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反転学習を企業の人材育成に活かす方法


「反転学習」という言葉を聞いたことあるでしょうか?

学校教育の現場では、最近よく使われている言葉ですが、今新しい学習方法として注目されています。
「反転学習」はリモートワークと相性が非常によく、今後企業の人材育成の中で反転学習が大きなキーワードになってくる可能性が高いです。

今回は反転学習のメリットやデメリットについて解説しながら具体的な研修の方法についてもお伝えしていきます。

反転学習とは

反転学習とは、個別学習と集団での学習の順番を反転させる新しい学習方法です。

学校の授業を思い出してみてください。
学校の授業の進め方は、

1 はじめに、クラスみんなで同じ授業を受ける
2 その後、復習や応用を個人で行い学びを深める


の流れが一般的です。
授業や講義をみんなで聞いて、わからない部分は自分で勉強したり応用問題については自分で参考書やワークなどで取り組んでいたと思います。

反転学習とは、この流れを逆転させた学習方法です。

反転学習の学びの流れは

1 はじめに、個人で事前学習してもらう
2 その後、クラスみんなで集まり議論したり質問し合い学びを深める

という流れです。

これまでの学習方法のように、集団で集まって講義を受けるのではなく、

・集合学習の場を、質問や議論、教え合いの場にする
・事前学習を、あらかじめ個人で行う

ことが大きな特徴です。

反転学習のメリット

反転学習には3つの大きなメリットがあります。

1 アウトプットを前提としているため、能動的な学習が可能
2 集合学習で学習の漏れを防ぐ
3 一方的な講義では学べない実践的学習

それぞれについて、詳しくご紹介します。

アウトプットを前提としているため、能動的な学習が可能

反転学習では、個人で事前学習し、ある程度基礎的な理解をしていることが前提で、集団での議論や教え合いを通じて学びを深めていきます。

講義を聞いて学習するインプットメインの学習ではなく、「プレゼンテーションや議論などを通じてアウトプットしながら学習していく」スタイルです。

そのため、これまでのように講師の話を一方的に聞くだけの受講的な学びではなく、意見交換や他人に説明したりしながら、能動的に学習していくことが可能です。

集合学習で学習の漏れを防ぐ

これまでの学習では、講義を聞いてわからない点があったときに、みんなの前で質問することが恥ずかしく質問できずにいたかもしれません。

しかし、反転学習ではみんなで集まった際に

・隣の人同士で質問しあったり教えあったりする
・わからないことを周りの人に聞く

ことで学びを深めていく学習方法なので、「質問するのが当たり前」という前提で集団での学習を進めます。

そのため、集合学習の場で、わからないことをそのままにせずに質問できるため、学習の漏れを防ぐことができます。また、eラーニングによって繰り返し動画で学習できるため、その点でも理解していないことをより少なくすることが可能です。

一方的な講義では学べない実践的学習

今までの学習の流れでは、講義を聞いてその後に自分で復習や応用問題に取り組むことで知識を定着させる知識のインプットをメインに置いた学習でした。

しかし、反転学習の場合は、個人で基本的な理解を押さえた上で、その後にみんなで意見交換をやプレゼンテーションを通じて、

・他人の考え方や捉え方を知る
・その知識の具体的な活用方法を考える
・メリットやデメリットの探究

などを行います。

アウトプットしながら学んでいくため、これまでの知識をインプットすることを重視した学習に比べると、より実践的な学びが可能です。

反転学習とエドガーデールの学習法則

反転学習のメリットは、「エドガーデールの学習法則」を理解することでさらに理解できます。

「エドガーデールの学習法則」とは、学習の定着度に関する法則です。「読む」「書く」などの様々な学習方法が、どれだけ学習内容の定着につながるかを表しています。

具体的な定着率は以下の通りです。

・聞く      10%
・読む      20%
・見る      30%
・見ながら聞く  50%
・議論する    70%
・他の人に教える 90%

たとえば、「見ながら聞く」の定着率は、50%です。

研修などで講師が話しているのを受講者が資料を「見ながら聞いている」場面がよくあると思いますが、実は50%ほどしか知識は定着しないことがわかります。

一方で、「議論する」という学習方法では、70%と定着率が高まります。

そして、もっとも学習定着率が高いのは「人に教える」ことです。エドガーデールの学習法則によれば、学んだことを人に教えることで90%まで定着率を高めることができます。

