リーダー研修におけるテーマの重要性

多くの企業にとってリーダー教育は大きな経営課題の一つです。組織の成長には、優れたリーダーの存在が欠かせません。

ただし、一言で“リーダー”と言っても、その役割は組織や状況によって異なります。役割が異なれば、求められる能力も異なるため、自社で求められるリーダーの役割から逆算してリーダー教育の内容を考える必要があります。

研修によるリーダー教育であれば、どんな研修テーマにするのかが重要です。「他社がやっているから」「流行りのテーマだから」などの理由で研修テーマを決めてしまうと、受講者の納得感も得にくく、リーダーの貴重な時間が無駄になってしまう危険性もあります。

テーマを適切に設定することは、教育・研修の効果を最大化するための最初の一歩といえます。


なぜテーマ選びが重要なのか?

リーダー研修のテーマを適切に設定できれば、研修の内容を現場ですぐに実践することができます。例えば、部下育成のテーマであれば、実際に部下との面談や目標設定に活用できる可能性があります。

一方で、テーマ選びを誤ると、受講者は「理屈はわかったけど、現場では使えない」「自分とは関係ない」と感じてしまい研修の効果が得にくくなります。

また、テーマを決める段階で研修目的を再確認することにもなるため、経営陣や人事部門が期待する目的との整合性の確認にもなります。


リーダー研修テーマのトレンド

リーダー研修は時代のトレンドの影響を受けやすい特徴があります。

近年のトレンドを知るヒントとして、5年に一度実施されているミドルマネージャーの能力開発調査(産業能率大学総合研究所)があります。

ミドルマネージャー(中間管理職)に求める能力の上位5つは以下の通りです。

1位 部下を育成する力

2位 職場の構想を描く力

3位 職場の課題を形成する力

4位 部下を率いていく力

5位 事業戦略を立案する力

上位5項目のうち、2位の職場の構想を描く力は前回調査の12位から大幅ランクアップしています。職場の構想を描くとは「職場の未来を描く力」とも言い換えられます。

つまり、多くの会社でミドルマネージャーに職場の未来を描いてほしいと思っていることがよくわかります。しかも、この5年でそのニーズが急激に高まっているのです。

出典:ミドルマネージャーの能力開発調査(産業能率大学総合研究所)

リーダー研修で選ばれる人気のテーマ例 

リーダー研修のテーマ設定に、企業の課題や特徴をふまえることが重要です。 とはいえ、多くの企業の求めるリーダー像に共通する部分もあります。また、リーダーに求められる能力は時代によっても変化します。

ここでは、最近のリーダー研修の人気テーマをいくつかご紹介します。今回ご紹介するのは以下の3つです。

1.ビジョンメイキングとコミュニケーション

2.問題解決と意思決定スキル

3.部下育成とオンボーディング

それぞれの内容について、以下でもう少し詳しくご説明します。


ビジョンメイキングとコミュニケーション

リーダーとしてチームを牽引するためには、チームメンバーに共有する明確なビジョンを描くことが重要です。ミドルマネージャーに「職場の構想を描く力」が求められていることからも、このことは明らかです。

ビジョンを描く力のことをビジョンメイキングと言います。ビジョンメイキングの研修では、目標から逆算してやるべきことを考えるバックキャスティング思考や、リーダー自身の価値観や個人のビジョンを言語化する方法を学びます。

また、そのビジョンをチームと共有し、共感や納得を得るためのコミュニケーションスキルを磨くことも不可欠です。最近では、リーダーがチームメンバーに何かを伝える方法の一つとしてストーリーテリングが注目されているほか、、傾聴と共感のコミュニケーションなども重要視されています。


問題解決と意思決定スキル

ビジネスの現場では日々、様々な問題の解決が求められます。

問題解決の研修では、ロジカルシンキングやデータ分析などの内容が一般的です。また、チームの問題解決力を高めるためにはリーダーのファシリテーションスキルも重要になります。そのためファシリテーション力の研修をリーダー向けに開催するケースも少なくありません。

ロジカルシンキングやデータ分析のスキルを学ぶことで、経験と勘に頼った意思決定の脱却が可能となるため、リーダーの意思決定に対するメンバーの納得感も高まります。

最終的に、問題解決と意思決定スキルを高めることは、企業全体の生産性向上にもつながります。


部下育成とオンボーディング

チームの成長には一人ひとりの成長を促す部下育成が欠かせません。

部下育成の研修では、業務の指導方法やティーチングスキルのほか、一人ひとりに合わせて目標達成を助けるコーチングスキルなどを学びます。最近では1on1を導入する企業も多いため、1on1の実践シミュレーションを研修内で行うケースもあります。

また、新たに組織に加わったメンバーをスムーズに戦力化するオンボーディングも注目されています。オンボーディングに重要な要素の一つが「組織内の誰が何を知っているかを知っている」ことです。これはトランザクティブメモリーと呼ばれます。研修でオンボーディングを学ぶ際には、組織内のトランザクティブメモリーを以下に新人に伝えるのかを考えることも有効です。


