SNSやブログを見ていると、とにかくなんでもかんでも大企業叩きをしたり、「若いうちは中小企業にいくべき」と主張したりしている人がいます。一方で、「やっぱり大企業に就職すべき」と言う人もいて、どちらも自分の主張がどれだけ正しいのかを様々な体験談やデータをもとに説明しています。
大企業が良いのか、中小企業が良いのかなんていうのは、最後は結果論でしかないというのが私の考えです。そんなことを言ってしまうと元も子もないので、早期離職という観点から大企業と中小企業を比べてみましょう。
厚生労働省は大卒新卒者の事業所規模別3年以内離職率を発表しています。最新の発表は平成24年3月に大学を卒業した方々のデータで、グラフにしたのが下の図になります。
グラフを見てわかる通り、従業員数が多いほど3年以内離職率は低くなっています。5人未満の事業所は50%を超えていますが、1000人以上では22.8%と全体平均の32.3%よりも約10ポイント低いことがわかります。この傾向は平成24年3月卒に限ったことではなく、ほぼ毎年同じです。
一つ注意が必要なのは、このデータは「企業規模別」ではなくて「事業所規模別」となっている点です。例えば従業員数1200人のA社で本社200人、B工場600人、C工場400人だったとすると、本社とC工場は100人~499人に分類され、B工場は500人~999人に分類されます。従業員数が1000名以上だから、必ず1000人以上の事業所とは限りません。
1000人以上の事業所は、工場などの製造業が多いと考えると、全体平均の30%前後よりも製造業の3年以内離職率18.6%と近くなるのは自然なことなのかもしれません。
このデータだけをもって「やっぱり大企業の方が辞める人が少ないから、いい会社だ」などというつもりはありません。どんな理由で辞めて、辞めたその後がどうなっているのかを見なければ、そんな評価をすることはできません。
ただ、一つのデータとして従業員数が多い事業所ほど新卒は辞めにくいというのは事実です。
物事を判断するときは、様々な角度から観察することが重要ですし、そんなことは多くの人がわかっているはずです。にもかかわらず、一つの事柄で「こっちの方が良い、悪い」と判断してしまうことが一番危険です。
今回ご紹介したデータも厚生労働省のサイトを見れば同じようなデータがたくさん掲載されています。是非、みなさんも一度調べてみてください。
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