従来の学習スタイルでは、講師や先生の話を「見ながら聞く 50%」の学習方法がメインでした。

しかし、反転学習では、

・議論する    70%
・他の人に教える 90%

学習効率の高いワークを集合学習の場ででき、この点が反転学習の大きなメリットです。

エドガーデールの学習法則については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
 → エドガーデールの学習法則を活用した新人研修

反転学習のデメリット

反転学習は良いことばかりでもありません。デメリットは大きく3つあります。

1 教材準備の手間がかかる
2 事前学習の時間、環境の確保が必要
3 事前学習時のモチベーション維持

1 教材準備の手間がかかる

反転学習では、事前学習の教材準備に手間がかかるのがデメリットの一つです。

すでに、eラーニング用のコンテンツを準備している企業の方が少ないと思いますので、ほとんどの企業ではeラーニングの教材を用意する必要があります。

eラーニング用の教材を準備するためには、動画を作ることはもちろんですが、それ以外にも

・eラーニングの内容を準備
・eラーニング用のテキスト
・eラーニングのスライド

などを準備しなければいけません。

また自社でeラーニングのコンテンツを伝えられる方がいない場合は講師の方を探してくることも必要です。

反転学習では、教材準備の時間や労力が多くなってしまうことがデメリットです。

2 事前学習の時間、環境の確保が必要

反転学習では、個人で事前学習を行ってもらうことが大前提なので、

・個人で学習時間を確保できるか
・事前学習をできる環境が整っているか


が重要なポイントです。

これまでの研修や学校の授業であれば、教室や研修室にいけば学習の環境も時間も確保することができました。

しかし、反転学習では、個別に事前学習で行うことになるため、研修側が学習環境を準備してあげたり、受講者側も事前学習のスケジュール管理などをする必要があります。

ネットなどの環境整っていなかったり、個人で事前学習の時間が十分に確保できないような状況にある場合は、反転学習が機能しなくなるため、事前学習の環境作りや時間の確保をしなければいけない点がデメリットのひとつです。

3 事前学習時のモチベーション維持

反転学習では、まず最初に個人でeラーニングを見ながら事前学習してもらいます。

そのため、受講者本人のモチベーションがとても大切です。

ただ、個人が常にモチベーションを維持したり高めていくことは難しいため、周りでサポートする必要があります。

本人にやる気が起こらなかったり、学習意欲が低くなっている場合には、

・モチベーションが下がっている理由を聞いてあげる
・学習意欲を高める方法を一緒に考える

などのサポートをすることが重要です。

受講者のモチベーション管理にも、今まで以上に労力をかける必要性があることもデメリットです。

反転学習は状況に合わせた使い分けが大切

反転学習にはメリットもデメリットもあります。そのため、すべての研修を反転学習に転換する必要はなく、内容やテーマに応じて使い分けすることが大切です。

従来的なやり方で十分成果が出せる研修内容であれば、無理に手間がかかる反転学習を使う必要はないかもしれません。

一方で、今まででは十分な成果が得られてなかった研修やさらに高い成果を残したい場合には、反転学習に切り替えてみた方がいい場合もあると思います。

ただ、反転学習に切り替える場合には

・教材準備の手間がかかってしまう
・事前学習の時間、環境の確保が必要
・事前学習時のモチベーション維持

などのデメリットが起きないように、しっかり準備をしていくことが大切なポイントです。

反転学習が向いているケース

続いて、反転学習に向いているケースと向いてないケースについて解説します。

反転学習に向いているケースは

1 事前準備の時間が十分にある
2 事前学習の時間、環境が確保できる
3 学習意欲の低い方へのサポート体制がある
4 集合学習の時間を十分に確保できる

の4つのケースです。

1 事前準備の時間が十分にある

まず、1つ目は「事前準備の時間が十分にある」ことです。

反転学習を進めるためには、研修開始までにeラーニング用のコンテンツを準備する必要があり、すぐに反転学習での研修を開始することは難しく、ある程度の準備期間が必要です。

