部下の報連相への対応は「おひたし」で

編集部

ビジネスの基本 報・連・相

ビジネスの基本である「報・連・相」は、多くの会社で社会人になるとすぐに教えられる仕事の基本です。新入社員の頃に「報連相を徹底しなさい」とか「報連相が遅い」とか言われた経験のある方も少なくないと思います。

報連相は主に部下が上司にするものですが、上司は部下からの「報・連・相」に対して、どのように対応したら良いのでしょうか?
上司がとるべき行動は「お・ひ・た・し」と言われます。

この記事では、部下からの報連相に対して上司がとるべき4つの行動「お・ひ・た・し」について解説します。

なお、この記事の内容はこちらの動画でも解説しています。

管理職が知っておきたい おひたし

部下からの報連相をうけた上司がやるべき4つの行動「おひたし」とは、次の言葉の頭文字を取ったものです。

  • 怒らない(お)
  • 否定しない(ひ)
  • 助ける(た)
  • 指示する(し)

おひたしの「お」は怒らないこと。
「ひ」は、「否定しない」の頭文字です。

相談を受けた時、部下が言ってきた内容に「そうじゃない」「それはダメだ」などといきなり否定せず、一度受け入れることが大切です。

「た」は「助ける」ですが、なかなか報連相をしてこない部下や、報告しても十分ではない、具体的に相談しない部下に対しては、上司の立場からひとこと言いたいこともあると思います。そういった部下にも、ただ自分で考えろというのではなく、やはり助ける、手を貸すことが必要です。

最後の「し」は「指示する」です。

相談を受けた時に、アドバイスをするのも指示に含みます。
例えば、顧客からクレームがあったという報告の時に、クレーム対応について全て任せてしまう、自分の責任なのだから自分でなんとかさせるという態度ではいけません。
対応の仕方を指示する、まずは顧客に一緒に謝りに行くなど、今後の方向性や役割分担をしっかり指示することが大切です。

怒る・否定するメリットはほぼない

「おひたし」のうち、「お」と「ひ」にあたる「怒る」と「否定する」。これらは、今のビジネス環境においてメリットが非常に少ない行為です。これらをあえて行う意味はありません。むしろ、メリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きいでしょう。

にもかかわらず、「怒る」「否定する」人には、自分に対する反骨心でがんばってほしい、相手への親心からやっているという言い分を持っている人もいます。しかし相手に頑張って欲しいのなら、反骨心を煽るよりも「あなたに頑張ってほしい」という期待を素直に伝えた方が効果は高くなります。とはいえ、相手を怒ることや否定したことが今まで一度もない方はいないと思います。

人間である以上、感情的になってしまうことはあります。しかし、それは感情が先走ってしまっている状態ですから、いかにその状況を起こさないかということも大切です。

もし「怒る」「否定する」といったコミュニケーションも時には必要だという考えならば、そうすることによるメリットとデメリットを見直してみてください。

果たしてメリットは大きいでしょうか。むしろ、リスクの方が大きいのではないでしょうか。

また、最近では管理職は怒ったり、否定しているつもりがないのにハラスメントと言われてしまうケースもあります。アンコンシャスバイアス(無意識のバイアス)がハラスメントの原因になっているかもしれません。

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意外と難しい「助ける」行動

おひたしの「た」は「助ける」でした。

誰かを「助ける」のは意外と難しいものです。
上司が部下からの「助けて下さい」のSOSサインを待っていると、大抵SOSが出た時には手遅れです。「助けて」と言ってきた時はに、もう手遅れなのです。
普段からの報連相の中で、ケアした方が良い点に注目すること。そして、早めに助け舟を出すことが重要です。

それには、日頃のコミュニケーションの中で変化を察するということがとても大事です。

あとは、自分自身の経験や入社してからのジョブローテーション、1〜3年目などでぶつかりがちな壁など、全員に当てはまらなくともある程度類推できるものはあるでしょう。

そのような、ありがちな困りごとを先回りして声をかけていく必要があります。

これは、若手社員に対してだけではありません。

5年目、10年目の社員や初めて主任になる人などにも当てはまります。

立場が変わると周囲の環境や周りの見方も変わってくるため、相手の最近の動向を見て、先回りして助け舟を出すというのも重要になるでしょう。

見落としがちな「指示」の重要性

最後は、「おひたし」の「し」である「指示する」です。
指示をすると裁量権を奪うことになるので、指示は良くないと考える人もいますが、実は指示はとても大事です。

確かに、仕事の裁量権がある方が仕事の充実度が高く、ストレス度は低くなるという研究結果もあり、仕事に裁量権を持たせることは重要です。

しかし、裁量権を持たせることと、何も教えない・指示しないことは違います。組織の方向性や目標、ルールなど最低限の内容は伝える必要がありますし、相手の知識やスキルが不足しているのであれば、具体的な解決策まで含めて「指示」することは業務を円滑に進めるうえでも、教育的な観点からも重要です。

業務への経験やスキルが不足しているのであれば、明確な指示が必要です。その際の注意点は「指示の根拠や理由・背景を伝えること」です。同じ指示でも「とにかくやれ」と言われるのか、「こういう理由があるから、こうやれ」と言われるのでは納得度も異なります。

指示出しは、「おひたし」の中でもかなり重要です。最近の管理職の悩みを聞いていると、この指示出しのところで悩んでいる人が多いように感じています。

まとめ

部下が「報・連・相」を意識するのに対して、上司は「おひたし」を意識するのが大切です。「ホウレンソウにはおひたし」と覚えれば、覚えやすいですね。「おひたし」の中でも、意外と出来ていないことが多いのは「助ける」と「指示」です。

「怒らない」「否定しない」の2つについては、近年、重要性の認識が広まり、企業のコンプライアンス意識の高まりなどもあり、実践できている企業は多いようです。
一方で指示の出し方は、管理職の多くの方が課題を持たれていると思います。指示しすぎると指示待ちの部下になってしまうと悩む方もいるかもしれませんが、業務知識やスキルが不足している相手には正しく指示することも大切です。
管理職の方々の「おひたし」に不安があるのなら、研修の実施も効果的です。
特に「否定しないでコミュニケーションをとる方法」や「指示待ち人間をつくらない指示の仕方」などは、一度学んでおくと、今後のマネジメントの幅を広げることにもつながります。

この記事に関する資料など

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