2023年10月20日に、新規学卒者の3年以内離職率(早期離職率)が厚生労働省から発表されました。
今回は大卒の新卒3年以内離職率を従業員規模別で解説します。
2023年発表大卒の新卒3年以内の離職率の解説記事はこちらから
本記事の要約
大卒3年以内の従業員規模別早期離職率
厚生労働省が発表大卒新入社員の3年以内離職率は32.3%(2020年卒)ですが、企業の従業員規模によって差があります。
従業員規模別では5人未満の企業は54.1%ですが、会社の規模が大きくなるにつれて離職率が下がり、1000人以上は26.1%となっています。
従業員数が増えるほど早期離職率は減少する傾向にあります。言い換えれば「大手企業の方が辞めにくい」とも言えます。
(この記事の内容は、こちらの動画でも解説しています。)
大企業ではここ10年で早期離職率が増加傾向
中小企業に比べると大企業の早期離職率は低いのですが、2009年以降の数字に着目すると、違う事実が見えてきます。
実は大企業では2009年以降、早期離職率が上昇傾向にあります。一方で中小企業は2009年から2011年までは若干上昇しますが、その後はほぼ横ばいです。(下図参照)
大企業と中小企業の早期離職率の差は縮小傾向
大企業は上昇傾向で中小企業は横ばいのため、結果的に大企業と中小企業の早期離職率の差が小さくなっています。
大企業と全規模平均の早期離職率を比較すると、2004年卒は10.0pt差ありましたが、2020年卒は過去最小の6.2pt差です。年々、大企業と中小企業の早期離職率の差が縮小しているのがわかります。
これらのことから、今までは早期離職が起こりにくかった大企業で早期離職が起きるようになっていることが想定されます。大卒の早期離職率は20年前よりも低下しているにも関わらず「最近の若い人は辞める」というイメージがあるのは、「今までは若手の離職が少なく、若手が辞めるイメージが薄い大企業での若手の早期離職が増えている」ことも影響しているかもしれません。
まとめ
今回は従業員規模別の早期離職率を解説しました。大企業の方が早期離職率は低い傾向があります。この傾向は以前から変わりません。
しかし、大企業と中小企業の早期離職率の差は年々縮まっており、直近2年は過去最少です。大企業だから人が辞めない時代ではなくなりました。いまや企業規模に関わらず人手不足対策が求められる時代です。
にもかかわらず、離職対策については具体的に何をすれば良いのかわからない企業も多いのが実情ではないでしょうか。まずは今回ご紹介したような早期離職の実態を正しく把握するだけでも、社内での危機意識共有に役立ちます。
また、カイラボでは早期離職対策に関する情報をYoutubeでも解説していますので、是非ご覧ください。