本記事の要約
アサーションとは?
「アサーション」や「アサーティブコミュニケーション」という言葉を聞いたことはありますか?
「Assertion」は、英語で「主張」という意味で使われています。相手に対して意見を伝えたいとき、主張の方法に困ったことはありませんか?今回の記事では、自分も相手も相互に尊重しながら意見を主張するコミュニケーションについて学ぶことで、良好な人間関係構築の手法を知ることができます。
この内容は動画でも解説しています。
3つの自己表現タイプと特徴
コミュニケーションにおける自分の意見の伝え方(自己表現)には3つのタイプがあると言われます。
・非主張的=自分が負ける。相手の言いなりになっても我慢する。
・攻撃的=自分が勝つ。相手を打ち負かし、自分の意見を押し通す。
・アサーティブ=お互いが勝つ。相互を尊重した素直で柔軟な対応。
それぞれの特徴を表したのが下の図です。
これらの3つのタイプは同じ人であっても立場や状況に表出するタイプが異なる場合があります。
例えば、上司と部下の関係では上司は攻撃的になりやすく、部下は非主張的になりやすいと言われます。部下が自分の意見を言えずに上司の言いなりになってしまうのは非主張コミュニケーションの典型です。
望ましいのは当然、アサーティブなコミュニケーションです。
アサーティブコミュニケーションの基本
アサーティブコミュニケーションを実現するために重要なことは2つです。
①自分の気持ちをできるだけ正確に表現すること
②できるだけ素直な気持ちを伝えること
自分の気持ちを伝えることが難しいとき、つい逃げたくなったり、その場を離れたくなったりすることもあるかもしれません。しかし、逃げてしまっては相手に自分の考えていることが伝わりません。遠まわしに伝えるのではなく、自分の気持ちをできるだけ正確に素直に伝えることがアサーティブコミュニケーションの鍵です。
コツとしては、「私は(こんな状況)だから〇〇な気持ち」のように、自分の置かれた状況と合わせて率直な感情を言葉にすることで周囲にも伝わりやすくなります。
ただし、注意点もあります。
思いこみや、「あるべき論」はアサーティブコミュニケーションの阻害要因となる危険があります。思い込みや「あるべき論」には以下のようなものがあります。
・部下は上司の言うことに反論せずに従うべきだ。
・相手は現場のことをわかっていない人だ。
・新人だから大した知識はないに違いない。
これらの思い込みがあると無意識のうちに攻撃的な表現になっている危険性があります。
無意識のコミュニケーションをすぐに直すのは難しいかもしれませんが、自身のコミュニケーションが思い込みや「あるべき論」に支配されていないかを振返ることも大切です。
無意識のあるべき論はアンコンシャスバイアスとも呼ばれます。最近ではアンコンシャスバイアスに関する研修を実施する企業も多くなっています。例えば、三菱総研のグループ会社である三菱総研DCS社では、全管理職にアンコンシャスバイアスに関するオンライン研修を実施しています。下記より研修の様子をご覧いただけます。
アサーティブコミュニケーション実現のコツ DESC法
DESC法とは、Describe(描写する)、Express/Explain(説明する)、Suggest/Specify(提案する)、Choose(選択肢を示す)の頭文字をとった、アサーティブコミュニケーション実現のためのポイントです。
DESC法の例として「今週中に提案書が欲しいと言われたが、今週中の対応が難しい場合」を考えてみましょう。描写、説明、提案、選択のそれぞれで、以下のような説明をすれば、相手に対して攻撃的にならず、一方で相手の言い分を我慢して飲み込むわけでもなく、建設的なコミュニケーションが可能になります。
※現実のビジネスではもっと複雑に状況が絡み合っているため、今回は一例として参考にしてください。
描写:今回の提案書作成は他部門も含めた社内会議が必要。今週は自分の予定がいっぱいで社内会議する時間がない。
説明:申し訳ありません。今週中のご提案は難しいです。他部門と調整が必要なのでもう少しお時間が欲しいです。
提案:今週金曜日に電話で提案の方向性をご報告します。その際に正式な提案書提出のタイミングもお伝えします。
選択:先に概算の見積書だけご手配しましょうか?ご希望の納期には間に合いますのでご安心ください。
このように、一見困難に見える場面でもDESC法で一つひとつ分けて考えることで、アサーティブコミュニケーションの実現に近づくことが可能です。
まとめ
攻撃的でも非主張的でもなく、自分も相手も相互に尊重しながら意見を主張するアサーティブコミュニケーションを実践できれば、お互いを尊重しながら我慢もしない良好な関係を築くことが可能といわれます。
そのためには、思い込みや「あるべき論」ではなく、DESC法を意識したコミュニケーションの実践がポイントです。
普段は無意識に行っているコミュニケーションを、改めてアサーションを意識してみると、改善できるポイントがあるかもしれません。すぐには実践ができなくても少しずつ意識と行動を変えることでコミュニケーションは改善されていきます。
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