そのため、

・次年度の新入社員から始めてみる
・来年度の管理職研修から導入みる

という準備時間がしっかりと確保できる研修に向いています。

また、時間だけではなくて「人的リソース」の準備が整っていることも大切です。

企画側が片手間でやるのではなく、専任の研修担当の役職を設けたり、業務の半分ぐらい反転学習の準備に割けるようなリソースの配置をする必要があります。

準備不足になると、反転学習の良さが活かせなくなるため、事前の準備がしっかりできる状態にあることが前提です。

2 事前学習の時間、環境が確保できる

2つ目は「事前学習の時間、環境が確保できる」ことです。

たとえば、「入社後の新人研修」は反転学習に向いていると思います。
なぜなら、入社後であれば

・個人用のPCがあり、環境が整っている
・業務時間内でeラーニングを視聴すれば、事前学習の時間がある

場合が多いため、事前学習の時間も環境が確保できるからです。

一方、「内定者に対する入社前研修」の場合は、準備に手間がかかるケースもあります。

内定者にeラーニングを受講してもらう場合に、人によってはネット環境がなかったりPCやタブレットなどを持っていないかもしれません。

その場合、会社側から

・内定者に対してPCを付与する
・ネット環境がない場合、pocket wifiを付与する

などの事前の準備が必要です。

内定者の受講環境を確認しないまま、反転学習による研修をスタートさせてしまうと事前学習が進められない受講者の方も出てくるため、研修が機能しない可能性があります。

反転学習を活用した研修を進める場合には、ネット環境や学習時間の確保が整っているかどうかを確認し、準備するようにしてください。 

3 学習意欲の低い方へのサポート体制がある

3つ目は「学習意欲の低い方へのサポート体制がある」ことです。

最初はとても学習意欲が高かった方でも、数週間後に何かのきっかけで、モチベーションが下がってしまう場合があります。また、新入社員研修や若手社員研修の場合、「恋人と別れててしまって、やる気がなかなか起きない」というケースもあるでしょう。

学習意欲が下がっている受講者の方をそのままにしてしまうと、集合学習が成り立たなくなってしまい、研修そのものが機能しなくなってしまいます。

そのため、

・メンターの方や教育担当の方が定期的に面談する
・学習意欲が下がっている方にチャットなどで話を聞く 

などの個別サポートが必要です。

また、メンタル面のサポートだけではなく、学習進捗の管理とサポートも大切です。

たとえば

・定期的に習熟度テストを行う
・eラーニングの進捗状況をシステムから確認する

などを行い、個別にサポートが必要そうな社員の方に対して、メンターの方や教育担当がアプローチをかけてもよいでしょう。

モチベーションと学習の理解度の手厚いサポートができるかどうか、サポートの時間と人的リソースを割けるかどうかは非常に大切なポイントです。

4 集合学習の時間を十分に確保できる

4つ目は「集合学習の時間を十分に確保できる」ことです。

反転学習では、事前学習で基礎的なことを理解した上で、集合学習の場で議論や質問を通じて学びを深めていくため、集合学習の質が大切です。

集合学習では

・集合学習をどういう目的でやるのか
・ワークを通じて、何を学んでもらうのか
・どういう学びの深め方をしてもらうのか

などの狙いをしっかりと定めた上で、そのために必要な時間を確保する必要があります。

そのため、集合学習の場で適当に議論をさせたり、質問を受け付けて回答するだけのような内容では効果は期待できません。

また、集合学習の頻度、回数を確保できるかどうかも重要なポイントです。例えば、1か月前に学習したeラーニングの内容は受講者の方は忘れてしまうため、こまめに集合学習やっていく必要があります。

