昨日「インターンに頼ってる組織に未来はないと思う」と書いたのですが、ちょうどLINEのインターンに関する記事が出回っていました。LINEは夏のインターン一ヶ月で一人につき40万円を支払うそうです。ちなみに、Googleは60万だとか。インターンで優秀な学生を確保するので有名だったワークスアプリケーションズでも確か1日1万円だったと思うので、平日全部参加しても20万ちょっとですね。昨日の今日でなんですが、こういった一部のIT企業が行っているインターンシップは私が昨日指摘した点は何の問題もないでしょう。また、「インターンするくらいなら、マックで4年間バイトしろ」で指摘したような点も当てはまりません。

line

 

【参考サイト】
"LINE Summer Internship 2014"募集開始! 

LINEのインターン生の月給40万円がお仕事中の社会人を動揺させる

私が指摘したいのは、普通の学生が「そろそろインターンしなきゃ」と思って夏休み直前に探し出すようなインターンであったり、そういった姿勢で特に明確な目的意識もなく参加する学生にとってのインターンです。普通ってなんだ?と言われそうですが、イメージとしては偏差値45~55、文系、サークルかスポーツ推薦をとっていないような体育会または文化会所属の学生です。私がまさにそんな学生でした。
そんな学生たちは日々の生活は楽しくても、就活に対する不安がつきまといます。そして、インターンという免罪符に逃げるのです。「自分はインターンしたらか、エントリーシートのネタが増えたぞ」と。

企業側もインターンシップを採用する際、大きく2つの種類があります。
ひとつは、前出のLINEやGoogleのように優秀な人間を早い段階で見つけて自社の社員になってもらうような、いわゆる青田刈りが目的の場合。
もうひとつが昨日わたしが指摘したような、安い労働力が欲しいからという無償の労働力を期待してのパターンです。こちらの場合でも、経営陣の方はほぼ間違いなく「今はお金が払えないけど、優秀な人ならしっかりとお金は払う」と言います。「社会勉強させてやってるんだから、金払えなんていう偉そうなこといってんじゃねぇよ!まずは結果だせオラァ!」という本音を語る人はいません。

今後、中小企業の中でも優秀な人材を確保するためにLINEやGoogleを真似ようとする企業があるかもしれませね。ただ、個人的にはおすすめしません。
今の学生の優秀層は想像を絶するレベルで優秀です。頭もいいし行動力もある。はっきり言ってしまえば、これまで人材の採用や育成に本気で向き合ってこなかった中小企業の社員にそういった優秀な学生が扱えるとは思えません。むしろ、バカにされるのがオチでしょう。確かに人生の先輩として、社会人の先輩として教えられることはたくさんあるでしょう。でも、学生の側はそれを求めているのでしょうか?それに、「〇〇さんはなぜ、この会社に入ったんですか?」「〇〇さんのビジョンて何ですか?」なんて聞かれて相手の納得できるこたえができる社員がどれだけいるでしょうか?

「うちは中小だけど優秀な社員がほしい」と思っている経営者や人事担当の方はたくさんいます。でも、簡単にとれるわけではない。だとしたら、まずは今の社員のレベルを引き上げることも必要なのです。
私は新入社員研修も担当するし、一般社員や管理職向けの研修も担当しますが、「社会人経験があって、会社や業界のことを知っている」という点以外は、頭の回転の早さなどでは新入社員も10年目社員もほとんど大きな差はありません。むしろ、場合によっては新入社員の方が優秀だと思えることもあるくらいです。もちろんそれは研修に対する取り組み姿勢や本人のモチベーションによるものもあるので、実務では違うかもしれませんが。。。
ただ、これからの先輩社員は「お前は会社のことも社会のことも知らないんだから、黙って言うことを聞け」では通用しなくなります。
せっかくインターンの採用にお金をかけても、指導担当者がそんな姿勢ではお金をドブに捨てるようなものです。