若手社員はなぜ辞めるのか?を知りたい方はたくさんいらっしゃると思います。
この記事を見つけたあなたも、そんな一人かもしれません。
辞める理由は人それぞれですが、辞める理由を考えるときに知っておきたい考え方として「きっかけと決め手の違い」があります。 この記事では「早期離職理由のきっかけと決め手」について解説します。
本記事の要約
早期離職率の推移 データ
早期離職の理由について書く前に、まずは早期離職(新卒の3年以内離職率)の推移を見ておきましょう。
こちらのグラフは、厚生労働省が毎年発表している大卒者の3年以内の離職率の推移をグラフ化したものです。
上記の図からもわかるように、大卒新卒者の早期離職率は、おおよそ30%以上の水準で推移しており、大きく変化はしていません。また、最近数年よりも10年前の2000年代前半の方が早期離職率が高かったことがデータから読み取れます。
早期離職率の推移や、業種別・規模別のデータなどについては、こちらの記事で詳細を記述していますので、ご覧ください。
早期離職の理由は「きっかけ」と「決め手」がある
早期離職の理由は人によって様々ですが、私たちカイラボがこれまでインタビューをした中で見えてきたことは、離職の理由には「きっかけ」と「決め手」があることです。
入社から早期離職に至るまでは、会社を辞めたいと思う「きっかけ」と、実際に退職を決断する「決め手」があります。
人によっては「きっかけ」と「決め手」を自覚する時期がほぼ一緒という方もいますし「きっかけ」を感じてから1〜2年経って「決め手」となる出来事があり、離職する方もいます。
ここで大切なことは、周囲が「きっかけを感じてモヤモヤ気になっていることに出来るだけ早く気づいてあげる」ことです。
なぜなら、会社を辞めたいと若手社員の方が言ってきた時には、すでに退職の決心がついているため、引き留めたとしても手遅れだからです。
早期離職率を改善したい企業がやるべきこと
私たちカイラボでは、これまでさまざまな企業の早期離職対策のコンサルティングを行ってきましたが、どの企業にも有効な対策はないと考えています。
企業によって文化や雰囲気、抱えている課題などが違うため、「これさえやっておけば大丈夫」といえる万能な離職対策はありませんが、対策を考える際に参考にしていただきたい理論があるので紹介します。
ハーズバーグの二要因理論
二要因理論とは「満足を生む要因と不満足を要因はそれぞれ違うものである」という理論です。
満足を生む要因は「動機付け要因」と言います。
「動機付け要因」としては、
・達成感
・周囲からの承認
・仕事のやりがい
・責任
・成長
などが挙げられます。
動機付け要因があればあるほど仕事の満足度を上げますが、なくても不満にはならないのが特徴です。
不満足を産む要因は「衛生要因」と呼んでいます。
衛生要因は不足していると不満に感じるけれど、一定程度満たされれば、それ以上はどれだけ充実しても満足にはつながりません。
たとえば、給与は衛生要因の一つですが、給与が極端に低い場合には不満が高まりますが、一定以上の年収になると、給料が上がっても満足度につながることが少なくなります。
衛生要因としては
・会社の方針と管理
・管理監督のあり方
・管理職との人間関係
・労働条件
などがあります。
動機付け要因と衛生要因のどちらが不足しているのか、見極めが大切
早期離職対策を考える際に、自社が「動機付け要因と衛生要因のどちらが不足しているか」を把握することが大切です。
たとえば、「福利厚生が充実しており、職場の雰囲気も悪くない会社」の場合を考えてみます。このような会社で早期離職の方が、多くなっている場合には、達成感や成長などの動機付け要因の不足に原因があるかもしれません。
社員の方が仕事を通じて、やりがいや達成感を感じることが出来ないことが原因で離職しているケースです。
この場合、いくら福利厚生を充実させたとしても、離職対策としては効果が期待できません。なぜなら、福利厚生は衛生要因にあたるので一定以上充実すると満足にはつながらないからです。
また一方で「社員の方が仕事のやりがいや自身の成長を感じることができている会社」なのに、早期離職率が高くなっている場合には、衛生要因が不足している場合が多いです。
たとえば、仕事量に対して給与が低かったり、管理職や上司の方との人間関係がよくなかったりするケースです。この場合、対策するべきには労働条件や管理職のあり方です。
ハーズバーグの二要因理論をつかった早期離職対策については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
早期離職対策ではデータよりも目の前の社員を大切に
今回は、早期離職の理由が「きっかけ」と「決め手」にわけられることをお伝えしました。
早期離職対策を考えるときは、周囲が早めにモヤモヤ期に気付いて、決め手が来る前に手を打つことが大切です。そのためには、「目の前の社員と向き合う」ことが大切です。
自分の部下や自社の社員と真剣に向き合い、成長に寄り添っていってください。
また、早期離職対策も「これさえやれば完璧」という万能な対策はなく、一人一人の社員と向き合った結果として対策も見えてくる部分もあります。
みなさんの会社がより働きがいのある会社になるよう、目の前の社員と真剣に向き合うことを日頃から心がけてみてください。