集合学習の時間と頻度をしっかりと確保できるかどうかも、反転学習を導入する際に検討していただきたい事項です。

反転学習を導入する前に確認してほしいこと

反転学習に向いているケースとして

1 事前準備の時間が十分にある
2 事前学習の時間、環境が確保できる
3 学習意欲の低い方へのサポート体制がある
4 集合学習の時間を十分に確保できる

の4つを挙げましたが、どれか1個でも不安材料がある場合は、もう一度導入できるかどうかを考えてみる必要があります。

メリットが多い反転学習ですが、準備された反転学習は効果が高いですが、準備が不十分だだと逆効果になってしまいます。

自分たちの会社では反転学習ができるだけのリソースがあるのか、それだけの余裕があるのか、について導入前にしっかりと確かめてみてください。

リモートワーク時代に最適な反転学習

今後、ますますリモートワークを導入する企業が増えてくると思いますが、リモートワークと反転学習はとても相性がいいと考えています。

なぜなら、反転学習ではリモートワークのメリットが活かせるからです。

リモートワークを導入している企業であれば、すでに自宅のネット環境やPC環境が整っていおり、Eラーニングをすぐに受講することが可能だと思います。

最近では、Eラーニングのサービスもかなり充実してきていることもあり、Eラーニングの教材を比較的安い金額で導入することもできるでしょう。

また、Eラーニングのシステムによっては

・受講者の学習の進捗状況
・習熟度テストの点数

なども管理することができるため、事前学習が遅れている方へのサポート体制を築きやすくなってきています。

今後はさらにEラーニングのコンテンツやサービスが増えてくることを考えると、時間と場所を選ばずリモートでも学習できるEラーニングを事前学習として大いに活用できると思います。

事前学習だけではなく、集合学習もリモートでも可能です。

討論のワークはzoomで

例えば、討論のワークはzoomを使って行うことができます。

zoomの機能で、「ブレークアウトセッション」という機能があります。

この機能を使うと3人1組や4人1組のグループを作ることができるため、zoomを通じて議論を行うことが可能です。

講師への質問はチャットを活用

質問については、対面での研修よりもオンラインの方が充実する可能性があります。

全体でみんながいる前で手を上げて質問するのは恥ずかしいため質問があまり活発になりませんが、オンラインであれば抵抗がなくなり質問がしやすいからです。

また、チャットで質問を受け付けるのも効果的です。チャットであればさらに質問がしやすくなるため、みんなの前で質問することが恥ずかしい方でも気軽に質問できます。

ファイル共有

資料やテキスト、発表資料の共有もオンラインで行うことが可能です。

たとえば、dropboxなどの「データ共有サービス」を活用することで簡単にファイルを共有することができます。

また、発表資料や討論の議事録についてもwordやPowerPointなどを使えば、複数人で同時に書き込んだりすることもできるため、アウトプットの共有もオンライン上で完結します。

これから反転学習が大きなキーワードに

リモートワークが普及していくことで、対面での人材育成の教育が難しくなってきたため、オンランインで研修を行う企業も増えていくはずです。

オンライン化を考える際には、今までやってきた研修を単純にオンラインに置き換えるのでなくてオンラインの特性を生かし、さらに高めるにはどうしたらよいかを考えてみてください。

そのオンラインで行うメリットが非常に活用できるのが、「反転学習による研修」だと思います。

反転学種は事前準備など手間がかかりますが、効果は非常に高く、またこれからの時代の大きなキーワードにもなってくるはずです。

ぜひ、検討してみてください。

投稿者

編集部
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早期離職対策の株式会社カイラボ 編集部です。
採用、育成、定着の3つの観点から様々な情報をご提供します。