傾聴についてこんな悩みはありませんか?
「傾聴が大事と言われても部下の話を聞くのが苦手」
「部下や後輩から相談されたときに、どうやって聞いてあげるのがよいのかわからない」
働き方が大きく変化している今の時代、部下の方とコミュニケーションに悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。 今回はそんな悩みをもつ上司やリーダーの方にむけて、リーダーなら知っておきたい傾聴スキルの基本をお伝えします。
本記事の要約
傾聴とは
「傾聴」の文字の通り、ただ単純に話を聞くのではなく、相手の話に耳を傾け興味や共感を示しながら話を聴くのが傾聴です。
傾聴とは「話を聞くのではなく、耳を傾け話を聴く」ことです。
この記事の内容は動画でも解説しています。是非こちらもご覧ください。
傾聴の基本 ロジャーズの三原則
まずは、傾聴の基本として有名なロジャーズの三原則について解説していきます。
ロジャーズの三原則は、傾聴に大切な以下の3つの原則のことを言います。
・共感的理解
・無条件の肯定的関心
・自己一致
それぞれの内容についてもう少し詳しくご紹介します。
共感的理解
共感的理解とは「相手の話を相手の立場になって共感的に聴くこと」です
たとえば、部下の方の話を聞いている時、部下を励ますつもりで「そんなことで落ち込むなよ」と言ってしまうことはありませんか。これは「共感的理解」からするとNGです。
共感的理解とは、相手の立場になって話を聞くことですから、具体的な声かけとしては
「そういう立場に立たされたら、辛いよね」
「その場でそんなことを言われたら、やる気がなくなるよね」
など、相手の立場になって共感するような聴き方が必要になります。
共感についてはこちらの記事もご覧ください↓
また、相談をしてきた相手の思い込みが激しすぎるような場合でも、批判しないことも大切なポイントです。
たとえば、部下が「課長は他の人には優しいのに、自分にだけ冷たく当たってくる」という相談をしてきたとします。
「自分にだけ厳しい」と感じているのは部下の思い込みこみかもしれません。会相談を受けたあなたは「それは思い込みだよ」と思ったとしても、すぐには言葉にせずにちょっとだけ待ってください。
ここで相手に「あなたがそう思っているだけで実際は違うんじゃない?」と言ってしまうのはリスクもあります。言われた相手は自分のことを否定されたと感じてしまうかもしれません。
相手の感情や考えを批判するのはではなく、あくまでも相手の立場に立って、相手が感じていることに共感するようにしましょう。
無条件の肯定的関心
2つ目のポイントは無条件の肯定的関心です。
無条件の肯定的な関心とは「相手の話を善悪や好き嫌いで判断したり否定したりせず、なぜその考えになったのかを深堀りするように話を聞くこと」です。
たとえば、部下の相談内容が
・会社のルールに反している
・社会的にみて好ましくない
・個人的には賛同できない
ような内容だったとします。
その際に「それは会社のルールに反しているから良くない」と善悪だけで判断したフィードバックするのではなく、まずは肯定的に聞いてあげることが大切です。その上で、タイミングをみながら、その考えに至った心情を少しづつ深掘りするようにしましょう。当然、明らかにルール違反であれば注意することや「それはルール違反だよね」と伝えることはOKです。大切なのはまずは肯定的に聞くという姿勢です。
否定をせずに無条件の肯定的な関心を寄せて話を聴くことは、相手の安心感に繋がるため、非常に大切です。“この人は自分を受け入れてくれている”と相手に思ってもらうことで、少しづつ本音を話してくれるかもしれません。
逆に、言いづらいことを話したのにも関わらず否定されたり怒られてしまっては、それ以上本音で話そうとは思わないでしょう。
相手の方との信頼関係を構築する上で、大切な姿勢になるので、意識してみてください。
自己一致
最後のポイントは自己一致です。少し聞きなれない言葉かもしれません。
自己一致とは、簡単に言ってしまえば「一人の人間として素直に聴く」ことです。
意外に思われるかもしれませんが、傾聴をする際、相手の話がうまく理解できないのであれば聞き返してOKです。
たとえば、
