コロナの前と後で、私たちの生活は大きく変化しました。
会社においてもコロナの影響で業績が悪化した会社があれば、巣ごもり需要でむしろ業績が上がった会社もあるでしょう。
コロナの前後によって、就職の人気ランキングにはどのような変化があったのでしょうか。
この記事では、コロナ前後での就職人気ランキングの変化について紹介します。
本記事の要約
マイナビ社の就職人気ランキング
今回紹介する就職人気ランキングは、株式会社マイナビが就活生を対象に実施している調査から発表されたものです。
1978年から実施されており、非常に歴史の長いランキングになります。
このランキングで上位になると、翌年の就活生からさらに人気がでることもあります。
そのため人事担当者にとっては、非常に順位が気になるランキングだといえるでしょう。
今回は、コロナ前後での就職人気ランキングの比較をしていきます。
1980年〜2020年までの長い期間における就職人気ランキングの変遷は、別の記事でも紹介しています。そちらも参考にしてください。
解説動画
こちらの記事の内容は、動画でも解説しています。ぜひこちらもご視聴ください。
2020年調査(2021年3月卒予定者)
はじめに、2020年調査から紹介します。こちらはコロナの直前に行われた調査になります。
文系総合ランキング
- JTBグループ
- 全日本空輸(ANA)
- 東京海上火災保険
- 日本航空(JAL)
- オリエンタルランド
- 伊藤忠商事
- ソニー
- 味の素
- ニトリ
- ソニーミュージックグループ
1位から5位では、3位の東京海上日動火災保険を除いてJTBや全日本空輸、日本航空などの旅行系、オリエンタルランドといったレジャー系が上位を占めています。
かつて人気ランキングの上位には、商社や銀行などが多くみられました。
しかしコロナ直前である2020年文系の大きな特徴として、旅行・レジャー系が上位にきていることがあげられます。
一方で、理系はこのような結果になります。
理系総合ランキング
- ソニー
- 味の素
- 富士通
- サントリーグループ
- トヨタ自動車
- NTTデータ
- カゴメ
- 資生堂
- 明治グループ
- 日立製作所
理系では電機、食品、IT、自動車などの各メーカーに幅広く人気が集まっていることが特徴です。特に電機系、IT系や食品系に人気があるというのが2020年の傾向です。
2020年卒(コロナ前)の状況
改めてコロナ前の2020年卒の状況をまとめます。
文系ではJTB・航空系・オリエンタルランドなどレジャー・旅行系が特に人気があるという結果になりました。
これは当時、国が観光立国を推進してインバウンド消費が増加したため、今後さらにこの業界が伸びていくだろうと予想されたことが背景にあります。
一方理系は、電機・IT系に加えて食品系も上位に入るという結果になりました。
2021年調査(2022年3月卒予定者)
コロナの後、前回の結果からどのように変わったのかをみていきましょう。
文系総合ランキング
- 東京海上日動火災保険
- 第一生命保険
- 味の素
- 伊藤忠商事
- ニトリ
- ソニーミュージックグループ
- バンダイ
- 損害保険ジャパン(損保ジャパン)
- サントリーグループ
- 講談社
文系では、旅行系・レジャー系は全て上位から名前がなくなりました。
太字で表されているのは前年度で10位内に入っていた会社です。つまり文系では、上位10社の内の5社は前年度でも上位だった会社ということになります。
そこに新しく第一生命、バンダイ、損保ジャパン、サントリー、講談社が上位に入っています。
一方で、理系はこのような結果になりました。
理系総合ランキング
- 味の素
- ソニーグループ
- サントリーグループ
- 明治グループ(明治・meiji seika ファルマ)
- トヨタ自動車
- NTTデータ
- キャノン
- 富士通
- カゴメ
- JR東海(東海旅客鉄道)
キャノン、JR東海を除く2社以外はほぼ太字であることから、理系では順位の差はあるものの前年度とほぼ変わらないといえます。
文系は旅行・レジャー系がなくなり、かわりにソニーミュージックやバンダイ、講談社などのエンタメ系や東京海上火災保険、損保ジャパン、第一生命など保険系が上位に来ているのが特徴になります。
2021年(コロナ後)の状況
文系ではレジャー・旅行系はランク外に落ち、代わりに保険・エンタメ系がランクインしました。
一方理系には、大きな変動はありませんでした。
興味深いのは、コロナで旅行業に逆風でもJR東海が上位にランクインしていることです。
JR東海といえば、所有する東海道新幹線はドル箱などと呼ばれ、圧倒的な強さを誇っていました。
コロナでJR東海グループ全体で業績が悪化し、一度走らせれば利益が出るという新幹線にも空席が目立つという状況に関わらず、人気上位に入ってくる底力には目をみはるものがあります。
今から約40年前は…
ちなみに、今から40年前はどのような状況だったのでしょうか。
20歳過ぎで大学を卒業して約40年勤めるとすると、現在65歳前後でそろそろ定年という方々が大学生だったのは1980年頃です。
今から約40年前、1980年の就職人気ランキングは今とどう変わっているのでしょうか。
1980年調査(1981年3月卒予定者)
文系の結果は、次のようになりました。
文系総合ランキング
- 三菱商事
- 公務員
- 三井物産
- サントリー
- 日本交通公社(JTB)
- 日本航空
- 電通
- 住友商事
- 東京海上火災
- 日本生命
2021年と似ているところもありますが、商社や公務員が多いところが特徴です。
一方、理系ではこのようになります。
理系総合ランキング
- 日立製作所
- 東京芝浦電気(東芝)
- 日本電気(NEC)
- 富士通
- 松下電器産業(パナソニック)
- 日産自動車
- ソニー
- 日本電信電話公社
- 鹿島建設
- 本田技研工業
理系では、電機メーカー系が上位に来ているのが違うところでしょうか。
もし40年前に人気企業へ入ったとしても、40年経つと人気は昔より翳りが出ているというようなこともあるかもしれませんね。
まとめ
今回は、コロナ前後で就職人気ランキングがどう変化したかについて見てきました。
文系はコロナ前後で、大きな人気の変動が起こりました。
一方理系では、あまり変わらなかったと言えます。
就職人気ランキングは、今後の社会環境の変化でまた大きく変わるかもしれません。
ランキングをあまり気にしすぎるのはよくありませんが、世相を反映している部分もあるので、そういった視点で見てみるのも面白いでしょう。
この人気ランキングを見て、就活生の方が就職活動における自分の軸を発見するきっかけになれば幸いです。また、以前は人気があった会社がなぜ人気だったのか、今はどうなっているのかなどを考察すると新しい発見があるかもしれません。
今回はコロナ前後でのランキングの変化を紹介しましたが、1980年から2020年までの変化は別の記事で紹介しています。そちらも、ぜひご参考ください。