9月5日にガイアの夜明けで放送されたキリンがネット上で炎上中のようです。ライバルメーカーのアサヒとの激しいシェア争いの様子を密着する中で、営業会議後の飲み会の様子が放送されます。
本記事の要約
飲み会の席で担当営業マンを厳しく叱責する上司。
「覚悟が足らん」
「お前 どれだけやっとんねん」
「やれや」
「できるやろ」
など、上司は厳しい言葉を浴びせます。
精神論への激しい拒否反応
これに対してネット上では
「こんなことやっているからキリンはアサヒに勝てない」「パワハラじゃないの?」など否定的な意見が多く上がり、炎上状態になっています。
ネット上に上がっている意見を見てみると、否定的な意見が上がっている理由としては、
・業務時間外の飲み会で上司が一方的な説教をしている
・上司からの具体的なアドバイスではなく「覚悟が足りない」などの精神論ばかり
などがあげられます。
業務後に上司と飲みに行き、その場で上司から叱咤激励されるというのは今も昔も変わらず起きていることだと思います。
実際、居酒屋に行くとそういった場面に出会うことは数多くありますが、話を聞いていて「それで売上は上がらないでしょ」と思うことばかりです。
仕事において精神論が必要になる場面がないとは思いませんが、キリンとアサヒのような巨大企業のシェア争いにおいて、一人の営業マンの精神論だけで解決できることなどほとんどないでしょう。
「飲み会での精神論」は上司としては最大の愚行
今回の炎上は、多くの企業に対して上司のあり方を問うているのだと思います。
Twitterなどの反応を見ていても、部下を叱ることそのものへの拒否反応はそれほど多くありませんでした。拒否反応が大きかったのは「飲み会という場」で「精神論」で「強く叱責」していたことに対してです。。。例えばこれが、営業会議の場であればもう少し否定的な意見は少なかったでしょう。
また、飲み会の場であっても具体的な方法論を語っていたり、精神論であっても諭すように「一緒に頑張ろう。君ならできるよ。」というような内容であれば反応も違っていたのではないでしょうか。(もしかしたら、TVで放映されていない場面では具体的な方法論を語ったり、諭したりしていたのかもしれませんが。)
多くの場所で起きている「飲み会での精神論」的な指導
早期離職防止として管理職向けの研修をしていると、いまだに飲み会に連れていけば部下は懐柔できると信じている管理職の方々は少なくありません。「部下が『辞めたい』と言ってきたらどうしますか?」という質問に対して30人の管理職から「とりえず、飲みにつれていく」以外のこたえがあがらなかった会社もあります。飲みに行くのが有効な場面もたくさんあると思いますが、それだけでは通用しないこともあります。また、飲み会の場では納得したフリをしていても、帰ったらTwitterに「上司に飲みに連れていかれて説教された。ウザい。」と投稿しているかもしれません。
今回のTwitterなどのネット上の反応を見る限り、「飲み屋で説教」に対して肯定的な人は多くはないでしょう。「飲み屋で説教」は今や無能な上司の条件になっていると言ってしまっていいでしょう。
もしかしたら、今回のキリンの上司も中間管理職で厳しい立場にあり、精神的に余裕がない状態なのかもしれません。TVの撮影出来合いが入りすぎて普段はやらないことをやってしまったのかもしれません。ただ、どんな理由があったにせよ、今回TVで放送されたような振る舞いは、上司として求められるものではないことは確かだと思います。