「今の話とさっきの話が結びつかないんだけど…もう一度話してくれる?」
「それってどういう話なのか整理ができないから、初めから聞いてもいい?」
など、聴いている中で話がわからなくなってしまったら、素直に聴くことが大切です。そして、この素直に聴くことこそが自己一致です。
傾聴というと、相手の考えを肯定することや共感を意識し過ぎて忘れがちですが、聞いている自分と本当の自分を一致させる自己一致も大切なポイントの一つです。
傾聴のテクニック
基本のロジャーズの三原則をおさえたところで、続いて傾聴のテクニックを4つお伝えします。
今回紹介する傾聴のテクニックはこの4つです。
・ミラーリング
・バックトラッキング
・要約する
・オープンクエスチョン
ミラーリング
1つ目は「ミラーリング」です。
ミラーリングとは、「話すペースや声のトーン、しぐさなどを相手に合わせて真似る」ことです。
たとえば、相手の方が落ち込んでいて静かに話していた場合には、こちらも同じように少し静かに聴いてあげるようにしましょう。逆に、相手が興奮してテンションがあがって話している場合には、適度に自分もテンションを上げてきくと良いでしょう。
ミラーリングの効果はいくつかありますが、同じようなしぐさをすることで相手の心情に共感しやすくなったり相手に安心感を与えるなどがあります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、いわゆる「オウム返し」です。相手の話したことをそのまま繰り返すテクニックです。
具体的には
部下 「その仕事がとても嫌だったんです」
あなた「その仕事がとても嫌だったんだね」
と、そのままオウム返しするだけで大丈夫です。
バックトラッキングによって、相手の話を理解しやすくなりますし、また相手も肯定されている、受けいれてくれていると感じるため、傾聴にとって欠かせないテクニックです。
要約する
話がひと段落した時に、話を聴いたら相手が言ったことをまとめ「つまりこういうことだね」と要約することも大切です。
たとえば、
「〇〇さんの今の仕事の悩みって自分が思っていた仕事と違うことと先輩との人間関係の2つで認識合っているかな?」
と要約して聴いてあげましょう。
要約して聴いてあげることで、相談した方は自分の話をしっかりと聴いてくれていると感じますし、認識を合わせることにもなります。
ただし、要約するタイミングには注意しましょう。
話の早い段階で要約に入ってしまうと、相手に”この人、早く話を切り上げたいのかな”と思わせてしまいます。
タイミングを意識しながら、要約して聞いてみてください。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」では答えられない質問です。一方で、「はい」「いいえ」で答えられる質問はクローズドクエッションと呼びます。
たとえば、
「最近、仕事している中でつらかったことってどんなこと?」
「先輩からその一言を言われた時は、どんな気持ちだったの?」
などがオープンクエッションです。
ただ、オープンクエッションの方がクローズドクエッションより使うべきという話ではなく、2つを使い分けながら傾聴することが大切です。
オープンクエッションは、相手が考えて答えなければいけないため、相手に心的な負荷を与えてしまいます。
一方でクローズドクエッションは、「はい」「いいえ」で答えれば良いため、答えやすいですが、繰り返し続けてしまうと詰問されているような印象を与えてしまいます。
相談されている方が話しやすいように、話の流れやタイミングで適切に使い分けることが大切です
まとめ
今回は傾聴の基本や傾聴のテクニックについて解説しました。
上司やリーダーの方の中には、部下の方の話を聞いているとついつい注意したくなったり自分の経験談を語ってしまう方も多いのではないでしょうか。
また、部下の方の話をしっかりと聞いてあげることが苦手という方もいるかもしれません。
ただ、はじめから傾聴を完璧にできる上司やリーダーは、稀だと思います。
今回ご紹介した基本やテクニックを参考にしながら、少しずつトライしていっていただければと思います。
新しいことを意識することは大変なことですが、みなさんの会社が働きがいのある会社になるように取り組んで行ってみてください。