早期離職の原因について、きっかけと決め手は違うということを以前も「定着率アップには、離職の『きっかけ』と『決め手」を知ることから。という記事でお伝えしてきました。

 

就職活動を恋愛関係に例える方も多いですが、きっかけと決め手が違う点も恋愛関係と似ています。最初はラブラブだったのに、なにかのきっかけで「この人とはうまくやっていけないかも」と思い始めると、「そういえばだらしないところあるな」とか「服のセンスないな」とか「金遣いが荒いな」などなどマイナス面に目が行くようになってしまいます。しまいには「笑い方がむかつく!」なんてことになった経験がある方もいると思います。

 

新入社員の中で初めから1~2年程度で辞めようと思って入社する人は少数派です。インタビューをしていると、最近は「3年くらいやったらとりあえず転職を考えてみようと思っていた」という人はチラホラいますが、辞めることが前提というわけではありません。

 

入社から辞めるまでのきっかけと決め手のイメージは下図のようになります。

 

辞めたいきっかけのあとは時限爆弾を抱えた状態

 

何かのきっかけで「この会社違うかも」と思って仕事をしていると、会社の悪い部分が目に付いてしまうのです。その状態で知り合いの会社から誘われたり、軽い気持ちで転職サイトにエントリーしたら大量のオファーが届いたりすれば、それが決め手となって辞めてしまうかもしれません。

また、会社の中では当たり前に行われている行動が「やっぱりこの会社おかしい!」と思わせる決め手になるかもしれません。過去のインタビューでは、人間関係がきっかけで辞めたいと思っていたときに、朝のラジオ体操当番になり「なんでこんなバカなことやってるんだろう。辞めよう」と決断したという方もいました。

きっかけを抱えた状態だと、ちょっとした出来事が引き金になって退職の決め手になってしまうことがあるのです。

 

早期離職の3大要因との関係性

 

早期離職の3大要因として「存在承認」「成長実感」「成長予感」の3つがあることはこれまでもこのブログに書いてきました。これは現段階での私の仮説ですが、「存在承認はきっかけになりやすく、成長予感は決め手になりやすい傾向」があると感じています。

 

 

最初の辞めたいと思うきっかけは人間関係がうまくいかなったり、仕事で成果が出せずに怒られたりということですが、それが決め手になることは少なく、尊敬できる上司がいない、このままでは自分のやりたいことができないという思いが決め手になるということです。

 

辞めたいきっかけにいち早く気付くことが重要

 

何がきっかけや決め手になるのかは個人差が大きく、その要素をすべて取り除くのは現実的にはありません。会社側が対策をとるとすれば、大切なのはいち早く「きっかけ」を察知することです。この人は「うちの会社ちょっと違うな」という気持ちで働いているのかどうかを職場のメンバーで把握しておくということです。当然、本人に聞いてもなかなかわからないことが多いので、普段の様子との違いに気づくことが重要です。例えば、出勤がギリギリになった、元気がない、口数が少なくなったなどの変化に気付けるかどうかがポイントです。

 

多くの方にインタビューをしてきましたが、何か一つの出来事だけで突然辞めるという人はほとんどいません(稀に存在しますが)。少しずつ不満が蓄積していくケースが多いので、個人によって違う不満要素が何か、今その人の不満状態はどのレベルなのかを把握することが早期離職対策の第一歩です。