本記事の要約
ブラック企業が流行語になったのは2013年
「ブラック企業」が流行語に選ばれたのが2013年。この年の流行語大賞が「お・も・て・な・し」や「今でしょ」「じぇじぇじぇ」なので、けっこう昔のことのようにも感じます。
2013年以前から「ブラック企業」という言葉はインターネットを中心に使われていた言葉ですが、どちらかというとネット上のスラングに近く、一般的に使われるような言葉ではなかったように思います。
ブラック企業という言葉が一般化すると、何かにつけて「ブラックだ」という言葉が着られるようになりました。「ブラックバイト」「ブラック部活」などです。
基準があいまいだからこそ怖い「ブラック企業」
ニュースなどで報道される「ブラック企業」がやっている行為は許されるべきではありませんが、一方で、何をやったらブラックなのか、どこまでがセーフでどこからがアウトなのかの基準があいまいになってしまっているのも、また事実だと思います。
私たちカイラボのコンサルティングでは中小企業の経営者の方や管理職の方と一緒に仕事を進めさせていただくことが多いのですが、ブラックの基準があいまいであるがゆえに悩んでいる経営者や管理職の方は少なくありません。
この場で私がブラック企業の基準を明確にすることはできませんが、ブラック企業についての意識調査という、参考になるであろう調査があったのでご紹介します。
従業員としてはこれをやったらブラック企業
MS&AD基礎研究所株式会社が行った『「働き方」に関する意識調査』です。この調査の中で、18項目について、どの項目を満たしているとブラック企業だと思うかを聞いています。回答は「そう思う」「ややそう思う」「どちらでもない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の5段階です。
ここでは、「そう思う」と「ややそう思う」の合計値が高かった項目をご紹介します。
1位 定着率が悪い、離職率が高い
2位 人材不足が慢性化している
3位 サービス残業がある
個人的には「定着率が悪い、離職率が高い」が1位に来ているのは意外でした。私が早期離職防止コンサルティングをしていても、「辞める人がいるのは仕方がない」「人材の流動性は必要」という意見の方は多かったので、離職率よりはサービス残業や休日出社などの方が問題視する方は多い印象があったからです。
上位2つについては、この2つにあてはまるからブラック企業なのか、ブラック企業だから上記2つにあてはまっているのか、どちらも可能性がある問題だと思います。
現実に、ブラック企業という悪評があるから人が辞めていくという場合もありますし、内定辞退が多い会社は突然増えた会社が理由を調べたら口コミサイトで「ブラック企業」と書かれた記事があがっていたからだったというケースもあります。
サービス残業については、本来残業代は全額支給するものなので法令に従いましょうとしか言えません。とはいえ、最近では裁量労働制やみなし残業制の勤務形態があるだけで「ブラック企業」と思われてしまうことので、なぜその制度を導入しているのかについてもしっかりと説明できるようにしておきましょう。
ブラック企業と言われないようにするのが一番です
個人的には、ブラック企業という言葉は一人歩きしてしまっていて好きではありません。とはいえ、現代では経営者や人事の方が「ブラック企業とはどんなものか」を知らないわけにはいきません。「そんなことでブラック企業って言いやがって!」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、従業員側はどんな点をブラック企業としてみるのかを知っておいて損はありません。