早期離職防止コンサルティングの会社として2012年にスタートしたカイラボですが、最近ではOJTに関する研修のご依頼も増えています。そこで、今回はOJTの本来の目的と進め方のポイントを簡単にまとめてみました。
本記事の要約
OJTがうまく機能しない会社は現場にスケジュールに沿って現場に丸投げしているだけ
人材育成のためにOJT期間を設けている企業は非常に多いと思います。一般的には研修期間終了後にOJT期間を設けてるケースが多いでしょう。
研修期間が短い会社では研修が2、3日でその後にすぐOJTというケースもあり、逆に研修が半年近くあり、10月1日からOJTという会社もあります。
ただ人材育成のためにOJT期間を設けていてもOJTがうまく機能していないケースも少なくありません。OJT期間が長くてもうまくいかない場合もあれば期間が短くても成功する場合もあります。
期間が長いか短いかよりも、目的に沿っていることが大切です。OJTの目的は現場での実務・実践を通じてしか得られない気付きや発見を促し、新人をより早く戦力化することです。しかし現実では、OJTの名の下に現場に新人を放り投げているだけのケースも見られます。
ではOJTをどう活用すればいいのか?OJTの進め方とともに解説します。
OJTの目的は実務を通じたスキル習得や経験値の獲得
OJTの目的は知識の習得ではなく、実務を通じて得られるスキルや経験値の獲得です
知識であれば研修所でも獲得可能です。例えば、研修所で営業のロールプレイングをやって営業とはこういうものだという風に教わっていたとしても、実務で営業をしてみると、お客さんの受け答えはシュミレーション通りいかないということがたくさんあります。また、シミュレーションではこれが正解でいい結果が得られたのだけれども、同じ事を実際お客さんにやったところクレームになってしまった。ということもあります。状況が違えば本来行動すべき内容は変わってくるのです。
実務を通じた気付きや発見を得ながら新入社員を育てていくというがOJTの大切な目的になっていきます。
OJTの進め方5つのコツ
OJTの目的を把握したうえで、どのように進めていけばいいのか、5つのコツをご紹介します。OJTの進め方5つのコツは以下の通りです。
- OJTは事前準備が重要
- 育成の目標設定(振り返りしやすい目標設定)と計画作り
- 目標に対しての定期的な振り返りとフィードバックを行う
- 状況に応じて目標や計画の見直し
- OJT中は新入社員とOJT担当者両方のケアが重要
1.OJTは事前準備が重要
OJT担当者を誰にするのかといった人選、OJT担当者が自分の役割を認識しているのか、といったOJT担当者への教育、管理職への方へ共通認識をもってもらうための協力要請が大切です。
2.育成の目標設定(振り返りしやすい目標設定)と計画作り
新入社員をいつまでにどのくらいのスキルを習得してもらうのかという設定や計画立てが大切です。たまに計画作りの時にマナーを身につける、一人前にするといった計画作りをする人がいますが、これだと目標を達成したかわからなくなってしまうので、定量評価して後で振り返りしやすいのがオススメです。
3.目標に対しての定期的な振り返りとフィードバックを行う
目標設定をしても振り返りを行わなければ忘れてしまう可能性があります。できるだけ頻度多く振り返って上げることが重要で、最低でも月に一回、出来れば週に一回行えると良いでしょう。
4.状況に応じて目標や計画の見直し
想定外の出来事や業務上のトラブル、低い頻度だが重要な案件が回ってきた。などいろいろな状況があり得ます。その際、計画に縛られ、柔軟に対応ができないと困ってしまいます。OJTの目的は新入社員をより早く戦力化することですので、たとえ本来の計画になかったとしても何か起こった場合、その方を他の仕事にアサインするのも必要になってくるケースもあると思います。随時目標などを見直すようにしてください。
5.OJT中は新入社員とOJT担当者両方のケアが重要
OJT担当者に指名されたかたの多くは、「本当に自分でいいのか?」「自分に務まるのか?」「パワハラと言われたどうしよう?」などの不安を持っています。
OJT担当者も教育する時に不安があるのだということを前提で経営者の方、人事の方などがしっかりケアするようにして下さい。
OJT担当者の育成力アップは経営陣や人事主導で行う
ここまで、OJTの目的と進め方5つのコツをお伝えしてきました。
OJTで大切なことは、OJTでしか出来ないことや、現場で気づいて初めて腹落ちすることを多く体験してもらうことです。そのためには、現場で仕事をしながら「見て学べ」ではなく、OJT担当者のフィードバック力やコミュニケーション力を駆使した育成が大切です。
多くのOJT担当者は人材育成について学んだことがありません。学んだことがなければ不安になるし、我流でやらざるを得ないのは仕方がありません。だからこそ、経営陣や人事が主体となって組織全体での人材育成力を上げていく取組みが重要です。