オンラインでの研修は、ここ2年で激増しました。一時期、あらゆる研修は全てオンライン化するのではないかと思われたほどです。
しかし、新型コロナウイルスによる感染拡大が収まりつつある今、対面での研修に戻していこうとする動きも少しずつみられます。
そんな中で、次年度の新入社員研修をオンライン、対面のどちらで行うか迷っておられないでしょうか。
どちらの方法にも良さがあるのですが、研修の内容によってはオンラインでOKなテーマと、対面で行う方が効果的なテーマがあるのです。
今回は、新入社員研修においてオンラインでOKなテーマ、NGなテーマについてご紹介します。
本記事の要約
新入社員研修はやっぱり対面でやりたい?
カイラボでも次年度の研修について、多くご相談を頂いています。
その中で2022年4月の新入社員研修では、全体の6:4の割合で多くの会社が対面での研修を希望しています。新入社員研修は入社して初めての研修なので、ぜひ対面で研修を行いたいと考えている会社が多いようです。
しかし、対面研修の希望が多いというのは新入社員研修に限った結果です。管理職研修などになると、オンラインでの比率は逆に高くなる傾向にあります。
【解説動画】
こちらの記事はYouTubeにて動画解説もしております。ぜひ合わせてご参考ください。
対面研修を希望する理由
では、対面での研修を希望するのはどういった理由からなのでしょうか。
具体的な理由として、次のような事が挙げられます。
- 新入社員は会社に慣れるために出社が必要
- 同期の仲を深めるために直接会うのが重要
- そもそもテレワークは実施していない(やめた)
- オンラインでは研修効果が薄い
- 端末などの問題上対面でないと実施できない
以下に、詳しく見ていきましょう。
新入社員は会社に慣れるために出社が必要
研修のために出社を促すことで、新入社員に早く会社に慣れてもらいたいという希望があるためです。
また、毎日の出社を通して、社会人としての生活リズムを整えてほしいという思いもあります。
同期の仲を深めるために直接会うのが重要
直接顔を合わせて共に研修を受けることで、同期の仲や絆を深めてもらいたいという理由です。
そもそもテレワークは実施していない(やめた)
自社では元々テレワークを実施していないので、オンラインで研修を行わないというケースです。また、以前はテレワークを行っていたけれども、現在は行っていないからという場合も含まれます。
オンラインでは研修効果が薄い
以前はオンラインで研修を行っていたが、思ったほどの効果を得られなかったという理由です。
端末などの問題上対面でないと実施できない
研修時には、まだ新入社員のパソコンは用意できていない場合があります。かといって、個人のパソコンやスマートフォンで研修を行うのはセキュリティ上不安です。
このように、オンラインで研修を行いたくてもハード面が整っていないことで難しいというケースもあります。
オンライン研修を希望する理由
一方、オンラインで研修を希望するのは次のような理由からです。
- 全国の配属先から一か所に集めるのは困難
- 交通費、宿泊費を考えるとオンラインが良い
- 対面は必要最低限にして基本はオンラインで充分
- 全社的に研修はすべてオンラインに移行した
- 完全テレワークのためオンラインが基本
以下に詳しく見ていきましょう。
全国の配属先から一か所に集めるのは困難
全国に拠点や営業所、工場などの配属先がある場合は、研修のために一か所に人を集めるのは時間も労力も必要です。こういった場合はオンラインでの研修が都合が良いでしょう。
交通費、宿泊費を考えるとオンラインが良い
上と同様に、全国に拠点などがある場合、新入社員が研修で集まるために交通費や宿泊費が発生します。オンラインで研修を行えば、こういった負担をなくすことができます。
対面は必要最低限にして基本はオンラインで充分
研修をオンラインと対面での両方行うが、基本はオンライン中心で行うというケースです。
例えば入社式などは対面で行うけれど、カイラボに依頼する研修はオンラインで行うという場合もあります。これは入社してすぐの研修ではなく、4月の2、3週目以降に行う研修でよくみられます。
全社的に研修はすべてオンラインに移行した
全社的に研修はすべてオンラインに切り替えたため、新入社員研修も例外なくオンラインで行うというケースです。
完全テレワークのためオンラインが基本
業務は完全にテレワークにしたため、研修もオンラインを基本にしているというケースです。
