
株式会社カイラボでは企業の人材育成支援として様々な研修をご提供しています。本レポートでは2024年10月10日にご提供した「問題発見力向上研修」の様子をご紹介します。
問題発見力向上研修の目的は、ビジネスにおける問題の発見力の向上です。
なお、本研修では、当社のパートナー企業であるTAC株式会社様と共に密に連携をとりながら、お客様の課題抽出から解決の方向性決めを共同して行いました。お客さまの課題に沿ったオーダーメイド型の研修をご提供しています。
研修概要
受講人数:24人
対 象:受講を希望する社員
時 間:9時〜17時(昼休憩一時間含む)
実施形式:対面
研修内容目次
1. イントロダクション
2.問題発見力・問題設定力の重要性
3.問題発見のための基礎スキル
4. ありたい姿を描くためのポイント(SMART)
5.実践演習(自社の問題発見ワーク)
それでは、当日の様子を詳しくレポートしていきます。
本記事の要約
1.イントロダクション
研修冒頭に講師から「問題とは何か?」と問いかけます。受講者の皆さんからは「問題とは、困っている事」などの意見がでます。
問題とは「現状とありたい姿とのギャップ」です。そのため、問題には「現状」と「ありたい姿」の両方が必要となります。
今回の研修テーマである「問題発見」とは、現状とあるべき姿のギャップを発見する、また設定することといえます。
また、一般的には「問題解決力」の研修の方が聞き覚えのある方も多いと思います。カイラボでは問題発見力と問題解決力を以下の図のように整理しています。

ありたい姿と現状とのギャップを明確化し、問題を整理するまでが「問題発見力」です。そして問題を整理する部分の後半から解決策の立案&実行までが「問題解決力」です。
ところで、なぜ問題解決の手順の最初が「現状の把握」ではなく「ありたい姿」なのでしょうか。この点についても講師から投げかけます。
ある受講者から「現状を最初に認識してしまうと、目標値が低くなるのでは?」という意見が上がりました。まさにその通りです。
最初に「現状」を把握してしまうと、その状況に引きずられ、現実的な範囲でしか目標を設定できなくなるリスクがあります。
一方で、最初に「ありたい姿」を明確にすることで、現状に縛られない理想的なゴールを描くことができます。
2.問題発見力・問題設定力の重要性
ここまでの講義で「問題とはなにか」を定義したところで、受講者の皆様には、早速以下のワークに取り組んでいただきます。
ロジックツリーでラーメン屋を救え

現状把握のためのフレームワークとしてロジックツリーをご紹介します。
今回は「ラーメン屋を赤字から救う」という課題に取り組むため、まずは現状をロジックツリーで整理します。黄色の付箋には「事実」、緑色の付箋には「考えたこと」や「仮説」を分けて整理するよう進めていきます。
ロジックツリーは、問題の原因と結果を分解し、論理的に整理するための有効なツールです。
しかし、それを作成するだけで問題が解決するわけではありません。ツリーをもとに、解決策を「議論」することが必要です。
午前中までの研修をうけて受講者の方の感想
・「事実」「解決」「解決策」を整理するプロセスは、お客様との折衝の場面でも活用できると感じた。
・学んだ内容を、今後どのように仕事に結び付けていくかを考え始めている。
・過去に似たような取り組みを経験したことがあるが、今回の学びは仕事だけでなく、日常生活にも応用できそうだと思った。
3.ありたい姿を描く時のポイント
SMART
問題解決において、企業が陥りがちな課題の一つに「手段の目的化」があります。
手段の目的化とは本来の目的を見失い、目的達成のための手段である行動や施策そのものが目的となってしまう現象です。

そこで役立つのが、「SMART」のフレームワークです。です。
- Specific(具体的に)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Related(経営目標に関連した)
- Time-bound(時間制約がある)
この5つの項目が目標に必要な要件です。
ただし、カイラボでは目標において最も大事なのは、「当事者が目標を本当に達成したいと思えること」だと考えています。本当に達成したいと思えない目標は絵に描いた餅になってしまいます。
受講者の皆様にも、手段の目的化の体験事例と目標がうまくいかなかった経験をSMARTに当てはめて振り返り、話し合って頂きました。
実践演習
ここからは実践演習として「会社のありたい姿」を受講者の皆さんには考えてもらいます。

