
リーダー研修とは、組織やチームを率いる立場の人=リーダーを対象とした教育研修のプログラムです。その内容は、リーダーに必要とされるスキルを学ぶものや、様々な経験を通じてリーダーとしての心構えを学ぶなど種多様です。
近年はビジネス環境の変化や人材不足、働き方改革などの要因から、リーダーとして成果を出せる人材の需要が高まっており、企業も力を入れています研修では、チームを統率するためのコミュニケーションスキルや、人材育成に欠かせない支援や振り返りなど、多岐にわたるテーマが扱われます。
また、自身の行動や言動が周囲に与える影響を認識し、組織内で求められる責任感や判断力を高めることも重要な要素です。
リーダー研修は単なる座学に留まらず、会話や議論などを通じ、受講者同士の切磋琢磨を促すことで、実践的な学び重視する傾向が強くなっています。
本記事の要約
リーダー研修の対象者
リーダー研修の対象者は、一般的には部門長や課長・主任クラスなど、中間管理職以上ですが、昨今では管理職だけにリーダーシップを求められる訳では限りません。プロジェクトを牽引するリーダーや、将来的に組織を担う若手のリーダー候補にもリーダー研修が提供される場合が増えています。
肩書きの有無にかかわらず、組織内でチームをまとめる役割を担う可能性のある社員全般が対象となり得ます。ただし、リーダー研修の対象を明確にしないと、受講者のニーズと研修内容が噛み合わず、研修の効果が生まれない可能性もあります。誰を対象とするのかを事前に決めてそれぞれに適した内容に設計することが肝要です。
リーダー研修の3つの目的
会社によってリーダー研修を行う理由は異なりますが、リーダー研修の目的は大きく3つに分けられます。
①組織におけるリーダーの役割と、リーダーに必要な行動を正しく理解する。
②リーダーに必要なスキルの習得と向上。
③リーダーに必要な考え方の確立。
組織が抱える問題によって、どこに重点を置くのかは異なりますが、基本的には上記3つのいずれかが目的になるはずです。
ここからは、それぞれの目的について詳しくご紹介します。
なお、株式会社カイラボでは「リーダーが変われば社員が変わる」という信念のもと、離職対策という観点からもリーダー研修を多くご提供しています。
カイラボの「離職対策のためのリーダ研修」はこちらから→https://kailabo.com/services/lecture-2/
①組織におけるリーダーの役割と、リーダーに必要な行動を正しく理解する。
リーダーが組織内での自分の役割を正しく理解することは必須です。
組織における自分の影響力の度合いを知り、リーダーが負うべき責任を理解することはリーダーの基本です。また、リーダーは業務を管理するだけでなく、組織の目指す姿を示し、組織の一体感を醸成する立場だと認識することも重要です。
研修では、リーダーの役割や責任を座学で伝えるだけではなく、事例研究やケーススタディなどを通じて、リーダーが直面する具体的な状況をイメージし、その時にリーダーがとるべき行動を判断していきます。
また、ケーススタディ終了後には周囲から自分のリーダーとしての振る舞いについてフィードバックをもらうことで、リーダーとしての強みや弱み、クセなどを知ることも研修の大きな価値の一つです。
②リーダーに必要なスキル習得・スキルアップ
リーダーに求められるスキルは多種多様ですが、チームの未来を描く力は必須です。
未来を描けば、必然的に解決すべき問題も見えてきます。ですから、目指す未来に必要な問題を解決に導く力も当然リーダーに求められます。
また、組織の問題は一人の力だけで解決できるものではありません。メンバー一人ひとりが問題解決に取り組みやすくなる環境づくりや、悩んでいるメンバーをサポートしていくこともリーダーには求められます。
リーダーに求められるスキルの詳細については、次の章でご紹介します。
③リーダーとしての心構え
リーダーの役割理解とスキルだけでなく、心構えも重要です。
変化やリスクを恐れず挑戦する姿勢、メンバーを信じ、成長を諦めない気持ち、率先垂範して行動する当事者意識がなければ、どれほどスキルがあっても組織を成功に導くことはできないでしょう。
多くの企業では、リーダー研修の目的の一つに「リーダーとしての心構えの形成」が上がっており。研修を通じてリーダーとしての「在り方」を深く考えてもらう機会になります。
リーダーに求められるスキル例
リーダー研修では、幅広い問題に対応できるよう、多角的なスキルを学ぶことが一般的です。
また、研修によって得た知識やスキルを実務に落とし込むためには、継続的な学習も欠かせません。なにより、リーダー自身が学び続ける姿勢は、変化の激しい現代では非常に重要です。
未来を創造する力
未来を創造する力とは、組織やチームが目指す未来を明確に描き、チームが一丸となって未来に向かうことを指します。
リーダーがどのような未来を掲げるかは、チームメンバーのモチベーションにもに大きな影響を与えます。あまりにも現実離れした目標ではメンバーしらけてしまいます。一方、現状維持に近いような目標では挑戦する気持ちは生まれにくいものです。
問題設定力・問題解決力
リーダーは日常的にさまざまな問題に直面し、それらを迅速かつ的確に解決することを求められます。その際に重要なのは、問題を正しく見極める問題設定力です。
問題設定を誤ると、どんな対策も効果がでません。
リーダー研修では、論理的な思考やのトレーニングや情報を整理するのに便利なフレームワークを学ぶことが一般的です。また、事例研究を通じて実践的に活用する練習を行います。これらのワークを通じて状況の把握から分析、意思決定までを円滑に行う思考法を身につけ、現場で起こりうる多種多様な問題にも柔軟に対処できる力を身に着けることを目的としています。
ティーチングスキル
ティーチングスキルは、リーダーが自身の持つ知識や経験をメンバーに効率的に伝え、業務能力を向上させるための指導能力のことです。
