企業研修にEラーニングを活用することに対してどんなイメージがありますか?
「Eラーニングを導入したけど、うまく活用できていない」
「研修担当者になったけど、Eラーニングで進めるべきか悩む」
なんて意見を聞くこともあります。
今回は、Eラーニングのメリットやデメリットについて解説しながら、うまく活用するためのポイントについてお伝えします。
本記事の要約
必ずおさえておくべきポイント
まずは、Eラーニング研修を導入する際に、必ずおさえておきたいポイントについてお伝えします。
研修の目的は何か?
まず大切なのは研修の目的です。「どんな課題感を解決するための研修なのか」または「どんなスキルや知識を身につけて欲しいための研修なのか」など、研修の目的を明確にしましょう。
目的がハッキリしていない研修を行っても、研修の意味があったのかどうかも測定できませんし、効果的な研修になることは難しくなります。
受講者のBefore&Afterをイメージする
研修を受ける前の状態がどんな状態で、受けた後にどんな状態になっているのかを測定するようにしましょう。
研修担当者の方は、まずは、研修前の知識やスキル、また職場の環境などをしっかりと把握しましょう。その上で、研修を受けたことでどのように変化したのかもアンケートやヒアリングを通じて、測定し、研修をやりっ放しにしないことが大切です。
今どんな状態で、研修後にどう変化して欲しいか
研修後に、どんなスキルを身につけて欲しいのか?どんな職場になってほしいのか?など、研修後に期待する状態を明確にしましょう。
そのためには、現在の状態も理解・把握しておく必要があります。現在の職場の課題感や状態、または対象社員の方のスキル感を把握した上で、研修後の理想像を言語化しておきましょう。
以上、3点を研修を導入する前に、研修担当者の方々の間で明確にしておき、社内で共通認識をもっておくことが非常に大切です。
動画解説
この記事の内容は動画でも解説しています。こちらの動画も是非ご覧ください。
Eラーニングの特徴
次に、Eラーニングの特徴について見ていきましょう
一方通行
1つ目のEラーニングの特徴は「一方通行」です。
Eラーニングの場合、録画した動画を見ながら学習を進めていくことになるため、講師からの説明を聞くだけの一方通行の学習スタイルになります。
個人で受講
2つ目のEラーニングの特徴は「個人で受講」です。
研修室などに複数人で集まって受講するのではなく、個人のPCやタブレットで、受講者1人で学習を進めていくことも特徴の一つです。
受講環境は個人依存
3つ目のEラーニングの特徴は「受講環境は個人依存」です。
受講環境は、人によっては自宅や会社で受ける方もいれば、喫茶店で受ける方もいるでしょう。また、場所だけではなく、Wifiの環境やPCの機器など学習環境が個人によって異なるのが特徴です。
Eラーニングのメリット
Eラーニングの特徴を押さえた上で、次にEラーニングのメリットについて解説していきます。
コスト
Eラーニングのメリットの1つ目は、「コスト面」です。
Eラーニングの場合、時間と場所を選ばずに受講できるため、通常のオフラインの研修よりも多くの方が受けることができます。
そのため、1人あたりのコストを下げることができます。
汎用性
2つ目のメリットは、「汎用性」です。
Eラーニングの場合、いろんな場面で使える内容が教材に多いこともメリットです。また、多くの方が受講できるため、共通言語化しやすいことも、Eラーニングの良さの一つです。
展開の容易さ
3つ目のメリットは、「展開の容易さ」です。
受講者が学習を始めるにあたり、動画のURLを伝えるだけですぐにでも学習をスタートさせることができます。Eラーニングの教材さえ決まれば、講師の手配や研修の準備などが不要なため、導入が容易であることもメリットです。
Eラーニングのデメリット
次に、Eラーニングのデメリットについて見ていきましょう。
効果測定
Eラーニングのデメリットの1つ目は「効果測定が難しい」点です。
「誰がどんな教材を見ているのか」や「研修中の受講者の反応はどうか?」などを把握することが難しいため、研修の効果測定がしずらい点がデメリットです。
学びの深さ
2つ目は「学びの深さが浅くなってしまう」点です。
集団でオフラインで受講する研修に比べて、Eラーニングの方が没入感が少なく学びが浅くなってしまうケースがあります。また、動画を見ながら内職をしたり、受講環境によっては集中が途切れてしまったりするため、学びの深さに差が出てしまうことがあります。
交流の欠如
3つ目のデメリットは「交流の欠如」です。
オフラインでの研修では、一つの場に集まって研修を受けるため、同期同士のつながりや、管理職やリーダー同志のつながりが出来るなど「交流が深まる」というメリットがあります。
一方、Eラーニングでは受講者同士の交流がないため、横の交流が深まらないなどのデメリットがあります。
Eラーニングを効果的に運用するための対策
Eラーニングのメリットとデメリットを押さえた上で、次に効果的に運用するための対策についてお伝えします。
学びの成果発揮の場づくり
Eラーニングを効果的に運用するためには「学びの成果発揮の場づくり」が大切です。Eラーニングで学んだことを実務で発揮する場を作ってあげるようにしましょう。
ただ、いきなり実務で試すことが難しいような職場や職種もあるでしょう。実務で発揮する場作りが難しい場合には、ケーススタディを通じてしても学びの成果を発揮させてみても良いかもしれません。
知識やスキルをつかっての問い・ケーススタディ