オンライン研修でもOKなテーマ
研修が対面であってもオンラインであっても、どちらが良い・悪いということはありません。
しかし、テーマによってはオンラインでの研修に向くもの、向かないものがあります。
オンラインでも研修はOKだというテーマは、次のようになります。
- 基本マナー(言葉遣い、身だしなみなど)
- 社内ルールや業務手続き
- 先輩社員との座談会
- 商品知識
- その他、知識習得を主目的とする研修
以下に詳しく解説していきます。
基本マナー(言葉遣い、身だしなみなど)
言葉遣いや身だしなみなどの基本的なマナーに関しては、オンラインやEラーニングなどで充分学べるでしょう。
社内ルールや業務手続き
ルールブックがある、あるいはマニュアル化されているならば、オンラインでも研修は可能です。
対面でなければわかりづらいような物理的な業務手続きも中にはあるでしょう。しかし、基本的にはオンラインでも問題はありません。
先輩社員との座談会
工夫をすればオンラインでも充分行えます。社員が全国に散らばっているような企業では、移動に時間と労力がかかってきます。そういった負担を考えると座談会はオンライン形式で行うのが効果的でしょう。
もちろん対面ならではの良さもあるのですが、参加する社員の業務負担を考慮するとオンラインでも充分なのではないでしょうか。
商品知識
商品内容によって異なりますが、その商品の構造や歴史などはオンラインでの研修でも可能です。
その他、知識習得を主目的とする研修
その他、主な目的が知識の習得であるテーマに関しては、オンラインでの研修は可能だといえます。
オンライン研修がNGなテーマ
一方、オンラインでの研修が難しいテーマは次のようになります。
- 工場や設備、商品などの実物見学
- 実務上、対面で実施する内容の実習
また、オンラインで研修できなくはないけれども、避けたほうがよいテーマもあります。
- 自己開示系のテーマ
以下に詳しく解説していきます。
工場や設備、商品などの実物見学
工場や設備、商品などの実物を見学するのは、オンラインよりも実際にその場所に行って見学する方が効果的です。
動画や写真で見るよりも、実際にその場に行ってみることによって、匂いや熱さなど対象を五感で感じることによってさらに理解が深まるという良さがあるためです。
実務上、対面で実施する内容の実習
実際に物を使う、あるいは接客や工作などの実習は対面で研修を行う方がよいでしょう。オンラインでは、伝えるのが難しい内容です。
出来ればオンラインは避けたほうがいいテーマ
オンラインでも研修はできるのですが、対面で行うほうがより効果的なテーマは次になります。
自己開示系のテーマ
自己開示系の研修は、社員同士でお互いのことを知るために、幼少期から自分を振り返って話をしてもらうという内容になります。
これは、オンラインでも行えないことはありません。しかし、オンラインと対面では場の空気感が大きく異なります。
対面での場合、自分の話をして相手から共感を得られた時に感じる雰囲気や連帯感は、オンラインでは感じにくいものです。
しかし、完全に対面で行わなければならないというわけではありません。対面で行うことが難しければオンラインで行うこともできますし、自己開示の最初の部分はオンラインで行い、その後に続く深い部分は対面で行うこともできます。
まとめ
研修を対面かオンラインのどちらで行うかを選ぶにあたり、その目的を明確にすることが最も重要です。
なんとなく選ぶのではなく、なぜその方法で行うかをはっきりさせることが大切になります。
オンラインで比較的効果が得られやすいのは、知識習得系のテーマです。ただし、知識習得系のテーマであっても実施には多少の工夫が必要です。オンラインだからこそ、よりカリキュラムや講師の選定に対し慎重に考慮する必要があるでしょう。
オンラインと対面を、テーマによってうまく組み合わせて行うのも良い方法です。
例えば事前知識はオンラインやe-ラーニングで各自学んでおいてもらい、その上で後の研修を対面で行うというのも有効です。実際に、この方法を取り入れている会社もあります。
実際には、各社によって研修を行うにはオンラインの方が都合が良い、悪いといった事情があるでしょう。あくまでもこちらで述べたものは概論になりますので、ご事情により悩まれている場合は是非カイラボにご相談ください。
この記事が新入社員研修をオンラインか対面かどちらにするか、迷われた時の参考になれば幸いです。