若手社員を育てる方法の一つとして多くの企業で導入されているOJTですが、育成がうまくいかずに困っている話を聞く機会も少なくありません。
今回は「OJTで失敗しないための7つのNG行動」というテーマで、やってしまいがちなNG行動を紹介しながら、どうしたらOJTがうまくいくのかについてお伝えしていきます。

OJT担当者の多くは「人材育成」について教わっていない

「7つのNG行動」をお伝えする前に、まずは「OJTがうまくいかないことが多い理由」について解説します。
OJTを実施している企業は多いと思いますが、研修などを通じてなかなかうまくいかないという声をよく耳にします。うまくいかない大きな理由の一つが、OJT担当者の多くが「人材育成や人材教育について教わっていない」からです。

もちろん、個人的に勉強している方もたくさんいらっしゃいますが、多くのOJT担当者の方は人材育成などに関する教育や指導を受けていないので、人材育成に必要な知識やポイントを知らずにOJTを実施してしまっている現状があります。
また、自分の仕事が忙しく指導の方法や人材育成に関する知識習得まで手が回らない方も多いと思います。
こういった状況を打破するにはまずはOJT担当者に向けて「人材育成とはどういうものなのか?」といったテーマでOJTに関する研修や勉強会を開いてみるという方法も有効です。

OJTで失敗しないための7つのNG行動

さて、ここからはやりがちなOJTのNG行動をご紹介します。
今回はすでにOJTを担当されている方ではなく、これからOJTを担当する方向けに「OJTで失敗しないための7つのNG行動」をお伝えしていきます。既にOJTを担当されている方も「7つのNG行動」を読んでご自身のOJTの振り返りの参考にしてみてください。

私たちが考える「OJTで失敗しないための7つのNG行動」は以下の通りです。

  1.  できない、知らないと決めつける
  2.  年齢マウンティングをとる
  3.  ミスや失敗を本人のやる気のせいにする
  4.  事実ではなく、推測で叱る
  5.  感情的になって怒る
  6.  相手の話しを聞かない(一方的なフィードバックばかりする)
  7.  相手の変化に気付かない

1 できない、知らないと決めつける

一つ目は「できない、知らない」と決めつめてしまうということです。

よく耳にするのが「新入社員なんだがらできないんでしょ?新入社員なんだがらどうせ、知らないんでしょ?」というフレーズです。今はネットによっていろんな情報を事前に調べて知っていたり、研修でも高度な内容を教えたりしているため非常に多くの情報を知っている新入社員の方も多くなってきています。

そのため、初めから「知らない」と決めつけるのではなく、コミュニケーションをとりながら本人とできること、できないことを確認していきましょう。
会話を通じて確認した上で、”〇〇さんは、ここまでは知っているけど、こういう知識は知らないみたいだ”と本人の知識量に応じて、本人ができないこと、知らないことについて教えてあげるのがよいと私たちは考えます。

2 年齢マウンティングをとる

二つ目は、新入社員に「年齢マウンティングをとる」という行動です。年齢マウンティングというのは、たとえば

・〇〇さんは96年生まれだから〇〇って知らないよね?
・このネタ、アラサーにはわかるんだけどなぁ〜

といった年齢によってマウントをとるような発言が例として挙げられます。
こういった会話は会社ではありがちかもしれません。冗談として相手が受け取っている場合はまだいいのですが、人によっては笑いの対象にされているようで不快感を覚える場合もあります。また、同世代の先輩上司などがその年代でしかわからないネタで盛り上がってしまうと新入社員の方は、蚊帳の外に置かれてたような気分を 味わってしまうかもしれません。

こうした年齢でマウンティングとるような会話ではなく

「(新入社員の)〇〇さんの小さい頃ってどんな遊びしていたの?」

「小さいころに印象に残っているTVとか漫画ってある?」

というような新入社員とのコミュニケーションの幅が広がるような会話を心がけるようにしてください。

3 ミスや失敗を本人のやる気のせいにする

三つ目は、新入社員に「ミスや失敗を本人のやる気のせいにする」という行動です。新入社員ですから、多かれ少なかれ何らかのミスや失敗は起こすものです。新入社員がしてしまったミスや失敗に対して

  ・こんなミスをするのは、やる気なんだろ!

  ・こんなことも出来ないのは、仕事舐めてんだろ!

  ・社会人としての自覚がないからだろ!

というように、やる気や社会人としての自覚の欠如のせいにして指導をするOJT担当の方や先輩上司は多くいます。しかし、やる気があるかどうかはミスをした事実からだけではわかりませんし、やる気があって空回りしてミスや失敗をしているかもしれません。

失敗をした事実とその失敗をした原因は分けて考えるべきです。

たとえば、「新入社員が同じミスをしてしまった」という場合を考えてみましょう。上司やOJT担当者は、失敗をした事実についてはきちんと注意やフィードバックをする必要はあります。一方、失敗した原因については「前回もそのミスについては解決策を一緒に考えたけど、今回の仕事のやり方をもう一度整理してみよう」と、失敗をした原因について本人との会話の中で確認し指摘するようにしましょう。そうすることで、本人の理解度や習得度などもわかり、より適切なフィードバックが可能です。

