「就活の2021年問題」を聞いたことがありますか?
人手不足がますます深刻化しています。東京商工リサーチの調査によると、2019年の人手不足倒産は過去最多とのことです。
すでに人手不足が企業経営にも影響を与えている中、今後の新卒採用においては大卒の採用がますます厳しくなると言われています。その理由の一つが新卒採用の2021年問題です。
今回は、2021年問題がもたらす影響と、その対応について考えていきます。
本記事の要約
採用・就活の2021年問題とは?
一般的な大卒の就活生である22歳人口は、2000年~2010年において減少していましたが、2010年代はほぼ横ばいでした。しかし、これから22歳人口が大幅に減少することが 国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口(2017年推計)」 でも報告されています。
今後の22歳人口の推移予測
- 2020年 124.4万人
- 2021年 122.8万人
- 2030年 110.9万人
大卒新卒にあたる22歳人口が減少に転じるタイミングが「2021年問題」なのです。
少子化でも大卒者数は変化してこなかった
少子化と言われて久しいですが、実は大卒者数は平成8年に50万人を超えてから50万~55万人の間で20年以上推移してきました。
これは、大学進学率が年々上昇していたためです。2019年の時点で大学進学率は50%を超えています。今や高校卒業者の半数以上が大学に進学しているのです。
大学進学率は今も若干ですが伸びていますが、以前に比べると伸び率はわずかになってきており、ほとんど頭打ち状態です。
そのため、今後大学進学率が横ばいになると、22歳人口の減少に加えて大学進学率も頭打ちで、大卒新卒者の数は一気に減っていく可能性が考えられます。
企業が学生を選ぶ時代から、企業が学生から選ばれる時代へ
最近の就職市場は「超売り手市場」と言われるほど、企業による大卒の新卒獲得競争が加熱しています。
そのため、これまでのように「企業が学生を選ぶ時代」ではなく、これからは「企業が学生から選ばれる時代」になると言われています。
企業がエントリーシートや面接を通じて学生の合否判断をするだけでなく、学生もまた、面接で企業を見極めているのです。
すでに、学生一人当たりの内定取得社数は2.4〜2.5社とする調査もあります。つまり、学生にとっては2〜3社の内定はもはや当たり前なのです。
今後ますます人手不足が予想される中で、学生から選ばれる企業になることが大切です。
企業側は面接のあり方にも変化が必要
私たちカイラボでは、主に早期離職防止コンサルティングを提供していますが、その企業に合った人材や活躍できそうな人材を獲得する採用のお手伝いもしています。
採用支援に入らせていただく中で、よく見る企業の問題の一つが、人手不足や採用難について社内で共通認識が持てていないことです。
経営陣や人事担当者は2021年問題を含め採用の危機感を持っているにも関わらず、営業や技術職などの現場の社員には危機感がないケースもあります。
多くの企業では、採用面接のどこかのタイミングで営業職や技術職などの方も面接官として参加します。このときに共通認識がとれていないと、無意識に圧迫面接をしてしまったり、求職者に対してマイナスイメージを植え付ける行為をしてしまいがちです。
人手不足時代に企業が採用で気をつけることについては、他の記事で詳しく述べていますので、是非こちらも参考にしてください。
採用環境の変化にともない、面接のあり方も変化しています。かつての面接では、企業が学生を見抜くという側面が大きかったのではないでしょうか。しかし現在では面接に来た人が面接の雰囲気で企業の評価をしている側面もあります。
しかしながら、採用をとりまく環境変化をしっかりと理解していない現場社員の方は「相手を見抜こう」というスタンスをすぐには変えられないことが多いようです。
今や、圧迫面接や態度の悪い面接は瞬く間にSNSで拡散され、口コミサイトに書き込まれる時代です。 人口動態の変化に加え、SNSや口コミサイトの発達によって企業に求められる採用のあり方も大きく変わってきていると言えます。
企業は採用の2021年問題に、企業はどう対処すべきか?
ここまでお読みいただいたように、人事担当者だけでなく、面接担当者や教育担当者といった現場社員にも、知識のアップデートが必要です。
現場社員の方を巻き込み一丸となって採用を進めていくためには、今回お伝えした「2021年問題」を数字と事実に基づいて社内に共有することが大切です。
時代が変わってきているという共通認識を持つためにも、今回の記事を活用しながら社内への啓蒙に努めてみてください。 また、「人を選ぶ」のではなく、「人に選ばれる」ことへの意識・行動の改革も必要です。