株式会社カイラボでは企業の人材育成支援として様々な研修をご提供しています。本レポートでは2024年10月11日に加賀FEI株式会社様にご提供した「新入社員フォローアップ研修」の様子をご紹介します。
新入社員フォローアップ研修の目的は、入社後の振り返りを通じて自分の価値観や思考のクセに気付くとともに、今後のキャリアイメージを具体化して仕事に主体的に取り組めるようになることです。
様々な視点からのキャリアを振り返ることで入社後の自分の成長を実感するとともに、目指す姿とキャリアの軸を言語化していきます。
なお、本研修では、当社のパートナー企業であるTAC株式会社様と共に密に連携をとりながら、お客様の課題抽出から解決の方向性決めを共同して行いました。お客さまの課題に沿ったオーダーメイド型の研修をご提供しています。
研修概要
受講人数:14名
対 象:入社1年目の新入社員
時 間:9時〜17時(昼休憩一時間含む)
実施形式:対面
研修内容目次
1.これまでのリーダーシップとこれからのリーダーシップ
2.入社からこれまでの振り返り
3.大切にしたい価値観を探るキャリアアンカー診断
4.「私の仕事ノウハウ」作り
5.実践演習(5年後の同窓会・ダイアログ)
それでは、当日の様子を詳しくレポートしていきます。
本記事の要約
1. これまでのリーダーシップとこれからのリーダーシップ
アイスブレイク
カイラボの新入社員研修の冒頭では、毎回アイスブレイクを取り入れています。研修の目的に応じて様々なアイスブレイクを使い分けていますが、今回はチームでお題の漢字を正しく書くワークを実施しました。
会社に関連する漢字でも意外と書けないことが多く、四苦八苦しながらも楽しみながら取り組む姿が印象的でした。
アイスブレイクの目的は、参加者同士の緊張をほぐし、研修の雰囲気を和らげることですが、今回のワークでは、自然とチーム内での本音のコミュニケーションが繰り広げられていました。
知っているはずの漢字でも意外と書けないことも多く、「世の中に存在しない漢字」をつくりだしてしまい思わず笑いが起きたり、正解したときには歓声が上がったりと、研修冒頭から和やかな空気が流れていました。
アイスブレイク終了後、いよいよ研修の本題に入ります。
リーダーとリーダーシップの違い
新入社員向けの研修ですが、カイラボでは敢えて最初に「リーダーとリーダーシップの違い」についてお伝えしています。
「皆さんは“リーダー”と“リーダーシップ”の違いはなんだと思いますか?」と講師が問いかけると、
ある受講者からは「“リーダーシップ”とは役割に必要な能力だと思います。自分はまだ、学ぶフェーズかな?」という回答が返ってきました。
カイラボはリーダーの定義を「チームの目的達成のためにメンバーを率いる役割」、リーダーシップの定義を「チームの目的達成のために、周囲にいい影響を与える発言や行動」としています。リーダーではなくても、それがたとえ新入社員であっても、周囲にいい影響を与える発言や行動は可能です。
受講者の皆さんには、研修中にも「リーダーシップをしっかりと発揮してほしい」ということをお伝えし、研修の本格スタートです。
2.入社からこれまでの振り返り
キャリアの振り返り
最初のワークは入社後からのこれまでの仕事の振り返りです。
忙しいと仕事の振り返りはおろそかにしてしまいがちですが、キャリア形成において仕事の振り返りは非常に重要です。
なぜなら、人は心から興味を持てないことに努力を続けられないからです。自分の興味や関心を知るために振り返りは効果的です。
今回の研修では以下の3問を通じて入社からこれまでを振り返ってもらいました。受講者の方の実際の回答も併せてご紹介します。
あなたが自社に入社した理由は?
・面接の時にフィードバックを丁寧に貰えたから。
・最終面接から翌日に内定を貰えたから。
今の会社に入ってから仕事で嬉しかったこと、達成感があったこと5つ挙げるとしたら?
・上司に褒められた時。
・初任給をもらった時。
・議事録が段々と上手にまとめられるようになった時。
・新規のお客様から反応があった時。
・直属の上司以外の他部署の方からも認知いただけたこと。
今の会社に入ってから、仕事で辛かったことや、悔しかったことを5つ挙げるとしたら?
