早期離職防止、定着率向上の研修、講演、コンサルティング

テレワーク時代の若手社員の早期離職理由と対策

テレワークが急速に普及してきたことで、若手社員の育成や社内コミュニケーションのあり方など私たちの働き方は大きく変化しています。

今後、上司と若手社員の関わり方、社員同士の関わり方が変わっていくことで、早期離職の対策も大きく変化していくことになるでしょう。

今回は「テレワーク時代の若手社員の早期離職理由と対策 」について解説していきます。

こちらのブログの内容は動画でも解説していますので、是非動画もご覧ください。

最近の若者だから、3年以内で辞めるわけではない

コロナ禍での早期離職対策を考える際に、前提としておさえておきたい非常に大切なことがあります。それは、「最近の若者だから、3年以内で辞めるわけではない」ということです。

大卒新卒者の早期離職率は、おおよそ30%以上の水準で推移しており、大きく変化はしていません。また、最近数年よりも10年前の2000年代前半の方が早期離職率が高かったのです。(データは厚生労働省発表データによる)

「最近の若い奴は、すぐに辞める」という言葉をよく耳にしますが、データ上では若者の離職率は昔から大きな変化がありません。

そのため、すぐに辞める理由を「最近の若者だから」と理由づけするのではなく、別の要因や理由を考えていくことがとても重要です。

3年以内で辞めた若者の生の声

ここからは、私たちカイラボが2013年から行っている早期離職した方へのインタビュー内容をお伝えしていきます。

事例①「自分が考えていた仕事内容と会社が求めるものが違った」


ICU卒 → 大手IT企業企画職 → 小規模Web制作会社 女性Aさん
マーケティング部門なのに「データ分析は意味がない。数字遊びしてるのは仕事してないのと一緒」と言われる。業績悪化で転職を考えていたところ、転職エージェントから「コロナの影響が出る前に動いた方がいい」と言われ、本格的に転職活動。

早期離職者インタビューより

Aさんは、自分が考えていた仕事内容と会社が求めるものが違っていることや、上司と先輩が言うことが違うことなどに不満や違和感を感じていました。そんな中、「コロナの影響で転職先がなくなる」と転職エージェントに言われ、本格的に転職活動をはじめて会社を退職しました。
もともと会社に対して違和感を抱いていた方が、コロナを1つのきっかけとして離職した事例です。

事例② 理念に共感して就職も「お飾りの理念」に失望して転職

学習院大 → 人材系企業(ベンチャー) → 大手学習支援業 男性 Bさん
経営者の理念に共感して就職。一年目で全社表彰。「目標達成してもさらに高いノルマになるだけ。それにサービスにも会社の仕組みにも経営者の理念は反映されていないし、社員も信用していませんでした。『お飾りの理念』に失望しました」

早期離職者インタビューより


Bさんは、経営者の理念に共感して入社しましたが、本来希望してなかった部署に1年目は配属されました。それでも成果を出すために頑張り、1年目から表彰されるほどの成果を上げました。しかし、目標達成してもさらに高いノルマが課せられたことや自分が共感した理念が「お飾りの理念」だったことに失望し、離職しました。

事例③ 大きな不満はないものの、30歳くらいの先輩に憧れないという理由で退職

青山学院大学 → 大手IT企業 →ITベンチャー企業 男性 Cさん
当時、自分の会社の30歳くらいの先輩を見ても心の底からこうなりたいとまで思う人がいないなと感じていて、加えてスタートアップベンチャーに行った友人なんかはマネージャーとか海外支社長になっている人もいるのに、自分は末端の営業という立場なのは、このままではマズイなと思い転職活動をはじめました。
Cさんは、誰もが知っている有名な大手IT企業で働いていましたが、「心の底からこうなりたい」と思う先輩がいなかったそうです。また、スタートアップベンチャーで働いている周りの友人は、責任ある役職に付いているのに、末端の営業である自分の現状にも不満を感じていたことも転職活動をはじめ、早期離職しました。

早期離職者インタビューより

事例④ 会社のスタンスに魅力を感じず転職決意

学習院大学 → ベンチャー企業 → 編集プロダクション 女性 Dさん
未経験のメディア編集の担当をやるうちに編集の仕事に魅力を感じる。
「この会社でも編集はできますが、指導者はいないですし少しでも安く多く記事を作ること」という会社のスタンスには魅力を感じませんでした。」

