カッツモデル 職位ごとに求められるスキルの違い

編集部

カッツモデル_タイトル

「カッツモデル」とは、人材育成や研修の場では非常に有名な考え方の一つです。

 

カッツモデルは、4つの階層(役職)と3つのスキルで構成されており、各階層でどのようなスキルを重要視したらよいかを指しているため、人材育成と人事評価に活用することができます。

今回は、カッツモデルの詳細と、3つのスキルの中でも「コンプセプチュアルスキル(抽象化能力)」をメインに解説しています。

この記事の内容は動画解説でより詳しくご覧いただけます。

カッツモデルとは

カッツモデルは、役職によって求められるスキルの割合が異なります。

役職ごとに求められる具体的なスキル(内容)、というよりかは、全体像の傾向として、どのようなスキルを重要視したらよいか、を指しています。

【4つの役職】

  • 経営層(役員クラス)
  • 管理層(部長クラス)
  • 監督層(課長クラス)
  • 一般社員

【3つのスキル】

  • コンプセプチュアルスキル(抽象化能力)
  • ヒューマンスキル(対人関係能力)
  • テクニカルスキル(業務遂行能力)

そして、各階層でどのようなスキルを重要視したらよいかを指したカッツモデルが以下になります。

それでは、解説していきます。

テクニカルスキル(業務遂行能力)

テクニカルスキル(業務遂行能力)とは、例えば、word・Excel・PowerPointなどのオフィスソフトやメールソフトが使用できる、タイピングのスピードなど、業務が遂行できる能力のことを指します。

主に一般社員が必要とするスキルの割合が多いです。

ヒューマンスキル(対人関係能力)

ヒューマンスキル(対人関係能力)とは、コミュニケーション能力を含む対人関係に関する能力です。

すべての管理層に必要なスキルとなっています。

コンプセプチュアルスキル(抽象化能力)

コンプセプチュアルスキル(抽象化能力)とは、会社の方針や戦略を考える能力です。

主に管理層や経営層など、上に上がるほど必要な能力になります。

カッツモデルを能力開発に活用する

カッツモデルを人材育成や、能力開発に生かしていくにはどうしたらよいのでしょうか。

まず、役割によって求められる能力は異なりますので、キャリア形成における能力開発では、2つの視点が重要だと考えます。

  • 今、必要な能力を伸ばす
  • 将来必要になる能力を伸ばす

一般社員を例にすると

今、必要な能力を伸ばす⇒ 一般社員が必要なスキルはテクニカルスキル(業務遂行能力)です。しかし、業務を遂行する上で必要なwordやExcelのスキルを持ってない、ということであれば、wordやExcelの講座を開いたりするなどの対策が必要になる。

将来必要になる能力を伸ばす⇒ テクニカルスキル(業務遂行能力)ばかりに注視をし、将来必要になってくる、コンプセプチュアルスキル(抽象化能力)を疎かにすると、管理層や監督層に上がった際、自身の経験測でしか判断することができず、失敗しがちに。そうならないためにも、将来必要となる能力も、少しずつ伸ばしていく必要がある。

現在の自分に必要な能力を伸ばしつつ、将来必ず必要になる能力も併せてちょっとずつ伸ばしていけば、来るべき時が来た時に発揮できるでしょう。

将来を見据えた能力開発も大切だと考えます。

コンプセプチュアルスキルは敬遠されがち?

テクニカルスキル(業務遂行能力)とヒューマンスキル(対人関係能力)が高い人は、実務の面では非常に優秀と言われています。

たとえば、営業マンやコンサルタントで、テクニカルスキルとヒューマンスキルが高い人は、スーパー営業マンやスーパーコンサルタントになれる人が大勢います。

その背景には、たくさんの努力があり、結果を出してきた過程があります。

そのため、自身の成功体験がゆえに「コンプセプチュアルスキルなんて不要」と考えがちになるのも、また事実。

若いうちや、一般社員の時に、少しずつコンプセプチュアルスキルを先取りして、自身に取り込むことが重要になります。

しかし、あまりコンプセプチュアルスキルに偏りすぎるのもよくありません。

コンプセプチュアルに偏ると頭でっかちに?

先ほど、コンプセプチュアルスキルを不要、とする考え方について解説しましたが、役職が上がる前の段階からコンプセプチュアルスキルに偏りすりぎるのもよくありません。

たとえば、一般社員の時にMBA(経営学修士)を取得したり、海外の留学経験など、コンプセプチュアルスキルについて学ぶ機会が多かった人は、経営や戦略について考えることが出来るようになります。

しかし、求められる前からコンプセプチュアルスキルの思考が肥大化してしまうと、「頭でっかちで実務が出来ない人」「理屈っぽく実行力がない」「フレームワークをたくさん知ってるだけ」など、言われてしまうことがあるので要注意です。

やはり、何事もバランスが大事になってきます。

カッツモデルを人材育成に活かすには?

人材育成の場面では、流行りのテーマをつい追いがちになります。最近であれば、テレワークでのコミュニケーション、心理的な安全性、メンタルヘルスなどが挙げられます。

カイラボでも同テーマでサービスを提供していますので、これらの研修が悪いとは思いません。しかし、ただ流行りのテーマを追いかけるのではなく、将来必要になるスキルを先取りすることも大切だと考えます。

現役社員のスキルアップや、将来の昇給を見据えた学びの機会を用意しましょう。人材育成に研修を導入することも効果的です。
 
社員研修を提供する株式会社リスキルでは、「カッツ理論」を活用した人事戦略について解説しています。合わせてご覧ください。
「カッツ理論」を活用した人事戦略:三つの能力の鍛え方【三技能理論】

若手社員にコンセプチュアルスキルの研修を実施する際などには、カッツモデルを使用して「今は必要がないと思われることでも、将来必要になる」ことをしっかりと伝えることが重要です。

まとめ

このようなテーマは「どれが大事なのか」の議論になりがちですが、どれが大事、ではなくバランスが大切です。また、成功体験だけに縛られると、特定のスキルを軽視してしまうこともあるので、注意が必要です。

カッツモデルについては様々な書籍がでているので気になる方はチェックしてみてもいいかも知れません。

今回、カッツモデルをテーマにした背景には、組織の人材育成に活用してほしい、といった目的がありました。カイラボでは他にも人材育成に関するテーマをご紹介していますので、ぜひご覧ください。