退職者面談を行うときにおさえるべき3つのポイントと具体的な進め方

株式会社カイラボ

社員から「退職したい」という申し出があった際、退職する前に会社としてしっかりと反省点を見返したいなどの理由から退職者面談を行う企業は多いと思います。

私たちカイラボでは退職者面談の進め方のアドバイスなども行っていますが、退職者面談を実施しても、うまく退職者の本音を聞きだせないケースは少なくありません。そこで今回は、退職者面談を行うときの具体的な進め方や面談時に注意すべきポイントについてお伝えします。

退職者面談で本音は聞けないことが前提

退職者面談を行う際には、前提として「本音は聞けないかもしれない」という姿勢で面談を行いましょう。

私たちカイラボでも外部の機関として退職者の面談を代行させていただくこともありますが、はじめから本音を話してくれるケースは多くは有りません。

面談を行う担当者の中には「もう辞めるんだから、絶対本音で話してくれるだろう」と思っている方もいますが、会社に本音を話せる状態であればそもそも退職しないのではないでしょうか?

もう損得関係のない企業に対してでも、「会社には本音を話したくない」という方もいらっしゃいます。そんなときにいくら「本音を話して」と言っても効果は薄いでしょう。

少しずつ距離感を詰めて本音を話してもらうようにするとか、本音聞けなくても仕方ないという前提で臨むなど、退職者面談を行う側の意識も大切です。

ポイント1.「辞める理由は本人もうまく言語化できてない」という姿勢で聞く

次に、退職者面談を行うときにおさえるべき3つのポイントについてお伝えします。

1つ目は「辞める理由は本人もうまく言語化できてないケースが多い」という点です。

退職者の方も、転職活動の際に相手企業に「なぜ、前職を辞めたのか」について聞かれることも多いため、退職理由の言語化はしています。

しかし、転職活動の際に話している退職理由を、本当に腹落ちして語っているかいうと、そうではないケースもあります。

私たちカイラボでも、これまで早期離職者のインタビューを何百人と行ってきましたが、転職活動の中で使っていた退職理由と本当に自分が感じていたことが、一致していない方も多くいました。また、早期離職した理由を初めからきれいに言語化ができている方は少数で、ほとんどの方がうまく言語化できていませんでした。

そのため、退職者面談の中で退職したい理由を聞く際には、本人もうまく言語化できていないことを念頭におきながら、少しずつ紐解いていくような気持ちで面談を行うことが大切です。

そして、辞めた理由を少しずつ紐解きながら

「その部分について、会社として力になれなくてごめんね」

と伝えてあげましょう。そうすることで、辞める時に会社の株も少し上がるかもしれません。

ポイント2.退職者面談では事実意見をわけながら聞く

二つ目は「退職者面談では事実を意見をわけながら聞く」という点です。

例えば、面談で「私は、上司の〇〇さんから嫌われていて….そこも退職理由の一つです」

と退職者の方が言ったとします。

しかし、ここで考えていただきたいのは

「上司がその方を嫌っているのは、事実かどうか」です。

退職者の方が、「上司から嫌われていると思っていること」は事実だと思いますが、ただ本当に上司の方がその方を嫌いなのかどうかは、上司本人にも聞いてみないことには事実どうかは判断できません。

また、別の事例ですが

「上司から、こういう言葉を言われて…その言葉に酷いショックを受けました」

と退職者の方が話していたとします。

その発言が上司からあったことは本当かもしれませんが、どういう意図や文脈でその発言があったかは、確認してみないことには、分かりません。

人は、強い思い入れがあることほど、事実と意見を混同してしまう傾向があります。

特に、人間関係が絡みやすい退職者面談では、一方だけの言い分を聞いて事実だと思ってしまうと、事実とは大きく異なっているケースも多々あります。また、場合によっては少し誇張して発言をする方もいらっしゃいます。

あまりにしつこく事実かどうかを確認すると尋問のように感じてしまいますので、聞き過ぎはよくありませんが、これからの対策をきちんと考えていくためにも、事実と意見を分けて聞くことを慎重に行うことは大切です。

ポイント3.辞めたいと思った「きっかけ」と「決め手」を分けて聞く

三つ目は「辞めたいと思った「きっかけ」と「決め手」を分けて聞く」という点です。

私たちカイラボでは、会社を辞める理由を聞くときには

・辞めたいと思った「きっかけ」

・辞めると決断した「決め手」

を分けて把握していくことが大切だと考えています。

きっかけとは、働いている中で「ちょっとこの会社違うかもな…」とか「この会社で自分はやっていけないかもしれない」というように退職を考えるようになった「きっかけ」です。

決め手とは、「もう、この会社辞めてやる!」とか「よし、この会社を辞めよう」などのように、会社を辞める決断をした理由です。

会社を辞めた「理由」と一言で言っても、退職する方の「きっかけ」と「決め手」はそれぞれ違うというケースが多いのです。

たとえば、

「入社1年目の終わりぐらいに、部署が変わり仕事にやりがいを感じなくなった」

ことがきっかけとなり離職を考え始めたとしても、その方がすぐに会社を辞めているわけではありません。

インタビューなどで会社を辞めた「決め手」について聞いてみると

「転職を考えていたところ、上司の一言で、会社に未練がなくなって辞めました」と、きっかけとは別に「決め手」となる出来事があることが多いです。

このようにきっかけと決め手が違うケースが多いため、

退職者面談を行うときには

・会社をやめようと思った「きっかけ」は、どんなことなのか?

・会社を辞める決断をした「決め手」は、何なのか?

など、きっかけと決め手を分けて聞いていくことが大切です。

その上で、退職者の方から似たような「きっかけ」が聞こえてくる場合には、その点について対策を考えていく必要があります。

多少時間はかかるかもしれませんが、時系列できっかけと決め手を分けて聞いていき、自社の現状について把握していってみてください。

「きっかけ」と「決め手」について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

正しい退職理由把握と対策のためには外部機関を活用した退職者面談の実施も効果的

ここまで、3つに分けて「退職者面談を行うときにおさえるべきポイント」について解説させていただきました。

最後に、具体的な進め方についてお伝えします。

企業によっては、キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーの方、つまり外部機関に委託する形で退職者面談を進めれている企業も多いです。また、先ほどもお伝えしましたが、私たちカイラボでも外部機関として、退職者の方の面談を一部代行して行っております。

外部の機関に委託するメリットとしては、利害関係がないため退職者が本音を言いやすいという点が挙げられます。

一方で、会社によっては、社内の方が面談行った方が、人間関係がある程度できているため、本音を聞き出しやすいというケースもあるでしょう。

社内で行う場合でも外部機関に依頼する場合でも、どちらの方法でも一長一短あります。

みなさんの会社がどういった目的で退職者面談を行っているのか踏まえた上で、社内だけではなく、外部機関の活用を考えてみてください。