早期離職対策の施策別メリット・デメリット

編集部

早期離職対策のための研修や社内ツール、仕組みはたくさんあり、どこから手をつければいいのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか?

「早期離職対策に取り組みたいけど、どんな対策が有効なのかわからない」
「早期離職を減らすには、どんなことから始めたらいいのかわからない」
という声は、私たちカイラボが早期離職防止コンサルティングや企業研修を行う中で、多くの企業の人事担当者や経営層の方からよく耳にします。

そこで今回は、早期離職対策を ソフト面の対策 ハード面の対策 の2つに分けて、それぞれの特徴についてお伝えします。

早期離職対策はソフト面とハード面の両方が必要

早期離職対策には、いろいろな考えや取り組みがありますが、大きく分けると

ソフト面の対策
ハード面の対策

に分けることができます。

ソフト面とは「人のマインドやスキル、人間関係」など、目に見えなかったり形にしにくいものです。一方、ハード面とは「組織の仕組みやツールの活用」など、具体的なシステムや組織の体制など形あるものです。

早期離職対策を考える上では、ソフト面とハード面はどちらも大切であり、会社組織の状況に応じて具体的に何をすればよいのかを考えていく必要があります。

解説動画のご紹介

この記事の内容は動画でも解説しています。是非動画もご覧ください。

ソフトの具体的な対策例

ソフトの具体的な対策としては

・スキル研修
・チームビルディング
・アシミレーション

などが挙げられます。

アシミレーションは、聞き慣れない方もいるかもしれません。アシミレーションは、上司抜きで上司について話す場を設け、話した内容を名前を伏せて上司にフィードバックすることで、メンバーと上司との相互理解を深める研修です。

このように研修やイベントなどを通じて、早期離職対策を行うのがソフト面の特徴です。

ハードの具体的な対策例

ハードの具体的な対策としては

評価制度改定
・組織管理ツール
・アセスメントツール

などが挙げられます。

評価制度を改定したり、アセスメントツールなどを活用してデータを取ったりしながら、仕組みや体制を通じて、早期離職対策を行うのがハード面の特徴です。

ソフト面・ハード面それぞれの対策の特徴

ソフト面の対策とハード面の対策では、導入のしやすさやコスト、継続性など大きな違いがあります。

導入の準備期間

ハード面での対策は、組織の仕組みや体制を新しく変更したりするため、導入するための費用や労力が大きく導入に時間がかかります。

一方で、ソフト面の対策は、研修やイベントの企画や準備には少し時間がかかるかもしれませんが、ハード面に比べると導入しやすいのが特徴です。

影響の範囲

対策を行なった際の影響範囲は、ソフト面の対策では研修やイベントに参加した方に影響がありますが、参加しなかった社員の方には影響が及びにくいでしょう。

ハード面では、評価制度やツールの運用などを変えた場合には、全社的に影響するためソフト面に比べて影響範囲が広くなります。

効果実感までの期間

対策に取り組んでから効果実感までの期間は、ソフト面の方が効果を実感しやすくハードメンは効果が出るまでに時間がかかります。

ソフト面では研修やイベントなどがうまくいった場合には、翌日から効果が現れることもあります。一方、仕組みや管理ツールなどは組織内に浸透するまで時間がかかるため、結果がでるまでに時間がかかることが多いです。

効果の継続性

効果の継続性の観点からみると、ハード面の方が効果が出れば長期的に効果が出ます。たとえば、新しい評価制度などが組織に浸透した際には、組織文化の一つとして認識され継続していきやすいです。

一方で、ソフト面の対策である研修やイベントは、一度行っただけではその効果を継続することは難しいです。そのため、何度も研修を行い、浸透させていくことが大切になります。