・コミュニケーションがうまく取れなかったとき。
・自分の意見がスッと出せないとき。
・時間内に仕事を終えられなくて残業が発生してしまい、会社に損をさせてしまったとき。
・新規開拓をしていて、商談のアポがとれるまでなかなかいけないとき。
キャリアについて定期的に振り返りをおこなっている方は少ないのではないでしょうか。
しかし自分にとって大切な価値観や、情熱を感じられるものを見つけるためにも、過去を振り返ることは欠かせません。
ヒーローズジャーニー キャリアを旅に例えて振り返る
次に、受講者の方の今までのキャリアを「英雄の旅」に例えてより深く振り返っていきます。
「英雄の旅(Hero’s Journey)」は、ジョーゼフ・キャンベルが提唱した物語の構造理論であり、世界中の神話に共通する物語の流れをフレームワークとしてまとめたものです。
「英雄の旅」のフレームワークは、多くの映画や文学作品でも見られ、特にヒット作の多くがこのプロットに基づいていると言われています。例えば、『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』シリーズなども英雄の旅の流れに沿っていると言われます。
「英雄の旅」は、映画や小説だけでなく、キャリア教育にも活用できます。
「英雄の旅」の視点で自らのキャリアを振返ることで、日頃は意識していない自分の内面に気が付くことができます。
今回の研修でも「英雄の旅」のフレームワークに沿ってキャリアの振り返りを行いました。実際の内容を一部抜粋してご紹介します。
あなたが仕事において大切にしている価値観や仕事を通じて達成したいこと(ミッション)は?
・周りから頼りにされるエンジニアになる。
・3つのPというマインドを大切にしている。(ポジティブ・プロアクティブ・プロフェッショナル)
上記①の価値観やミッションを絡めて「入社理由」を説明してください。
・様々なものづくりと関わり、エンジニアとして成長できると感じたから。
入社してから最初に訪れた試練は何でしたか?(あなたにとって「試練」であればことの大小は問いません)また、その試練をどのように乗り越えましたか?
・毎日早起きをすること
・一人暮らしでの節約
・仕事で覚えることが多すぎて何をしていいか分からなかった。
仕事であなたの力になってくれる人は誰がいますか?
・上司や先輩、友達
入社してから最大の試練は何でしたか?また、その試練をどのように乗り越えましたか?
・大きい案件を任せてもらえたとき
入社してからこれまでを振り返り、あなたが大切にしている価値観や、今のミッションを教えてください。
・フィードバックをもらって落ち込んでもなるべく引きずらない。
・きちんとメモをとって、指摘されたことは直す。
・資格を取得してどんどんキャリアを磨いていきたい。
・自分の大きな目標を見つけること。
3.大切にしたい価値観を探るキャリアアンカー診断
キャリアアンカー
英雄の旅を通じて過去を振り返った後は、キャリアアンカー診断をおこないます。
キャリアアンカーとは「自分がどんな仕事を大切にし、どんな仕事をしたいか」を知るための自己分析ツールです。キャリアに関する40個の質問に答えていただき、それを6段階で評価して集計します。その結果、自分が重視するキャリア志向が明らかになります。
たとえば、「自分のスキルを活かしたい人」は専門能力志向が、「自分で決めて動きたい人」は自立志向が強いと言えます。
他にも、「社会貢献志向」や「安定志向」など、さまざまなタイプがあります。自分のタイプを知ることで、自分が仕事において何を大切にしているのかを知るヒントになります。
今回の受講者の方には、グループ内で自分のキャリアアンカーの結果を共有し、その特徴にあてはまることや、それに関連するエピソードを振り返っていただきました。
「安定志向、自立志向、社会貢献志向でした。確かに部活とか一度決めたら引退するまでずっとやっているので、安定志向に当てはまるかもしれません。」
「調和志向でした。土日のお休みはなるべく何も考えない時間を作って、プライベートとキャリアのバランスをとるようにしています。」
自分が大切にしたいことを明確にした上で、理想のキャリアを実現するためには、発信し続けることが大事です。
周りに伝え続けていればキャリアを実現できるチャンスが増します。
自分のモチベーションポイントを探す
では、どのように周囲に自分のキャリア観を伝えていけば良いのでしょうか。具体的に伝えるための方法として、以下の質問に答えていただきます。
Q.就活生に「仕事のやりがいは何ですか?」と質問されたら、あなたはどのように返答しますか。
今回の受講者の方からはこんな回答がありました。
「私の仕事のやりがいは、目標や目的に対して自由にコミットできるところです。」
「RPGゲームのように、自分の好きなようにレベル上げができるところです。」
「上司から指摘や修正を何回も受けて、承諾を貰えた時の達成感にやりがいを感じます。」
「仕事を通して自分の成長を実感できるところです。」
誰かに説明しようとすると、自然と自分の価値観や考え方が表れやすくなります。
また自分の言葉でキャリア観を伝えることで、自らの価値観を整理し、明確にすることがこのワークの狙いです。
4.「私の仕事ノウハウ」作り
仕事のノウハウ
午前からこれまでの研修では、主に過去を振り返り、今後のキャリアの軸を考えていきました。
しかし、自分が描くキャリア観を実現するためには、仕事をうまく進めていく力が欠かせません。そのため、このワークでは、受講者の皆さんにこれまでの経験を振り返り、自分なりの「仕事のノウハウ」を考えてもらいます。
実際の受講者の方が考えた仕事のノウハウを一部ご紹介します。
ノウハウの内容 | ノウハウができたきっかけ・理由 |
言われたらすぐにやる | 「報告して」と言われていたが、後回しにしたら忘れてしまい上司に指摘された。 |
言い訳せず誠心誠意謝る | 失敗した時に正直に謝ると何も言われなかった。 |
お客様と直接話すときは、 できるだけカジュアルに会話する | フランクに接した方がお客様は情報を開示しやすいと営業時に感じた。 |
こうしたノウハウを積み重ねていくことが、自分だけの「キャリア資産」につながります。
キャリア資産には、「学習資産」「実践資産」「内省資産」の3つがあります。中でも、内省資産は自分の経験を振り返り、学びを深めることでしか得られない資産です。
内省資産は、チャレンジを任されやすい20代から30代のうちに積み上げていくことが特に重要です。
5年後の同窓会
最後の実践ワークとして、本日の研修で取り組んだキャリアアンカーを参考にしながら、以下のテーマで未来を想像していきます。テーマは「5年後の同窓会」です。
上記のような雑誌に「自分が特集されたことを同窓会で自慢する」というシチュエーションを想像して進めていきます。
「5年後の自分がどのようなことをしているのか?」について皆さんには以下の質問内容に基づいて考えていただきました。
- 最近どんな仕事をしている?