問題発見のために必要なのは「議論の可視化」です。
そのため、この研修では冒頭に「ホワイトボードを制する者は議論を制する」ことをお伝えし、グループワークの際にはホワイトボード(今回は模造紙で代用)を活用して議論していただきます。
議論の可視化において重要なのは発散と収束のプロセスを分けることです。
発散とは、自由なアイデアを出すプロセスです。一方、収束とは、出された意見やアイデアを整理し、最終的な結論や行動計画に向けてまとめていくプロセスです。
収束の際には、前提条件をそろえ、論点を共有することが非常に重要です。
今回の「ありたい姿を描く」ワークでは、受講者の皆様にSMARTのフレームワークを参考にしながら、議論の内容を整理していきました。
まずは「ありたい姿」についての意見の発散です。発散のフェーズでは、できるだけ多くのアイデアを書き出すことが大事です。
「書く」という行動を取り入れることで、思考が可視化され、議論がより深まりやすくなるためです。
ホワイトボード活用は問題発見に関わらず、日常の多くの業務で活用できるスキルのため、カイラボでは日常業務からホワイトボードを積極的に活用することを推奨しています。
PEST分析
発散と収束で出したアイデアを、次は「自分に影響する5年後の状況」と「会社に影響する5年後の状況」に分けるためにPEST分析をしてもらいます。
以下は実際にPEST分析によって受講者から出てきた意見の一部です。

PEST分析でできた内容を活用して、次はSWOT分析に落とし込んでいきます。
SWOT分析は現状を多角的に分析し整理するためのフレームワークです。「Strengths(強み)」、「Weaknesses(弱み)」、「Opportunities(機会)」、「Threats(脅威)」の4つの要素を整理することで、内外の状況を把握するために用いられます。
一般的にSWOT分析は現状把握のために使用されますが、カイラボではSWOT分析の前に「ありたい姿」の設定を行っています。
ありたい姿がない中でSWOT分析をしても、必要な情報を不要な情報の判断がつきにくいからです。
実際に受講者の方が考えたSWOT分析の例をご紹介します。

ワーク 会社のありたい姿を描く【問題=ありたい姿と現状のGAPは?】
最後にありたい姿と現状とのギャップ=「問題」を書き出し、整理します。
下記は実際の受講者のあるグループから出た内容の一例です。

上記の意見に対し講師から質問がありました。
「ホワイト企業の定義はなんですか?」
「知名度の向上のために、現状はどのような対策をしているのでしょうか?」
問題発見においても「具体性」は非常に重要です。問題は、抽象的であいまいな表現にするのではなく、具体的に、できれば定量的に表現することで、自然と問題解決のうち手も増えていきます。
最後に上記をもとに導き出した問題の「原因」を考えていただき、研修は終了となりました。
問題発見力向上研修のまとめ
最後に受講者の方からの感想として、
「いままで上層部が問題や解決策を考えていましたが、ボトムアップでやっていく必要があると感じました。何故なら現場の人が一番情報を持っているからです。」
というご意見をいただきました。
カイラボでは、「問題発見力向上研修」を通じて、ビジネスでの問題発見力の向上はもちろんですが、会社や部署の問題を「自分事」として捉え、現場からボトムアップで変えていける会社づくりのきっかけにしていただきたいと考えています。
現場の声や視点が組織の変革の原動力となり、より良い職場環境や組織づくりへとつながることを願っています。
カイラボはお客様のオーダーに応じたカスタマイズ研修をご提供します。
カイラボの研修はお客様のご要望に応じて、カスタマイズしてご提供しています。教育・研修をご検討の際はお気軽にご相談ください。
また動画をご覧いただくことで、カイラボの研修の具体的な様子をより深くご理解いただけます。無料研修動画はこちらのリンクからご覧下さい。
研修に関するお問い合わせは下記フォームよりご連絡ください。
研修に関するお問い合わせはこちら
