「キャリア自律」に対しての関心は年々高まっていると言われます。
株式会社学情が行った「キャリア自律への関心が高くなっていると感じますか」の調査では、約50%の人が「高くなっている」と回答しています。
そこで今回は「キャリア自律の時代に会社はどこまで社員のキャリアを支援すべきか」をテーマにお伝えします。
こちらの記事はYouTubeにて動画解説もしています。
本記事の要約
キャリア自律への意識の高まり
株式会社学情が行った「キャリア自律への関心が高くなっていると感じますか」の調査結果を見ていきます。
回答した約半数の人は少なからず、キャリア自律への意識が高まっていることを感じています。
同様調査では人事担当者向けに「人事担当者がキャリア自律への関心が高くなっていると感じる世代」についても聞いています。結果は、「20代」と答えた人事担当者が最多であり72.3%でした。
キャリア自律への意識は「20代」が最も高いと感じられていることがわかります。
「Z世代」と呼ばれる若手のキャリア自律への意識は成長意欲の表れなのか、市場価値を意識しているからなのか、明確な理由はわかりません。ただし、若い人たちの間でキャリアへの意識が高まり、キャリアを自分で選択したいと考える人が多いのは事実です。
カイラボのYouTubeでは、関連して「Z世代の成長意欲」をテーマとした解説もおこなっています。
「Z世代の成長意欲」および人事担当者から見る「新入社員の価値観の変化」について併せてご覧いただくと、若い世代についての理解を深めるヒントにしていただけると思います。
若手はキャリアを自分で選択したい?
同じく株式会社学情が行った2024年に新社会人になる学生を対象にした「入社後のキャリアはどのように築いていきたいですか」の調査で、
・自分の希望に応じて選択したい・・・54.80%
・どちらかと言えば自分の希望に応じて選択したい・・・34.10%
「自分の希望に応じて選択したい」と回答した人が88.90%。約9割の若手が「キャリアを自分で選択したい」と考えています。
新社会人の9割が「自分でキャリアを選択したい」と思っていますが、企業はその思いにこたえられているでしょうか?
自分でキャリアを選択したいと思っているため、就職後もキャリアプランを考えたいと思っている人も多くいます。「就職後、自分のキャリアプランについて考えることに興味があるか?」という設問に対しては、以下のような結果になっています。
キャリアプランへの興味関心は高い?
・興味がある・・・48.0%
・どちらかと言えば興味がある・・・34.1%
「興味がある」と回答した人が、82.1%。
就職後のキャリアプラン構築についても高い関心がうかがえます。
キャリアの不安は退職につながる
キャリアが自己選択できないかもしれないなどのキャリアに対する不安は離職率も影響があると言われます。
株式会社ビズリーチの「退職者のキャリア観に関するアンケート(退職検討者の在籍企業に対する不満や悩み)」調査では「自分のキャリアの将来性」と回答した人が54.0%。自分のキャリアの将来性に不安を感じている人たちは、「会社でのキャリアが自分の望んだキャリアにならない」と思ったらやめていくという風に捉えることもできます。
カイラボでは、早期離職の3大要因(存在承認、貢献実感、成長予感)の内、3つのどれかが不足してしまうと離職につながると考えており、1位のキャリアに対する不安は成長予感の不足に該当します。
今後、ますます人手不足に悩む企業が増えたとき、企業には「入社後のキャリアをイメージしてもらえるか?」も人材確保に置いて重要になってきます。
まとめ
・社員が自分のキャリアを自分で選択する「キャリア自律」への関心は高まりつつある
・特に若い世代(20代)では キャリア自律の意識は強い
・将来のキャリアの不安は退職要因になる可能性も企業として「キャリア自律を促す」ことも大切
今回は「キャリア自律」というテーマで解説してきました。
会社が社員のキャリア自律を促すために必要なことの一つは社員自身がキャリアを選べるようにすることです。
一方で、キャリアにおいては偶発性も重要と言われています。「計画的な偶発(プランドハップンスタンス)」という言葉もあります。偶然が本人のキャリアの可能性を広げるというのは経験則的に正しいと感じる方も少なくないと思います。
どちらにせよ、キャリアは会社が決めることではなく社員一人ひとりが決めるものであるという考えを組織内で共有しておくことは非常に重要です。