早期離職者インタビューより

Dさんは、未経験からメディア編集に担当者になり、仕事をしていくうちに編集の仕事にやりがいや面白さを感じるようになりました。もっとメディア編集のスキルを高めていきたいと考えていたDさんですが、会社から求められたのは「少しでも安く多く記事」を作ることでした。

会社のスタンスと自分がやりたいことがうまく合わなくなり、転職を決意されたそうです。

事例⑤ パワハラの毎日 「このままでは頭がおかしくなる」と退職

早稲田大学 → 大手証券会社 → フリーター 男性 Eさん
成績の悪い人間は上司から遠慮なく罵倒される環境で、僕は廊下を歩いているだけで「お前なに歩いてんだよ」と怒鳴られました。 成果をあげたい気持ちはありましたが、提供する商材(証券)に自信が持てませんでした。お客さんが大損をすることもありました。この環境にずっといたら頭がおかしくなると思いました。

早期離職者インタビューより

Eさんは、早稲田大学の強豪運動部から、大手の証券会社に入社しました。しかし、入社してからは、なかなか営業の成果が上げられず、そのため先輩社員からは毎日のように怒鳴られたり、パワハラを受けていました。また、証券を売る仕事自体にも、自分がお客様に貢献している実感や自信がもてずに、やりがいを感じることができなかったそうです。

仕事自体にも魅力を感じることができないことと、辛すぎる社内環境が原因でやめた方の事例です。

事例⑥ 自社商品に魅力を感じず退職

東洋大学 →大手人材業 → アルバイトなどを経て飲食業 男性 Fさん
「内定者懇親会や内定者LINEの雰囲気から、なんとなく合わない気はしていました。一番の決め手は、自社の商品(求人媒体)がお客さんにとって魅力的ではないと思ったから。この商品を営業することにやりがいを見出せませんでした」。

早期離職者インタビューより

Fさんは、新卒で大手人材業の会社に入社しましたが、同じ内定者と話したりする中で入社前から会社の雰囲気と自分は合っていない印象を持っていました。入社後も、その違和感は取れなかったことや自社が取り扱っている求人媒体にも魅力を感じることができなかったため、退職しました。

辞める理由には「きっかけ」と「決め手」がある

ここまで早期離職した方の生の声をお伝えしました。

早期離職の理由は十人十色で、本当に人それぞれさまざまな背景や理由があります。

ただ、私たちカイラボがこれまでインタビューをした中で見えてきたことは、離職の理由には「きっかけ」と「決め手」があることです。
入社から早期離職に至るまでは、
・会社を辞めたいと思う「きっかけ」・実際に退職を決断する「決め手」
があります。

会社を辞めたいと思う「きっかけ」は、たとえば
・上司に言われた一言
・同期の転職
・憧れる先輩がいない

などです。

こうした「きっかけ」となる出来事があり、「モヤモヤ期」を経て、最後に「決め手」があります。

「決め手」となる出来事は、
・転職先が決まった
・飲み会での上司のちょっとした一言
・自分のメンタルが限界になり会社にいけなくなる
など、人によってさまざまです。

「きっかけ」と「決め手」を自覚する時期がほぼ一緒という方もいますし「きっかけ」を感じてから1〜2年経って「決め手」となる出来事があり、離職する方もいます。

きっかけと決め手にどう手を打つか?

①きっかけが起きにくくする=マッチング

まずは、きっかけが起きにくくすることが大切です。具体的には、
 ・採用でのミスマッチをなくす
 ・配属先、仕事内容とのマッチングをしっかりする

ことです。

②きっかけにいち早く気付き対処する

きっかけが起こらないようにすることも重要ですが、人それぞれにきっかけになる出来事は違うため、どうしても転職のきっかけになってしまうことは起こります。

そのため、きっかけにいち早く気付き対処することも大切です。

離職対策 3つの戦略と9つの戦術

では、具体的な施策として、どのようなことに取り組んでいけばいいのでしょうか? 私たちカイラボでは、「3つの戦略と9つの戦術」と呼んでいる離職対策を用いて様々な企業で早期離職防止のコンサルティングを行わせていただいています。

早期離職の原因は会社によって異なるため、その対策は「この対策をしておけば大丈夫」という万能薬のような対策はありません。そのため、カイラボではまずは会社の事情や取り組みなどをヒアリングした上で、3つの戦略と9つの戦術を組み合わせながら対策を一緒に考えています。

自社の現状を知るためには

早期離職の対策を考えるにあたり、まずは自社がどういう状態にあるのかを把握することが大切です。自社の状況を考えていくために、まずは前提となる知識として早期離職の三大要因についてお伝えします。