ティーチングで重要なのは、一方的に教えるだけではなく、相手の理解度や成長段階に合わせて指導方法を柔軟に変化させることです。
研修ではプレゼンテーションやファシリテーションのスキルを含め、実務に直結する形で指導力を学ぶことが一般的です。リーダーが知見やスキルを効果的にチームに共有できるようになればチーム全体の生産性向上も期待できます。
コーチングスキル
コーチングスキルとは、メンバーが自発的にこたえを見つけ、行動を起こせるように補助するスキルです。
ティーチングが「教える」ことに重きを置くのに対し、コーチングは「引き出す」ことに重きを置きます。
リーダー研修では、傾聴や質問の仕方、目標設定の方法などを体系的に学び、実習形式で反復練習を行うことが一般的です。コーチングスキルの向上によりリーダーはメンバーの潜在能力を引き出し、組織全体の力を底上げする役割を果たせるようになります。
部下の育成支援スキル
リーダーの重要な役割の一つに、部下の成長を促すことがあります。部下の育成支援スキルとは、個々の目標や能力に応じた機会と学習環境を整える力です。
研修では部下との1on1や評価面談のロールプレイを行うなど、実践的で実務につなげやすい方法でおこなうことが多いです。座学で学んだことを実際のコミュニケーションではどう表現するのかを学び、部下の育成支援スキルを高めることで、部下のモチベーション向上にもつながります。
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、リーダーとしてメンバーをまとめ、組織の目標を達成するうえで欠かせないスキルです。自分の意図や方針をわかりやすく伝えるプレゼンテーション力はもちろん、メンバーの話に耳を傾けて理解し、適切な助言をするための傾聴力も求められます。
特に、多様な背景を持つメンバーが集まるチームでは、価値観や文化の違いを尊重しつつ、互いに誤解のない意思疎通を行う必要があります。
研修では、建設的な対話や積極的な対話など、相手を尊重しながら自分の意見も適切に伝える手法が扱われることが多いです。円滑な意思疎通は、チームワークの質を高め、結果として組織の生産性向上にも大きく寄与します。

リーダーに求められる心構えの例
リーダーにはスキルだけではなく心構えも求められます。
メンバーはリーダーの普段の言動から、リーダーの「在り方」を見ています。そして、リーダーの「あり方」はチームに大きな影響を与えます。
ここからは、一般的にリーダーに求められる心構えの例をご紹介します。
視座の高さと視野の広さ
リーダーには、組織全体の方向性を見据えながら意思決定を行う視座の高さと、新たなビジネス機会やリスクを捉える視野の広さが求められます。現場の問題解決に奔走するだけではなく、経営方針や市場動向、社会情勢などを俯瞰的に捉え、将来に向けた戦略的な判断を下す必要があるのです。
研修では、自社のビジネスを取り巻く外部環境の分析や他社事例を学ぶことで、受講者の視野を大きく広げる内容が組まれることが多いです。
覚悟と決断力
不確実性の高い環境下で成果を追求するビジネスでは、リーダーが覚悟と決断力を持って意思決定することが重要です。
覚悟とは、リスクを伴う選択でも自ら先頭に立ち、結果に責任を持つ姿勢を指します。
決断力は、情報を収集・分析し、自分なりの判断軸に従って迅速かつ的確に行動に移す能力を意味します。研修では、過去の成功例だけでなく失敗事例も取り上げて学ぶことで、同じような状況になったときにどう決断すれば良いかを考え、議論していきます。
唯一解がない問題においては、リーダーの覚悟や決断力が結果を左右することもあり得ます。
リーダーとしての自覚
リーダーとしての自覚とは、自らが果たすべき役割や組織への影響力を理解し、それに対して責任を持つ意識を指します。
リーダーの言動や態度はメンバーのやる気や成果に直接影響するため、特に重要な要素です。研修では、自己評価と他者評価を比較するワークなどを通じて、自分のリーダーシップ像が周囲にどう受け止められているかを客観的に把握します。
これにより、意図せず不信感を招いている点や、自覚していなかった強みを発見することが可能です。
リーダーとしての自覚を深めることで、責任感ある言動や組織を前向きに導く姿勢が自然と身につき、周囲からの信頼も高まります。
カイラボのリーダー研修のご紹介
私たち株式会社カイラボでは、多くの企業にリーダー研修をご提供しています。
私たちのリーダー研修の特徴は大きく4つです。
①唯一絶対の「正解のリーダー」はないことを伝える
②リーダーに必要なのは「リーダーとしての引き出しを増やす」というメッセージ
③豊富なケーススタディやシミュレーションを通じた実践形式の研修
④組織の状況や目的に応じた研修内容のカスタマイズ
リーダーに求められるスキルは多種多様ですが、すべてのスキルを完璧に身に着けたリーダーを育成するのは不可能です。ですから、カイラボでは「リーダーとしての引き出しを増やす」ことを大切にしています。
これまでのリーダーとしての経験や行動を否定するのではなく、新しい方法もあることをお伝えしながら、その方法のコツを実践的な演習を通じて学んでいただきます。
また、リーダーに求める役割は組織ごとに異なるため、カイラボのリーダー研修はすべてオーダーメイドで作成しています。
過去の例として、東京海上アシスタンス株式会社様と、大手シンクタンクのグループ会社様の例をご紹介していますので、是非参考にしてみてください。
東京海上アシスタント株式会社様 リーダー研修レポート
リーダーシップのこれまでとこれから 全2回開催https://kailabo.com/soukirisyoku/measures/training/20825/
大手シンクタンク グループ会社様 研修レポート
セルフリーダーシップ&キャリア開発研修 全2回
