高卒者の就職の在り方は、時代の流れとともにこれからますます変化していくことが考えられます。
企業は大卒の早期離職者だけでなく、高卒の早期離職者に対しても対策を具体的に考えていく必要があるでしょう。
高卒者の早期離職のきっかけや理由には、どんなものがあるのでしょうか。
この記事では高卒の早期離職の実態を、入社後に感じたギャップについての調査結果を踏まえてお伝えします。
この記事は、次の動画でも詳しく解説しています。こちらも是非ご参考ください。
本記事の要約
会社に感じたギャップの内容
高卒で入社後3年以内に離職した人へ実施したアンケートの中で、入社後に会社へ感じたギャップの内容は何かという調査がありました(株式会社ジンジブ調べ)。
その結果、ギャップが感じられた内容の上位に挙げられたのは、次の3つです。
- 人間関係43.7%
- 労働時間41.6%
- 業務内容 39.2%
その他に「待遇・福利厚生」や「キャリア制度」などが続き、「特にない」という回答もみられました。
これは入社後3年以内に離職した人と、現在もその会社で就業中の人の回答数を両方合わせた結果になります。
会社に感じたギャップの内容 離職有無での違い
それでは離職の有無で、会社に感じたギャップの内容に違いがみられるのでしょうか。
3年以内に離職した人と現在も就業中の人、それぞれが感じたギャップの内容の中で回答数に最も差があったのは「人間関係」でした。
現在もその職場で就業中の人で、入社前と後で人間関係にギャップを感じたと答えたのは26.9%でした。
一方入社後3年以内に離職した人で、人間関係にギャップを感じたと答えた人は40%以上となります。
このことから人間関係のギャップに関して、離職の有無で大きな差が開いていることがわかります。
高卒者の辞職の理由で、最も多いのは「人間関係」です。
入社前後における人間関係のギャップは、辞めるときの理由として大きいのかもしれません。
会社に感じたギャップの内容をランキングで整理すると、現在も就業している人の1位から3位は次のような結果になりました。
1位 業務内容
2位 労働時間
3位 人間関係
一方入社後3年以内に離職した人では、次のような結果でした。
1位 人間関係
2位 労働時間
3位 業務内容
現在も勤務中の人の結果と比較すると、1位と3位が入れ替わる結果になりました。
「人間関係」「労働時間」「勤務内容」の3つに関してギャップを感じている人が特に多いことから、企業側はこれらにギャップが生じないよう工夫していく必要があります。
その中でも特に、離職者の中では人間関係のギャップが大きいようにみられるので、対策を講じる必要があるかもしれません。
労働時間のギャップに関しては、「実際に聞いていた残業時間より少し多かった」「残業が多いと聞いていたが、実際やってみると辛かった」などが考えられます。
最近大卒者に対して、いかに入社前後のギャップをなくすかという動きがでています。
高卒者に関しても同様に、ギャップをなくすことが離職対策の重要なキーワードになるでしょう。
まとめ
高卒3年以内離職者の感じた、就職後会社に感じたギャップの1位は「人間関係」でした。
これは、離職理由にも直結しています。
勤務継続者と比べても、離職者の人間関係に関するギャップは労働時間や勤務内容より大きいという結果になりました。
例えば、会社ではこのようなことが起きているのかもしれません。
「面接も優しい人が来てくれていたので、入社前は優しい人が多い会社だと思っていた。ここなら安心して働けると思ったが、実際に入社して配属されてみるとそんなことはなかった。」
もう一つ特徴的な部分として、ギャップが「特にない」という離職者も10%以上みられました。
ギャップは特にないけれども辞める、という人が一定数いるということです。
企業側としては、ギャップがないのになぜ辞めるのか疑問に感じることでしょう。
早期離職の三大要因として、「存在承認」、「貢献実感」、「成長予感」というものがあります。
このうちの「成長予感が感じられない」という理由から、ギャップは特にないが離職するということもあるかもしれません。
今回は高卒者の早期離職について、入社前後のギャップの内容というキーワードでお伝えしました。
時代の流れから、高卒者の就職のあり方はおそらく今後変化がすすみ、大卒の場合に近くなってくることが予想されます。
カイラボでは、今までは大卒者の早期離職をメインに取り上げてきました。
しかし今後は、高卒者の早期離職もさらに注目を浴びてくることになるでしょう。
高卒者と大卒者では様々な違いがありますが、同じ人間のことなので離職対策に大きな差はないと考えられます。
そのため高卒者の離職対策にも、カイラボの他の記事でご紹介している対策を合わせてご参考いただければ幸いです。