早期離職の三大要因


私たちカイラボでは、これまで多くの早期離職した方へのインタビューを行ってきました。インタビューの中で早期離職の背景や原因は、人ぞれぞれでしたが、大きく分けると
の3つに分類できます。

1)存在承認 = 会社・職場において自分の存在が認められているかどうか
たとえば、パワハラ・セクハラを受けていたり社内の人間関係が悪かったりする場合に、存在承認の不足につながります。また、最近ではリモートワークの中でコミュニケーションが不足している場合にも、自分の存在が認めてもらっていない感じがして、存在承認が不足してしまうケースもあるでしょう。

2)貢献実感 = 自分の働きが、社会・社内・お客様の役に立っていると実感できるか
自分の仕事が、誰かのためになっていると感じられないことは貢献実感の不足につながります。お客様のためになっていることで貢献実感を感じる人もいれば、社内での評価や感謝に貢献実感を感じる人もいます。または、自社のサービスが社会に貢献していないことに、不満を感じる方もいるでしょう。誰かの役に立っている感覚が不足していることにより早期に離職するケースです。

3)成長予感 = 現在から未来に向けての成長に対する予感があるか
「今の会社にいたままではなりたい自分なれないのでは?」と不安に感じると、成長予感が不足します。例えば、自分のまわりの先輩社員を見て「こんな人にはなりたくない」と感じる場合には、成長予感を感じることができません。優秀な社員が退職するケースに、成長予感が不足している傾向が多くあります。

離職対策のための現状把握方法

次に、自社の現状把握方法についてお伝えします。自社の状況把握に使える方法の一つが「ハーズバーグに二要因理論」です

二要因理論とはフレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事の満足と不満足に関する理論です。満足を生む要因と不満足を要因はそれぞれ違うものであるとしているのが大きな特徴です。

「動機づけ要因」は、多ければ多いほど満足度は上がりますが、少なければ少ないほど不満は大きくならないことが特徴です。一方で、「衛生要因」は少ないと仕事への不満が大きくなりますが、ある程度満たされれば、それ以上はどれだけ充実しても満足度が上がりません。


たとえば、給料がとても少なく感じる場合には会社への不満は募りますが、逆に給料が上がれば上がるほど仕事への満足度が高まるかというと、そうではありません。むしろ、給料が一定のラインを超えると給料と仕事への満足や幸福度とは関係がないと言われています。

二要因理論で分類する企業タイプ

私たちカイラボでは、縦軸に動機つけ要因、横軸に衛生要因としたマトリックスを利用し、企業を9つのタイプに分類しています。


それぞれにキャッチコピーをつけていますが、たとえば左下の「ブラック企業」は、動機つけ要因と衛生要因もどちらも低く、動機つけ要因も衛生要因も高いのが「ホワイト企業」です。

さらにm早期離職の三大要因と9つのタイプを重ね合わせたのが、下の図です。

衛生要因が不足している会社は存在承認が不足しており、動機つけ要因が低い会社は成長予感不足です。また、ホワイト企業の周りの3つの企業は貢献実感の不足です。
動機つけ要因と衛生要因や存在承認などの早期離職の三大要因の自社の状況をあてはめてみながら、自分の会社がどの傾向にあるのか考えてみてください。

コロナ禍での離職対策 具体例

コロナ禍での離職対策として、どのようなことを行ってきたのかについてお伝えします。
正社員数、約2000名ほどの建材製造するメーカーさんの事例です。現状としては貢献実感や成長予感が不足しており、「見せかけホワイト企業」「大企業病」のような状態でした。

この企業様と一緒に取り組ませていただいたのは、
「リモートワーク化での上司のアップデート」 です。

上司のアップデートとは?

コロナ禍でリモートワークを多くの企業で導入したことで、働き方が大きく変化しました。
この変化によって、今まで求められていた上司の役割、マネジメントの方法もまた変化に対応して新しいマネジメントにアップデートしていく必要があると考えています。
この変化を産業革命を例にしながら、お伝えします。
上の図は、産業革命の前と後の機織り工場の様子です。
産業革命の前は、人の手で機織りをしていますが、産業革命後は機械が機織りをしています。
機械が導入されることによって、管理者に求められるスキルが大きく変化しています。
産業革命の前は管理者は
・従業員の人間関係がうまくいくように働きかける・サボらないように監視する
ことがマネジメント層に求められることでした。
しかし、機械が導入されることで、人を管理する必要がなくなり、変わって求められるスキルは
・機械の操作方法を教える・機械をメンテナンスする・機械の故障に気づく
などが必要な役割になりました。
つまり、産業革命によって仕事に対する人の介在価値が変わりました

