毎年秋に厚生労働省が「新規学卒者の離職状況」に関してのデータを早期離職率の最新データを発表しています。
中卒、高卒、大卒といった学歴別に、業種別、従業員規模別などのデータも公表しています。
2021年10月22日に厚生労働省より最新のデータの発表がありましたので、ご紹介します。今回は大卒編です。
本記事の要約
3年以内離職率は昨年よりも微減の31.2%
今回発表された大卒の3年以内離職率(カイラボでは早期離職率よ読んでいます)は、31.2%です。これは2018年に大学を卒業した方々のデータです。昨年は32.8%だったので、昨年比1.6ポイント減少したことになります。
厚生労働省が過去に発表しているデータをグラフにしたものがこちらです。
うえのグラフからもわかるように、厚生労働省が発表している早期離職率の過去最高、過去最低は以下の通りです。
過去最高 2000年卒 36.5%
過去最低 1992年卒 23.7%
1992年はバブル崩壊の影響が大きく、2000年はITバブルの影響があったとも言われています。
2021年は過去10年間で3番目の低さ
以前から大卒の早期離職率は「3年で3割」と言われており、今年の31.2%という数字もほぼ例年通りと見ることができます。
近年はおおむね32%前後で推移しており、今年(2018年卒)の31.2%は過去10年(2009年卒以降)では3番目の低さになります。ちなみにこの10年間で低かった順に卒業年と3年以内離職率は以下の通りです。
2009年卒 28.8%
2010年卒 31.0%
2018年卒 31.2%
2009年卒、2010年卒はリーマンショックの影響をうけており、就職や第二新卒の転職活動も厳しかった年代です。その次に低い水準となった背景には新型コロナウイルスによる将来への不安なども影響もあったものと考えられます。
2020年4月~2021年3月は転職控えだった可能性
今回、昨年比で1.6ポイント減少した早期離職率ですが、実は入社2年目までの離職率は2017年卒と2018年卒で0.1ポイントの差でした。
2017年卒 23.0%
2018年卒 22.9%
つまり、最後の1年で差がついた結果、早期離職率の差にも表れています。3年目での離職率はそれぞれ以下の通りです。
2017年卒 9.9%
2018年卒 8.3%
ここでの1.6ポイント差が、3年以内離職率の1.6ポイントさにそのままつながっていると言えそうです。
※統計の関係上、2年目での合計と3年目離職率の合計が3年以内離職率と若干差が出ることがあります。なお本記事で扱うデータはすべて厚生労働省の発表データに基づいています。
このことからも、2020年4月~2021年3月は新型コロナウイルスの影響などから転職を控えた方がいたことが、今回の結果につながったのではないかと思います。
ただ、業種別に見てみると、昨年よりも早期離職率が高まった業種もあります。次回の記事では業種別のデータについてお伝えします。