費用面

費用面では、ハード面の対策に比べてソフトの対策は費用がかからないのが特徴です。

ソフト面では、研修やイベント費用など数十万〜数百万ほどですが、ハード面の対策の場合、社内管理ツールを導入したりした場合には、どうしても金額が大きくなります。

リスク

最後に、リスクの観点で考えると、研修やイベントであれば、修正しやすく、アップデートしやすいのが特徴です。

逆にハード面では、全社的に新しいシステムを導入した場合には、簡単には変更や改定がしずらいのが特徴です。

ソフト・ハードのそれぞれのメリット・デメリット

ソフト面のメリット

ソフト面のメリットは、

導入のしやすさ
コストが(ハードに比べると)安い

ことです。研修やチームビルディングであれば、数万円から実施することができ、コストをそれほどかけずに導入することができます。

ソフト面のデメリット

一方、デメリットとしては

サポートしないと効果は一時的
効果の範囲が限定的になることもある

点が挙げられます。

たとえば、チームビルディングを行なった場合、一緒に参加したメンバー同士では理解が深まるかもしれませんが、参加していないメンバーには影響が及びないでしょう。また、新人研修などで新人同士は仲良くなるかもしれませんが、管理職と新卒の人間関係は良くなっていないというケースもあります。

導入しやすい反面、効果が薄れやすくまた影響するメンバーも限定的になってしまうのがソフト面の特徴です。

ハード面のメリット

ハードの面のメリットは、

効果が及ぶ範囲が大きい
成功すれば効果は持続的

などが挙げられます。

新しいシステムを導入した場合には、全社員が使うことになるため効果は全社的に及びます。また、導入や改定が成功した場合には、組織文化や風土として定着するため、継続は長期的なものになるでしょう。

デメリット面のメリット

デメリットとしては

コストが高い
導入の準備に時間がかかることが多い

点が挙げられます。

新しいシステムを取り入れた場合には、会社の規模にもよりますが、数百万から億単位で費用がかかることもあるでしょう。また、システム導入時には、これまでの業務フローの見直しやツールの説明など、普及させるための労力もかかるため、時間と労力がかかることがデメリットです。

早期離職対策で大切なこと

ここまで早期離職対策のソフト面とハード面の特徴や具体例などをお伝えしましたが、最後に早期離職対策を考えていく上で大切なことをお伝えします。

対策ありきはNG

早期離職対策では、

「この研修を行なったら、離職率が減る」
「このツールを導入すれば、人間関係が改善する」

など対策を先に考えることはNGです。

なぜなら、早期離職者が増えている原因や背景は会社によっても部署によってもいろいろな要因があり、それぞれのケースで対策を考える必要があるからです。

すべて解決してくれるような万能薬のような対策はないため、対策から考えるのはやめましょう。

自社の離職の分析から始めましょう

早期離職するきっかけや原因は、人によって違います。人間関係が原因で辞める方もいれば、仕事の内容に不満を感じて離職する方もいます。

まずは、会社の離職状況を分析して、どんなことが原因になっているのか、どんな理由で離職する方が多いのかを把握することからスタートしましょう。

自社の状況に合った対策を

自社の離職状況を把握した上で、どんな対策が有効であるのかを考えていきましょう。

ソフト面からのアプローチが有効な会社もあれば、ハード面から変えていかなければいけない会社もあるでしょう。たとえば、新しいツールを導入したにも関わらず、状況が改善されない場合にはチームビルディングやイベントを通じてソフトの側面で対策を考えた方がいいかもしれません。

会社の状況や目指す姿によっても対策は変わってくるため、状況に応じて対策を考えていく必要があります。

まとめ

今回は、早期離職対策を「ソフト面」と「ハード面」の2つに分けて、それぞれの特徴をお伝えしました。

ソフト面の対策が必要なのか、ハード面で大きな変化が必要なのかは、会社組織の状況や早期離職の傾向によって変わってくるでしょう。

「ソフト面」と「ハード面」のそれぞれの特徴を押さえた上で、まずは自社の早期離職の傾向を分析把握するところからぜひ取り組んでみてください。