4 事実ではなく、推測で叱る

4つ目のNG行動は「事実ではなく、推測で叱る」です。

ミスをした新入社員に対して「ミスをするのは、お前がやる気がないからだろ!」というような指導の仕方をする先輩上司の方はあなたの周りにいませんか?この場合、ミスをしたというのは「事実」ですが、やる気がないというのは先輩上司の「推測」でしかありません。

「ミスをするのは、お前がやる気がないからだろ!」というフィードバックは事実と推測とを一緒に相手に伝えていることになり、もしその推測が違っていた場合には信頼関係を損ねることになりますし、適切なフィードバックやフォローもできません。
では、どうすればいいのでしょうか。
たとえば

・失敗が続いてしまっている原因について本人の考えや思いを聞く

・仕事に対するやる気やモチベーションは変化がないか、聞いてみる

・OJT担当者側のフィードバックでわかりにくい点がないか、聞く

というように、ここでもやはり本人とのコミュニケーションを通じて、フィードバックしていくのが適切であると私たちは考えます。このような会話を行なっていくことで、実はプライベートでの悩み事にミスの原因があるとわかるかもしれません。ミスの原因を推測で判断してそのまま伝えるのではなく、まずは本人にその原因などについて聞いてみてください。

5 感情的になって怒る

五つ目は、「感情的になって怒る」ということです。

何度言っても同じミスが続いたり、相手の態度などに変化がなかった時に、怒りが込み上げて感情的になってしまう瞬間は誰にでもあると思います。ただ、その怒った状態のまま相手にぶつけて叱ってしまうと、怒られている新入社員の方としては、いい気分ではありませんし、あなたの話を聞く気をなくしてしまうかもしれません。
もし、指導の最中に怒りの感情が沸き起こってしまったときには

・一瞬、間を置いて深呼吸する

・自分の怒りが静まるまで少し時間を置く

などをしてから、フィードバックを再開してみてください。そうすることで、怒りながらフィードバックするよりも、相手はしっカリとあなたの指導を受け入れると私たちは考えます。

6 相手の話しを聞かない(一方的なフィードバックばかりする)

六つ目は、「相手の話を聞かない」ということです。

たとえば、30分の面談をするという場面を想定してみてください。この30分の時間配分が

・25分間、先輩上司からのフィードバック・指導

・5分間、新入社員の話を聞く

という一方的なフィードバックが多い面談だったとします。
このような一方通行的な面談をしてしまうと、本人の納得感を得ることは難しく面談を通じてのOJTの効果は薄れてしまいますし、こうした面談が繰り返されると「面談は、一方的に怒られる・指導されるもの」というイメージを持ってしまい、「30分黙って上司の話を聞いていればいいや..」と考える方も中には出てきます。

では、どのくらいの割合で相手の話とフィードバックの時間を考えればいいかというと、

・7〜8割は、相手の話を聞く

・2〜3割で、フィードバック

くらいの7:3ないしは8:2くらいで相手の話を聞くのが大切です。
このとき大切にしていただきたいのが「沈黙を恐れない」ことです。

話を聞くということを意識すると相手への質問が多くなりますが、そうすると新入社員の方がうまく言葉にできなかったり考え込んだりして沈黙が流れてしまう場面があるかと思います。こうした時に、OJT担当者の方はゆっくりと相手の言葉を待ってみてください。

1分ほど待ってみると、ちょっとずつ話の整理がつき、相手から自分の気持ちや考えが出てくることもあります。2人だけの面談で1分間の沈黙はかなり長く感じると思いますが、相手の話を引き出すためにも我慢することが大切です。

また、最初の面談から「面談というのは、あなたの話を聞く時間ですよ」ということを相手に伝えておくことも必要です。そうすることで、相手の話を大切にする面談がよりスムーズに進行するはずです。

7 相手の変化に気付かない

「メンタルの不調は、普段からの違いに気づいてあげることが大切」ということは、メンタルヘルスの業界でよく言われていることですが、これはOJTでも同じとこが言えます。
普段からの違いが表れやすいポイントの一つが身だしなみです。

たとえば

・普段はヒゲを剃っているのに、最近無精髭を生やすことが多い

・ノーメイクで出勤していることが多くなった

・ヘアースタイルを以前はセットしていたのに、近頃は何もせずに職場にきている

などが挙げられます。こうした身だしなみの変化はメンタルの不調が原因のケースもあるので注意しましょう。

普段からの違いに気づくためには、普段からどういう方なのかをよく見ておくことが大切です。よく観察し、普段の違いに気がついたら早め早めに声かけや面談を通じてフォローをしてあげてください。

OJT成功の根底にあるのは相互の信頼関係づくり

OJTでは「とにかく現場で実際の業務を見せる」ことが大切と考える方も多いと思いますが、OJTを成功させるためには、常日頃から相手のことを観察してこまめにコミュニケーションをとり、信頼関係を構築することが重要です。

信頼関係がきちんと築けていれば、新入社員としても、仮にOJT担当者から感情的に怒られたとしても「…あの先輩がここまで怒っているということは、本当にまずかったんだなぁ」と納得感や反省が自然と出てくると思います。

一方で、信頼関係ができていないとどれだけ理路整然と正論で怒られても「うざいなぁ…この先輩」と感じてしまいます。OJTを成功させるには日頃からコミュニケーションをとることで信頼関係を作ることがなにより大切です。

そして、その信頼関係を築いた上で、今回お伝えしたような7つのNG行動についてしないように意識することで、より効果的なOJTを実現してください。