
面接は「選ぶ場」から「選ばれる場」へ 「採用の常識」が変わる時代
特に人手不足が深刻化する中で、面接の重要性が増すとともに、面接官の役割も変化しています。
従来のように企業が応募者を選ぶ「選抜の場」という側面から、現在では応募者に企業を選んでもらう「魅力を伝える場」への変化です。
ところで、面接を英語でなんと言うかみなさんご存じでしょうか?
面接は英語で「インタビュー」です。つまり面接官は「インタビュアー」なのです。
面接官(interviewer)は、応募者(interviewee)の本音をどれだけ引き出し、自社とのマッチ度を見極められるかが問われています。

採用活動の流れには「応募者を集める」「見極める」「選ばれる」という3つの段階があり、特に「見極め」と「選ばれる」のバランスが採用において重要になってきます。
本コラムでは、カイラボが「面接官研修」で企業様にお伝えしているその両立のポイントについて、具体的なノウハウを解説します。
1. 見極めの基本:入社後の活躍を左右する「変わりにくい資質」に注目
本記事の要約
見極めの目的とは?
面接における見極めの目的は、応募者が入社後に活躍できるかどうかを予測することにあります。
面接でついついやってしまいがちなのが、履歴書の「答え合わせ」ですが、面接で本当に知りたいことは「自社で成果を上げられる人物像と合致しているか」ですよね。
資質には「変わりやすいもの」と「変わりにくいもの」がある

ここで大事になってくるのが、「変わりにくい資質」です。
たとえば、抽象的な思考力や行動エネルギーなどは、現場で鍛えるのが難しいため、面接段階での見極めが欠かせません。
また、自社が求める資質を言語化する際は、「コミュニケーション力」のように曖昧な言葉を使うのではなく、具体的に何を見ているのかを明確に定義し、応募者へ発信することが求められます。
面接官の視点を変える「キャリアカウンセラー」のような姿勢
近年では、AIによりエントリーシートや模擬面接の質も向上し、表面的に優秀に見える応募者も増えているため、より本質を見抜くのが難しくなってきていました。
こうした状況で本質を見抜くには、面接官は、単なる「評価者」ではなく、応募者の人生を一緒に振り返る「キャリアカウンセラー」のような気持ちで接してみてください。
応募者の「過去のストーリー」を丁寧に紐解くための3つの視点
- 感情の深掘り:その行動の裏にどんな感情があったか
- 動機の理解:なぜその選択をしたのか、何がきっかけだったのか
- 葛藤と対処:困難や反発に直面した際、どのように対応したのか
このように、応募者の過去の行動を一緒に棚卸しながら言語化していくことで、本音と再現性の高い行動傾向が浮かび上がります。
また、応募者の話には、不安や不満、本音と建前があるという前提で質問することが重要です。
成功談だけでなく、その裏にある「ドロドロした葛藤」や「必死な思い」を深掘りすることで、その人の本当の姿が見えてきます。
2. 面接官は「選ばれる存在」でもある。「未来を語れるか」が鍵
面接官は「会社の未来を体現するサンプル」
面接官は、応募者にとって「この会社に入ったら、自分はこうなるかもしれない」という未来の投影対象です。
面接官が死んだ魚のような目をしていたり、威圧的だったりしたら……誰だって「ここで働きたい!」とは思いませんよね。
特に若手層の応募者にとって、面接官の振る舞いや発言は、自分の将来を重ね合わせる判断材料になります。
そのため、面接官は自身の振る舞いが「見られている」という意識を持つことが大事です。
面接官が語るべき「過去・現在・未来」

「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうために、面接官も自分のストーリーを語りましょう。
1. 過去:感情をセットで語る
応募者からの「一番きつかったことは?」「やりがいを感じたことは?」といった逆質問に対し、客観的な事実だけでなく、「実は私も昔、辞めようと思ったことがあって……」といった当時の感情を交えて語ることで、共感できるところや面接官の人間性が伝わります。
2. 現在:定量的に客観的事実を語る
「育休復帰率は◯%だよ」と、数字で事実をしっかり伝えましょう。
3. 未来:熱く語り、活躍をイメージさせる
深い歴史のある企業だとしても、過去だけでなく未来を熱く語ることは必要です。
応募者に対し、「君が入ったら、こんな風にうちで活躍してほしい!」という形で、応募者個人の未来像を具体的に伝えます。そうすることで応募者にとっては「成長予感」に繋がっていきます。
応募者とのマッチングは「具体化」がカギ
応募者に自社を魅力に感じてもらうためには、能力だけでなく社風とのマッチングを具体的に伝えることが効果的です。
例えば、応募者の「サボらずコツコツ単位を取った」という経験を、「うちの会社が大切にする信頼と安全を積み重ねる姿勢に合致している」と具体的に評価し伝えることで、応募者は「自分はこの会社に合っているんだな」と感じやすくなります。
「アットホームな職場です」なんてどこにでもある言葉ではなく、「君のこういう所が、うちのこの仕事にぴったりだよ」と具体的に伝えるのが、ハートを掴む最大の秘訣です。
面接で気をつけたいNGポイント
また、面接官の振る舞いや話す内容には細心の注意が必要です。
- 過度な修羅場話:「2日間寝ないで働いた」などは長時間労働を連想させ、応募者を遠ざけます。
- 非言語的な態度:腕組みや目を見ない態度は、威圧感や不機嫌さを与えかねません。
- NG質問の排除:家族構成、思想信条、本籍など、法的に問題のある質問には厳重な注意を。
3. 見極めと選ばれる面接の「両立戦略」とは?
見極めと引きつけを両立させるためには、柔軟な構造化面接

見極めの精度を高める手法として、構造化面接(質問を事前に決め、全応募者に同じ質問を行う)が有効であることが研究で分かっています。
構造化面接は回答の比較が容易のため、見極め精度が高まります。
しかし、完全に構造化してしまうと、応募者側から見て「自分に合わせて質問をしてくれない」「自分を見てくれていない」と感じるため、「引きつけ」(選ばれる)効果が低下し、逆効果となります。
「しっかり見極めたいけど、尋問みたいになるのは嫌だ……」 そんな時は、「質問の事前準備」と「柔軟性」のいいとこ取りをしましょう。

最初から最後までガチガチに質問を決めるのではなく、「これだけは全員に聞く!」という質問を3〜5個用意しておき、あとは会話の流れに合わせて深掘りしていく。
この「ゆるいルール」があるだけで、評価のブレが防げ、かつ温かみのある面接になります。
まとめ 面接成功は「準備」と「面接官の意識統一」から始まる
完璧に人を見抜くのは不可能かもしれません。でも、準備をしっかり行い、面接官が「伴走者」として向き合えば、成功の確率は高めることができます。
また「見極める」と「選ばれる」。この両立は簡単ではありませんが、練習次第で誰でも上手くなります。
「具体的にどう練習すればいいの?」「うちの会社に合った想定問答集を作りたい!」という方は、ぜひお問い合わせください。
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