これからの上司の役割

産業革命で働き方が大きく変わり、それに応じてマネジメントのあり方が変化しました。
現在起こっているコロナ禍での働き方の変化は、産業革命に匹敵する変化だと考えています。

ここからは、コロナ前の上司の役割を確認しながら、これからの上司の役割について解説していきます。

これまでの上司の役割は

・監視的な管理
・サボらないように
・間違ったことをしないように

などが挙げられます。しかし、リモートワーク導入によってこれまでのように、逐一進捗管理したりサボらないように管理することには限界が出てきました。

これからの上司は
・気持ちの良い環境整備
・働きやすいように
・やり方に迷わないように

することが役割として求められます。

部下の状況を逐一把握して監視的に管理するではなく、部下が気持ちよく働けるように環境を整えていくことで生産性をあげたり、成果を出していくことが求められます。

また、これまでのように間違ったことをしないようにチェックすることはテレワークでは限界があります。チェックすることによって間違わないようにするのではなく、指針やマニュアル、ドキュメントをわかりやすいものに修正することによってミスが起こらない環境を作りましょう。

コミュニケーション円滑化の3つのコツ

チャット活用でコミュニケーション頻度を確保

1つ目は、「チャット活用でコミュニケーション頻度を確保」することです。
コミュニケーションは、総量よりも頻度が大切です。
たとえば、1週間に1度まとめて2時間話す時間を設定するよりも、毎日コミュニケーションをとったほうが信頼関係の構築に繋がります。
そのため、チャットを有効活用し、何気ないことでもチャットで送ったり、スタンプだけでも送るなどコミュニケーションの頻度を確保してみしょう。

絵文字、顔文字、スタンプなど感情情報を頻繁に伝える

2つ目は、「絵文字、顔文字、スタンプなど感情情報を頻繁に伝える」ことです。

たとえば、社内のメールで
「よろしくお願い致します。」
とだけメッセージがあった場合に、受け取った側は相手が怒っているような感覚をもったことはないでしょうか。対面であれば、相手がどういうニュアンスで伝えているかがわかりますが、文字だけの場合には感情まで伝えることが難しいです。
そのため、絵文字、顔文字、スタンプなどを活用して、感情やニュアンスが相手に伝わるようにすることが大切です。

雑談ができる場の用意 意図的な雑談スペースの設置

3つ目は「雑談ができる場の用意 意図的な雑談スペースの設置」です。
会社によっては、チャットの中に雑談専用のルームを設けている会社もあります。社員が気軽に仕事以外のことをコミュニケーションとれる場所を用意してみましょう。

また、意図的な雑談スペースの設置には、会社のトップ層にいる方が積極的に利用することも大切です。トップ層の方が利用していることで、雑談スペースが盛り上がり、より良いコミュニケーションの場になるからです。

早期離職対策をすすめるときのポイント


最後に早期離職対策をすすめるときのポイントについてお伝えします

周囲を巻き込み全社で取り組む


人事の方や役員の方だけで進めるのではなく、いろんな社員の方を巻き込んで進めていくことが大切です。ただ、はじめから全員が協力して動いていくことは難しいでしょう。
そのため、最初は何人か協力して取り組んでくれそうな社員をピックアップして、対策を進めてもよいかもしれません。

一度始めたら中途半端にせずやり切る

たとえば、雑談スペースの設置など「作ってみたけど、活性化しなかったから放置している」という話をよく聞きます。一度中途半端にしてしまうと、次に新しい取り組みをしても社員の方が協力してくれなくなってしまいます。新しい取り組みを定着させるには、時間も労力もかかります。諦めずに、一度始めたらやり切るようにしましょう。

一貫したストーリー/メッセージの発信

一貫したストーリー/メッセージとは、たとえば
・会社が大切にしていること
・なぜ、チャットでのコミュニケーションが大切なのか
・コロナ禍での上司の役割の変化
などです。リモートワークによって、社員のコミュニケーションだけではなく社内の文化やトップ層の思いなどもつたりにくくなっています。そのため、社員に向けてストーリーやメッセージを発信していくことが大切です。

みなさんの会社の早期離職対策のためにも、一つずつチャレンジしてみてください。

投稿者

編集部
編集部

早期離職対策の株式会社カイラボ 編集部です。
採用、育成、定着の3つの観点から様々な情報をご提供します。