新入社員が入社すると、研修期間のあと現場でのOJTを経て正式配属という流れが一般的です。
組織によってOJTのあり方は多種多様ですが、新入社員一人に対し、OJT担当者、メンタ―育成責任者など様々な方がサポートに入ることが多くなっています。

私の感覚ですが、過去に人材育成がうまくいかなった経験がある組織ほど、様々な肩書きのサポートメンバーを増やしていく傾向がある気がします。

OJT担当、人事、メンターなどの連携が大切

一人の新入社員に対し、多くのサポートメンバーがいても、サポートメンバー間の連携が不十分だとうまく機能しません。OJT担当者、メンタ―、育成責任者、人事担当者との連携がほとんどないというケースは意外と多く見られます。

過去にある会社では、OJT担当者がメンタ―の存在を知らないこともありました。人事としは説明会で説明したつもりになっていますが、忙しいOJT担当者はしっかりと聞いていなかったため、同じ新入社員をサポートしているのにお互いの存在さえ知らない状況が生まれてしまったのです。これでは人材育成はうまくいきません。

新入社員のサポートに携わるすべての人が育成目標を共有し、新入社員の現状を把握しながら目標到達までをサポートしていく必要があります。

人材育成のために日報を活用する

新入社員を育成サポートするメンバー同士がうまく連携をとれていない組織には、メーリングリストなどを活用した日報共有とフィードバックをおすすめしています。

多くの会社では日報は「業務報告」の手段として活用しています。場合によっては事実のみを記述して、本人の感じたことや不安に思っていることをは書かないこともあります。

私がおすすめするのは業務報告のための日報ではなく、成長支援のための日報です。

新入社員に毎日、感じたこと、思ったこと、不安なことを書いてもらい、その日報に対して必ず毎日、職場の誰かがフィードバックしてあげるのです。ここでいう職場の誰かはOJT担当やメンタ―などの肩書きがついていない人も含め、同じ職場の人全員です。

一人の人がつねにフィードバックを返すのは業務量的にも難しいと思いますので、曜日別にフィードバック担当を決めておけば、育成担当者の負荷も減らすことができます。

日報は相性の悪い育成担当者にこそおすすめ

新入社員と育成担当者(OJTやメンターなど)との間では、相性の良い・悪いという問題は起こりがちです。人間ですから、多少の相性の良し悪しがでてしまうのは仕方がありません。

そんなときにこそ、職場の誰もがフィードバックできる日報は活躍するのです。

人材育成の再現性を高めることが大切

育成担当者との相性が良かったから、偶然、育成がうまくいったのでは人材育成に再現性はありません。来年の新入社員に同じことをやったら失敗するかもしれないのです。

再現性を高め、つねに優秀な人材に育てることができるようにするには、多くの人が育成目標を共有しながら、有機的に人材育成に携わっていくことが重要だと思います。

(2017年7月12日発行メールマガジンより)

この記事はカイラボのメールマガジンで記載している代表の井上のコラムから転載(一部追加・修正あり)した内容です。カイラボのメールマガジンの登録はこちらから