効果的なテーマ選定のポイント

リーダー研修のテーマを選ぶ際にトレンドを把握することは重要ですが、流行っているテーマを選べば良いわけではありません。自社のビジネスモデルや組織文化、リーダーの抱える課題などを総合的に考慮したうえでテーマ設定をしなければ充分な研修効果は期待できません。

まずは企業の目指す姿と研修目的を明確化したうえで、テーマを絞り込むことが大切です。また、受講者の経験年数や役職、スキルセットなどを踏まえ、実務に生かせるレベル感を意識することも重要です。


自社の目指す姿を言語化する

リーダー研修のテーマ設定において「自社はどのようなリーダーを求めているのか?」 を明確に言語化することが出発点です。

たとえば、急拡大するスタートアップであれば変化に強い柔軟性や決断力が必要かもしれませんし、大企業であれば組織横断的な調整力や周囲とのコミュニケーションが求められます。 目指すリーダー像が漠然としていると研修テーマと実務とのつながりが得にくく、研修後の実践につながりにくくなります。

企業理念や経営目標からリーダー像を逆算してテーマを抽出すれば、研修参加者の納得感も高まり、研修の効果が得られる可能性も高まります。


受講者の現状スキルと成長目標を把握する

テーマを決める際には、受講者のスキルレベルや役職、業務上の役割、業務内容などを把握することも重要です。新任管理職とベテラン管理職では、リーダー研修で学ぶべき内容が異なる場合もあります。

たとえば、新任管理職には基礎的なマネジメント知識が求められる一方、ベテランには若手社員とのコミュニケーション方法や時代に合わせた指導方法などが求められるかもしれません。そこで、事前のアンケートや面談を通じて受講者の課題感や伸ばしたい能力を洗い出し、研修内容に反映させると効果的です。受講者一人ひとりの現在地と成長ゴールを明確化することで、研修後の行動変容や成果も高まりやすくなります。


リーダー研修テーマ選定の失敗例と改善策

リーダー研修のテーマを慎重に選んだにも関わらず、「思ったほど成果が出なかった」というケースもあります。

ただし、一度失敗したから諦めるのはもったいないです。失敗からの学びを次回以降の研修に活かすことで、より有効な研修の実行が可能にあります。さらに、そうして蓄積された研修に関するノウハウは、リーダー研修だけでなく、他の教育研修の際にも活用できるため、組織としての人材育成力向上にもつながります。


内容が汎用的すぎて現場で活かせない

失敗例の一つとして多いのが、研修内容が「一般論」や「教科書的な理論」に終始し、実践に活かせないケースです。リーダー研修のテーマが広範囲になりすぎると、教科書的な知識は増えるものの「実際にどう行動すればいいのか?」があいまいになりがちです。その結果、受講者は研修後に実践に移せません。

改善策としては、事例研究や実践演習を組み合わせるなど、実践に近いシミュレーションを行うことが挙げられます。また、受講者に職場で実践できるタスクや目標を設定してもらい、振り返りの機会を設けることも、実践と学びの定着率には効果的です。

原因としては、自社の特殊性を考慮していない研修内容のため、受講者の納得感が高まらず、実務に活かせないことが考えられます。


参加者の課題に合わないテーマの選定

もう一つの失敗例は、参加者の課題やニーズに合わないテーマ設定になっているケースです。

たとえば、新規事業の立ち上げを任されているリーダーに対し、既存業務の効率化をテーマとする研修を提供しても、学びの実践がうまくかみ合わず成果が出にくいでしょう。

改善策としては、事前にアンケート等で受講者の悩みや課題を正確に把握し、その情報を反映したテーマを設定することが挙げられます。また、複数のテーマを用意し、受講者が現在直面している課題に応じてカスタマイズできるような柔軟な対応も大切です。受講者が直面している課題をテーマにすることで、研修への参加意欲も高まり、実践にもつなげやすくなります。


リーダー研修事例の紹介

最後に、カイラボのリーダー研修の事例をいくつかご紹介します。それぞれのリンク先に詳細のレポートあるので、ご覧ください。
なお、カイラボの研修はお客さまの目的、ご状況などに応じてカスタマイズして対応しています。「リーダー研修をやりたいけどテーマが決まっていない」という企業様にはテーマ設定からサポートいたします。

まずは話しを聞いてみたいという方はらページ下部の問合せフォームよりご連絡ください。

事例1 東京海上アシスタンス株式会社様 課長代理クラス対象 リーダー研修(7時間×2日間)

事例2 大手シンクタンクグループ企業様 次期リーダークラス対象 セルフリーダーシップ研修(7時間×2日間)

事例3 富士通Japanソリューションズ東京株式会社様 リーダークラス + 次期リーダークラス混合 ファシリテーション研修(8時間)

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