- 最近のプライベートはどんな感じ?
- 雑誌にインタビューされた!タイトルは?
- 雑誌に載った「私の信念」は?
- 今だから話せる、入社してから1番きつかったことは?
講師が「同窓会スタート!」と声をかけると、受講者の一人が「いやぁ〜ごめん、ごめん。仕事が長引いちゃってさぁ〜。」と、まるで実際の同窓会にいるかのようにしっかりと役になりきりながら同窓会を進めていきます。
5年後を具体的に想像することで、自分が成し遂げたい目標や信念を明確に言語化することが狙いです。
ある新入社員は「仕事で自動車部品を扱っているので、将来的にはドイツで駐在し、現地で自動車部品関連の仕事に携わりたい」という目標を語ってくれました。
それに対し「ちなみに、5年後には自動車業界、特にEV(電気自動車)はどうなっていると思う?」と講師が問いかけます。
目標は設定して終わりではありません。目標を実現するために「今の自分に何が不足しているのか」「目標達成に向けて何を学び、どのような経験を積む必要があるのか」を具体的に認識してもらうことが大切です。
この研修では「目標実現のためにやるべきことを明らかにする」ことを目指しています。
ダイアログ
最後に今日の集大成として受講者同士が輪になりダイアログ(語り合い)を行なっていただきました。テーマは下記の2つです。
1.「自分のキャリアにおいて大切にしたいことは何ですか?それに気づいたきっかけは何ですか?」
2.「自分の想いを大切にしながら、“仕事の充実度を今より10%あげるには”どんなことができそうですか?」
受講者の中には、キャリアを考えることに難しさを感じている方も少なくありませんでした。
しかし、時間は止まることなく進み、キャリアを考えなくても30代、40代と歳を重ねていきます。キャリアを計画的に考えずに過ごしてきた方々が、チームや組織を率いる立場になると、途端に困難に直面するケースが多く見受けられます。
実際に、そうした状況に直面した企業様からも多くのご相談をいただいています。そのため、若手社員の段階から、自分のキャリアを主体的に考え、取り組むことが重要です。
私たちカイラボでは、「キャリアは他者に委ねるものではなく、自らの手で構築するもの」という考えを重視しています。
まずは、自己の強みや可能性に目を向け、そこから計画的にキャリアを築いていくことが、将来的な成長と成功につながると考えているからです。
新入社員フォローアップ研修の受講者の方のご感想
今回の新入社員フォローアップ研修の受講者の方のご感想をご紹介いたします。
・今回の研修を通じて、職種が異なる人でも共感できるキャリアの悩みがあることに気づきました。
・自分は今まで悩まずに決断しがちでしたが、それは今までキャリアを深掘りしていなかったからだと気づきました。
・様々な人のキャリアの考え方を客観的に見たことで、自分の考え方にも若干の変化があったように思います。
・同期がどんな仕事をしているかを知ることができたのも良い経験でした。皆それぞれ大変な経験をしていることがわかり、「自分ももっと頑張らないといけない」と強く感じました。
・目先のことだけでなく、将来のことを見据えて仕事に取り組みたいと思います。キャリアアンカーで「自分は専門的に頼られたい人物」だとわかったため、製品知識をより深めるための勉強を進めていこうと考えています。
・この半年間の経験を通して、自分に足りない部分が見えたことは、大きな学びでした。これを成長の糧にして、今後の仕事に生かしていきたいと思います。
カイラボはお客様のオーダーに応じたカスタマイズ研修をご提供します。
カイラボの研修はお客様のご要望に応じて、カスタマイズしてご提供しています。教育・研修をご検討の際はお気軽にご相談ください。
また動画をご覧いただくことで、カイラボの研修の具体的な様子をより深くご理解いただけます。無料研修動画はこちらのリンクからご覧下さい。
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