最近、「エース社員や30歳前後の社員の退職が多くて悩んでいる」という相談が多くなっています。。エース社員とは「入社5~10年目で、管理職など会社の核を担ってもらいたい人」として有望視されています。

もし、あなたが期待している社員から突然、退職の申し出をされてしまったら?福利厚生や給料を上げる、その社員とお酒の席で説得する方法を考えることで頭がいっぱいになるでしょう。

しかし、エース社員が会社に求めているものはどれにも当てはまらない可能性があります。それでは、優秀な社員が辞めてしまう企業が確認したいポイントをご紹介します。

若手社員が辞める要因は「存在承認」「貢献実感」「成長予感」の3つ

早期離職対策を行う私たちカイラボでは早期離職を含む若手社員の離職要因として「存在承認」「貢献実感」「成長予感」の3つの概念を挙げています。

まずはこの3つの概念について説明します。

1.存在承認

存在承認とは「自分の存在や能力を周囲が認めてくれているかどうか」です。
上司に仕事の成果を褒められるよりも「あなたここに居ていいんだよ」と、自分の職場が安心・安全な場になっているかを指します。会社の居心地が良いことも存在承認に入ります。

他にも上司や同僚とのコミュニケーションの他に定量的・定性的の評価などが含まれます。一般的には「人間関係」や「評価」という言葉で語られることが多い要素です。一方、パワハラやセクハラがあると存在承認は下がります。
例えば、上司との関係がうまくいかない、職場の雰囲気になじめない、自分だけ失敗を責められる、営業ノルマが厳しくて毎日のように罵声を浴びせられるといった場合、存在承認は下がります。
存在承認が不足している状態は、会社と自分との「ミスマッチ」に似ているのです。

2.貢献実感

貢献実感とは「自分が本当にお客様の役に立っているのかどうか」です。自分が社会、顧客、会社、チーム、先輩、後輩に貢献できていると思えるかを指します。なお、誰に対して貢献したいのかは人によって差があり、社会への貢献を重視する人や顧客への貢献を重視する人など様々です。
例えば、企業理念は社会貢献や顧客貢献をうたっていても、社内に対しては会社への売上や利益に偏った貢献を求める場合も、社員はギャップを感じてしまいます。
さらに、自分は仕事でもっと成果を出したいのに上司に指示を仰いでも、「特にない」と返されたら貢献実感も不足します。

 

3.成長予感

成長予感とは「現在から未来に向けて自分の成長に対する予感」です。
言い換えれば、この会社で働き続けることで、なりたい自分になれるのかどうかです。
会社が理想とするエース社員の姿と本人のなりたい姿が乖離している場合、会社側が期待をかけているエース候補であっても退職をしてしまうケースもあります。
優秀層の退職に悩んでいる企業にとって、成長予感は早期離職を防ぐ重要なキーワードです。

エース社員の成長予感を高めるために会社側ができる方法

ここまで若手社員が辞める原因に「存在承認」「貢献実感」「成長予感」の3つが挙げられること、エース社員は成長予感が感じられないと辞めてしまうことをお伝えしました。
エース社員に成長予感を持ってもらうには、ロールモデルとなる先輩社員や管理職の育成が必要です。
ここからは、エース社員が成長予感を感じる具体的な方法をご紹介します。

1.エース社員の変化の兆候を知っておく

会社側の対策はエース社員が辞めたくなる「きっかけ」をいち早く察知することです。現段階でのカイラボの仮説ですが「存在承認はきっかけになりやすく、成長予感は決め手になりやすい傾向」があります。

とはいえ、エース社員の何が退職のきっかけや決め手になるかは個人差が大きく、その要素をすべて取り除くことは現実的にはありません。

ですから、メンバー同士で普段の様子との違いを共有しておきましょう。
例えば、変化の見極めに「以前は15分前には出社をしていたのに今ではギリギリに出社するようになった」「元気がなく口数が少なくなった」が挙げられます。

2.エース社員に管理職や先輩社員の魅力を見せること

管理職や先輩社員の魅力をみせることは、エース社員の成長予感を上げることにつながります。一方、以下のような管理職や先輩社員が会社にいる場合、エース社員の心は冷めていきます。

