このコラムは毎週水曜日に配信しているカイラボのメールマガジンで過去に配信した内容を、加筆修正したものです。

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対話型を心がけたって対話にはならない?

 

「ティーチングよりもコーチング」
「押し付けではなく対話が大切」

人材育成の業界では以前からよく聞く話しです。確かに上意下達のコミュニケーションをマネジメントだと思い込んでいる人もいます。そういった方に対して、別のアプローチ方法としてコーチングや対話という手法を知ってもらうのは重要です。

一方で、

「コーチングなんてしようにも、うちの部下は何も話さない」
「対話なんて言っても、そもそも知識が足りな過ぎて同じレベルで対話なんてできない」

という声があるのも、また事実です。

 

対話ができる信頼関係と共通言語づくりはできているか?

 

当たり前のことですが、対話をするには共通の言語が必要です。日本語で英語で対話をしようとしても、お互いの言語を十分に理解していない限り成り立ちません。

日本語と英語ほどの違いはなくても、話している内容の具体度、抽象度が違う、前提としている知識の深さが違う、そもそもの対話の先にある目的が違う、といった場合にも対話を成り立たせるのは難しくなります。

 

例えば、上司は部下の本音を話して欲しいと思って対話の場を設定したつもりでも、部下としては「本音を話したら、また怒られるに決まっている」と感じていたら、その状態で対話を成り立たせるのはほぼ不可能でしょう。

 

また、入社したばかりで仕事のことがわかっていない人に対して、「今の仕事の何を改善したらいいと思うか」と聞いても、
的外れのこたえが返ってきてしまうかもしれません。(未経験だからこその新しい視点を聞ける可能性もありますが)

 

対話型のコミュニケーションを試みて失敗する方の多くに共通しているのは、「対話型のコミュニケーションです」と伝え、質問を投げかけ続ければ、相手が本音を話し、核心をついたこたえをしてくれると思っていることだと思います。

 

大切なのは「対話型」であることだけではなく、対話が成り立つだけの言語の共通化や信頼関係の構築も非常に大切です。

 

せっかく素敵な取り組みをしていているのに「うちの組織にはやっぱり対話型なんて無理」と言って諦めてしまう人が少しでも減りますように。