経営数字を語っても、平均的な水準がどの程度かわかっていないため、魅力が十分に伝わらないケースもあります。
もちろん、経営に関する数字が強みになることは素晴らしいですが、新卒採用という点から考えると、そこで働いている人たちがどんな働き方をしているのか、どういう生活をしているのか、がイメージしやすい「ライフスタイルに関わってくる数字」を出すことが大切です。
ステップ2 採用競合と比べて優位な数字を探す
2つ目のステップは「採用競合と比べて優位な数字を探す」ことです。
採用競合という言葉は聞き慣れない方もいるかもしれませんが、簡単にいうと次のような会社です。
・あなたの会社の内定者が選考を受けていた会社
・あなたの会社の内定を辞退した人、選考途中で辞退した人が入社した会社
採用競合の調査方法としては、選考途中の方や内定を出した方にアンケートなどで実際に聞いてみるのが一番簡単です。
採用競合と聞くと、「同業他社」を想像するかと思いますが、採用競合は同業他社だけとは限りません。
たとえば、就活生の中には「日本のメーカーの営業職に就職したい」という軸で就職活動を行っていて、食品メーカーと家電メーカーの選考を一緒に受けているという方もいます。
食品と家電では製造業といってもが全く違う業界ですが、「国内メーカーに入社したい」という軸で考えている方が、食品メーカーと家電メーカーを一緒に選考を進めているというケースは珍しいものではありません。
また「人を関わる仕事がしたい」という軸で会社を考えている人であれば、小売業とホテル業、もしくは人材系の会社を同時に受けているという方もいます。
同業他社だけではなく全く異なる業種も「採用競合」になる可能性があることを踏まえたうえで採用競合を考えてみてください。
内定者や選考途中の方への アンケートを通じて、自社の採用競合を調べ、先ほどお伝えした自社の数字の中で、どの数字が採用競合とくらべてPRできるかを選んでいくことが大切です。
ステップ3 アピールになる数字と、その数字が実現している背景や想いをストーリーで語る
3つ目のステップは「アピールになる数字と、その数字が実現している背景や想いをストーリーで語る」ことです。
たとえば「女性の活躍率・女性の管理職の数」という数字をストーリーと一緒に伝える例としては、以下のような例が考えられます。
また、「管理職昇進までの期間が短い」という数字をアピールする場合であればこんな伝え方もあります。
管理職への登用が早いことをアピールするのであれば、企業の理念なども踏まえて伝えると「単純に勤続年数が短いだけではないか?」という求職者の不安軽減にもつながります。
このように会社の思いやミッションと数字を紐づけて語るのもよいでしょう。
数字だけはなく背景やストーリーを語ることで、その数字が偶然の数字ではなく再現性のある数字、企業文化を表す数字であることが伝わります。理念やミッション、思いに基づいて出てきた数字であることが伝われば、新卒者はそこから
・その会社に入ると自分がどういう働き方・生活をするのか
・その会社には、どういう人が集まっているのか
などがイメージがしやすくなります。企業の数字を語るときには、単純にその数字のみを伝えるのではなく、その背景・ストーリーもしっかりと伝えていきましょう。
採用担当者だけでなく、多くの社員を巻き込んで自社の強みを見つけましょう
これまで自社の強みを見つけるための3つのステップをお伝えしましたが、この3つのステップを進めるときに気をつけていただきたいことがあります。
「いろんな社員を巻き込んで、自社の強みを見つけていく」
自社のPR内容を決めるのは、採用担当者や経営陣が担当することが多いと思いますが、若手社員、新入社員を含めていろんな人が関わっていくことで、多面的に自社の強みを捉えることができます。
また場合によっては、外部の機関に委託するという方法もあります。
我々カイラボでも採用のコンサルティングを行なっており、状況に応じてですが、先ほどお伝えした3つのステップ(下記参照)を通じて会社の強みを見つけていくファシリテーションをさせていただくことがあります。
- 自社の情報をすべて数字で表す
- 採用競合と比べて優位な数字を探す
- アピールになる数字と、その数字が実現している背景や想いをストーリーで語る
私たちカイラボが企業の強み発見のお手伝いをさせていただく際には、人事担当者や役員だけではなく、若手社員や中堅社員など様々な年齢や立場の方に参加していただくようにしています。いろんな社員の方に参加していただくことで、今まで見えてこなかった強みやアピールできるポイントが見つかることがあるからです。
経営陣や人事の方が今まで強みだと思っていなかったことが見えてくるようにするためには、外部機関を含めいろんな社員を巻き込んでいくことが大切です。
一部の採用担当者だけではなく、いろんな社員を巻き込んで、自社の強みを見つけていってみてください。