  • 管理職は部下に仕事を押し付けて自分は定時に帰る
  • 仕事に熱意がないので尊敬できない
  • 給料とボーナスだけが目当てで働いている

エース社員が成長予感を持てない企業にありがちな特徴に、管理職や先輩社員の仕事へのモチベーションの低さや、金銭的なモチベーションのみで働いていることが挙げられます。管理職や先輩社員の魅力なしにエース社員の成長予感は高まりません。とはいえすぐに管理職と先輩社員に仕事へのモチベーションを高めることは難しいので、少しずつ意識と言動を変えていきましょう。
その方法は一緒に働くメンバーがお互いの「Will・Can・Must」を把握しておくことです。
人材育成に関するフレームワークの「Will・Can・Must」を使って、カイラボでは以下のようにお伝えしています。

  • Will・・・やりたいこと、夢や目標
  • Can ・・・できること、能力や実績
  • Must・・・やるべきこと、役割や義務

給料を目当てに働く管理職の方は、自身のWillがハッキリしていないことが多く見られます。

「最近の若手社員にはWillがない、若い人のWillがわからない」と言っている管理職の方に限って、「あなたのWillを方ってください」というと話せない方が多いのです。そんな管理職に対してエース社員はWillを本音で語ってくれるでしょうか?
自身のwillすらもわからないのに、「背中を見て学べ」というマネジメントでは社員からの人望を得られません。

最近は仕事の目的や背景を説明しないと若手社員の育成が難しくなったと言われます。上司がメンバーに対して「仕事の目的」や「仕事の背景」を丁寧に説明することは大切ですが、それだけでは不十分です。
目的や背景を説明した上で、上司が「目標に向かって頑張っている」という姿をエース社員に見せることも、言葉では伝わらない大きな説得力を持ちます。

3.エース社員に今後のキャリアの見通しを見せること

成長予感をエース社員に持ってもらうには、「ロールモデルとなる管理職や先輩社員の育成」も必要です。
管理職や先輩社員は、エース社員にとって「〇〇年後の自分の姿」です。その姿が自分のなりたい姿と大きく乖離していれば、成長予感を持ってもらうことは難しいでしょう。
そこで、「多様性」と「インフォーマルな交流」がキーワードになります。

「多様性」とは社内に様々なキャリアパスを用意すること、「インフォーマルな交流」とは、部署を超えて多くの社員と非公式な交流ができるようにすることです。

社内に多様なキャリアがあると、エース社員は「Aの働き方は無理だとしてもBの働き方はできそう」と安心します。
例えば、サイボウズの「働き方宣言制度」は一人ひとりが自身の働き方や出勤日と時間を自由に実行していくスタイルがあります。
しかし、いくら社内に多様な働き方があっても、実際にその働き方をしている人との情報交換ができなくては意味がありません。

そこで、「インフォーマルな交流」の出番です。ランチ会、席替え制度、メンター制度など、部署間を超えた交流が図られている会社が存在します。
社内コミュニケーション活性化によってエース社員は、「頼りになる先輩社員がいた」と新しい発見ができます。さらに、退職しようか踏みとどまっていても「会社にいるメリット」を見出して、モチベーションが戻ってくると期待できるでしょう。

会社は多様なキャリアパスを用意してインフォーマルは交流を図ることは、退職に迷っているエース社員にとっての助け舟になります。

 

まとめ:エース社員が辞めないためには管理職が自らの行いを振り返ることが大切

若手社員が辞める要因として「存在承認」「成長実感」「成長予感」があるとお伝えしました。
特に、エース社員の退職を引き止めるには成長予感を感じさせることが極めて重要です。対策の一つにエース社員に管理職や先輩社員の魅力と今後のキャリアの見通しを見せる方法があります。

しかし、社員のキャリアを指南する立場である上司や先輩社員への教育が不足しているケースが多いと感じています。
そこで、カイラボでは「管理職のマネジメント能力が低い」「キャリアの見通しを立てられていない」とお悩みの会社に向けて研修を提供しています。
エース社員の離職を減らしたいのなら、まずは今いる社員を大切にしましょう。