人事担当者とOJT担当者がお互いに知っておきたいOJTのコツ

編集部

 

人材育成のためにOJT(オンザ ジョブトレーニング)を導入しても、人材育成がうまくいかない企業も少なくありません。 OJTを導入したのにうまく制度を運用できず、人材育成がうまくいかない企業には共通点があります。

それは、OJTを現場に丸投げしてしまうことです。

OJTという名のもとに現場に丸投げしてしまった結果、OJT担当者がどのように進めていいのかわからずに混乱してしまうのです。 今回は新入社員の育成を事例として、OJTの際に知っておきたいコツを、人事担当者、OJT担当者のそれぞれの視点からご紹介します。

人事担当者が知っておきたいOJT導入時のコツ

人事担当者が現場に丸投げしてしまうと人材育成は成功しません。丸投げするつもりはなくても、OJTの進め方は現場の指導担当の社員のやり方に依存してしまっているという企業も多くみられます。 ここでは、人事がOJTを現場に丸投げせず、OJTを通じた人材育成の質を高めるためのコツをご紹介します。

コツ1:OJT担当者の選び方

まずはOJT担当者の選び方です。
単純に年齢が近いから、同じ性別だからという縛りで選ぶ企業もありますが、そのような観点で選ぶとうまくいかない傾向があります。
それよりも、会社として今後この人に伸びていってほしいという期待をかけている人にOJT担当を任せると良いでしょう。OJT担当者自身にとってもマネジメントの練習の場となり、成長の機会となる効果も期待できます。

当然会社としても特に目をかけている人なので、業務の能力が高い方が必然的に候補に挙がってくると思います。 それ以外の方法としては、新入社員とOJT担当者のマッチングを見出す性格診断のようなツールを取り入れるのも一つの手です。

コツ2:OJTに入る前にOJT担当者と情報を共有する

OJTに入る前に、OJT担当者に何を伝えておくかも大切です。 期待している役割や、進める時の注意点など、事前に整理したポイントを伝えます。例えば、先述した性格診断を使う場合。新入社員とOJT担当者が性格的にマッチする場合もあれば、人員の問題で、全く違うタイプの人を担当とせざるを得ない場合もあります。 そのような場合には、今回の新入社員のタイプ、どのような場面でOJT担当者や新入社員がストレスを感じる可能性が高いかなどの懸念点やポイントを、OJT担当者にあらかじめ伝えておくことが大切です。 また、指導方法を事細かに伝えておく必要はありませんが、会社としての大きな育成方針を伝えておくと担当者も取り組みやすくなるでしょう。

コツ3:配属先の管理職に協力を要請する

配属先の管理職に協力を仰いでおくことも大切な準備の一つです。
課長や部長といった役職の方へ誰をOJT担当者に任命したか、担当者に共有している情報は何かなどの情報を伝えます。その上で、配属された新入社員だけでなく、OJT担当者のケアもお願いしますと伝えておくことで、OJT担当者の心の余裕が大きく変わります。 このように、事前に管理職の方としっかり連携をして、共通認識を持っておきましょう。

コツ4:新入社員と同じくらいOJT担当のケアも手厚く

新入社員と同様、OJT担当者のケアも必要です。
カイラボでもOJT担当者向け研修を行なっていますが、OJT担当になったこと自体に不安やプレッシャーを感じてる方は非常に多いです。実際、OJT担当がそのプレッシャーから潰れてしまうケースも少なからず見受けられます。大切な社員を守るためにも、新入社員を手厚くケアするだけでなく、OJT担当者に対しても声がけをしてあげてください。
「大丈夫ですか?」
「大変かと思いますが、悩みは無いですか?」
といった声がけや、定期的に面談の機会を設けるだけで、OJT担当者は安心します。OJT担当者が健全にOJTを行えるよう、サポートしてあげましょう。

OJT担当者が知っておきたいOJTのコツ

続けて、人事から任命されたOJT担当者自身が気をつけるべき3つのコツをまとめてお伝えします。

コツ1:仕事の目的や背景を説明する

仕事の内容や手順の説明をする前に、その仕事の目的や背景、なぜその仕事をするのかといった理由をしっかりと説明しましょう。 カイラボで新入社員に向けた研修をしていると、目的や背景がわからないことはできるだけ避けたいという思考になる方が多い印象を受けます。背景の説明をしっかりとしてあげるだけで、本人の仕事への納得感が大きく変わり、その吸収にも良い影響を与えます。
仕事の目的や背景を改めて考えることが、OJT担当者の成長にも繋がります。

コツ2:一人で抱え込まず、周囲に協力を要請する

責任感の強いOJT担当者ほど、一人で抱え込みがちです。
OJTにおいては、新入社員の育成の中心はOJT担当者ですが、その育成をOJT担当者だけが担うわけではありません。誰しも人間ですから、新入社員との相性が良くない場合や、相性が良くてもうまく行かない場合もあるでしょう。何か問題が起きた時に、一人でどうにかしようとせず、遠慮せずに周囲の協力を要請してください。 同僚、上司、場合によっては人事の方に協力を仰ぎましょう。それは、あなただけでなく、新入社員のためでもあるのです。

コツ3:コミュニケーションは量よりも頻度

新入社員とのコミュニケーションは、量よりも頻度を大切にしてください。
数ヶ月に一度の頻度で2〜3時間飲みに行くのも悪くはありませんが、それよりも、毎日の挨拶や日頃からのコミュニケーションが大切です。
例えば営業同行をした後、移動時間に「今日の商談どうだった?何%くらいの確率で決まると思う?」などと問いかけ、本人の話を聞いてみることです。
一日一回5分でも話をすると、一か月、一年単位でみれば多くの時間が取れます。これを何度も何度も繰り返していくことが大切です。
普段なかなか話ができないからまとめて時間を取るのではなく、一日5分でも捻出をして、毎日コミュニケーションを取ってみましょう。

現場に丸投げでせず社員が連携して新入社員を成長に導く

ここまで、人事担当者の視点、OJT担当者の視点、それぞれで気を付けていただきたいポイントを挙げてきました。 何より大切なのは、人事担当者、OJT担当者、配属先の管理職の連携です。
Off-JTの研修が終わったからあとは現場にお任せと切り分けるのではなく、お互いが連携しながら、新入社員をより早く確実に成長に導いていくという姿勢と連携を大切にしてみてください。