Eラーニングを受講した成果を発揮する場として、ケーススタディで試してみることも十分に効果的です。
ケーススタディの具体的な例としては、たとえば、
会計知識→同業界の財務指標クイズ
マーケティング→事例をもとに施作立案
1on1→ケーススタディで対策立案
などです。
ケーススタディは、オフラインでもオンラインでもどちらでも構いません。受講者や会社の状況に応じて設定してみましょう。
Eラーニングのアフターフォロー
さきほど、Eラーニングのデメリットとして
・効果測定が難しい
・交流の欠如
などを挙げましたが、Eラーニング受講後にこうしたケーススタディを会社側で提供することでデメリットを解消することができますので、是非活用してみて下さい。
また、「学びの深さが浅くなってしまう」点についても、Eラーニング後にアウトプットの場を作ることで学びをより深めるなど対策すると、Eラーニングのデメリットよりもメリットを享受できる研修になります。
効果測定やケーススタディはやりっぱなし厳禁
ケーススタディについては、やりっぱなしは厳禁です。
たとえば、「Eラーニングの受講が終わったら、この課題を解いて提出してください」とだけ伝えるような「投げっぱなし」は厳禁です。
受講者へ投げっ放しで終わるのではなく、学びの場をきちんと提供するなどのアフターフォローをすることが大切です。
また、ケーススタディだけではなく
・Eラーニングの感想シェアの掲示板をつくる
・Eラーニング後に不定期に勉強会を開催
することも、効果的なアフターフォローになるでしょう。
Eラーニングの感想シェアの掲示板をつくる
Eラーニングを受講した感想や質問などを気軽に投稿できるチャットルームや掲示板を作って、受講者に投稿してもらってもよいでしょう。
感想や質問をお互いにシェアすることで、学びが深まることが期待できます。
Eラーニング後に不定期に勉強会を開催
Eラーニング後に不定期に勉強会を開催してみても、学びを定着させたり交流を深めることができます。
毎月ではなくとも、たとえば、年に4回ほど同じ教材を受講した方で集まって、勉強会をしてみると効果測定としても有効活用できるでしょう。
Eラーニング導入時の絶対NG行為
次に、Eラーニングの研修を導入する上で絶対に避けて欲しいNG行為について、お伝えします。
「とりあえず受けといて」
上司の方で「とりあえず受けておいて」という発言をしがちな方も多いですが、絶対にNGなので注意しましょう。
Eラーニングでは、集団でのオフラインでの研修に比べて、学習のモチベーションや進度は個人に大きく依存します。
「とりあえず受けておいて」と言われてしまうと、受講者の方の学習意欲を削ぐことになるため、こうした発言はしないようにしてください。
「全員受講が必須です」
Eラーニングを受講する理由が「全員受けるから」だと、やらされている感を感じてしまう受講者も出てきます。
「なぜ、この研修が必要なのか?」や「どんなスキルを身につけて欲しいから」といった研修の目的を理解してもらった上で研修に臨んでもらうようにしましょう。
「評価に響きます」
言葉は悪いですが、脅迫するような伝え方で受講させるようなやり方は、絶対にやめましょう。
会社によっては、きちんと受講しているかどうかを監視するシステムをEラーニングに導入している会社も中にはあるようです。監視や脅迫するようなやり方では、学びが深まることはないと私たちカイラボでは考えています。
社員の方の内発的なモチベーションが高まるようなアプローチをすることが大切です。
以上、3点お伝えしましたが、
「Eラーニングを受けることが目的になってしまっている」
と研修の効果は非常に薄れてしまいます。また、その後の業務や職場の雰囲気にも影響が出てくるかもしれません。研修担当者の方や上司の方は、告知やアナウンスする際には注意するようにしましょう
Eラーニングの効果をあげるために必要なこと
最後に、効果をあげるために必要なことについてお伝えします。
研修の目的や背景の丁寧な説明
まずは、研修の目的や背景の丁寧な説明が非常に大切です。
なぜ、「この研修が必要なのか?」や「研修で解決していきたい社内の課題や理想像」などを丁寧に説明するようにしましょう。
目的や背景が受講者が納得理解しているかどうかで、研修の効果は大きく異なりますので是非意識してみてください。
受講者の方々への期待の通知
次に、「受講者の方々への期待」をしっかりと伝えることも効果的です。
・Eラーニングを受講した後で、どんな場面で活躍して欲しいのか
・Eラーニングで受講した内容を、どう活用してほしいのか
など、受講者にきちんと伝えておきましょう。どのように変化してほしいのかを伝えることで、受講者側もEラーニングを受ける意味が明確になります。
やりっ放しにしないアフターフォロー
最後は、「やりっ放しにしないアフターフォロー」です。
Eラーニングを受けてもらった後に、勉強会やケーススタディの場を用意したり、感想をシェアするチャットルームをつくったりするなど、アフターフォローをしっかりと行うようにしましょう。
Eラーニングを受講して終わりではなく、学びがより深まるように会社側からもアプローチをしてみてください。
まとめ
最近では多くの企業で導入するようになったEラーニングですが、運用の仕方によってはEラーニングのデメリットばかりが目立ってしまうケースもあります。
しかし、少しのことを意識するだけで、Eラーニングのメリットを十分に享受できる研修カリキュラムになります。
大掛かりなEラーニングのシステムの導入や大幅に研修内容を変えるのではなく、まずは出来るところから少しづつ取り組んで行ってみてください。