社内コミュニケーション改善はソフトとハードの両面で

編集部

 

みなさんの会社では、社内コミュニケーションが円滑に行われているでしょうか?
リモートワークやテレワークが急増した昨今、コミュニケーションをとることは今まで以上に難しくなっています。
社内コミュニケーションの有り様に、頭を悩ませている会社も少なくありません。

社内コミュニケーションを改善するためには、ソフトとハードの両面を整えることが大切です。では、具体的にソフト面、ハード面での改善とはどのようなことを指すのでしょうか。

この記事では、社内コミュニケーションを改善する方法について詳しく解説していきます。

社内コミュニケーションの重要性

社内コミュニケーションは、業務においてどれほどの重要性をもつのでしょうか。

社員間のコミュニケーション不足が、業務の障害になるかどうかを調査した結果があります。

HR総研が行った『社内コミュニケーションに関するアンケート 2021』によると、社員のコミュニケーション不足が業務の障害になると思うと回答した人の割合は、以下のようになりました。

大いにそう思う 69%
ややそう思う  25%

約94%の人がコミュニケーション不足は業務の障害になると回答しています。

社員同士でコミュニケーション不足に陥ると、業務はうまく進まなくなります。業務におけるコミュニケーションは、極めて重要であるといえるでしょう。

【解説動画】

この記事の内容は、動画でも詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

コミュニケーションのハード・ソフトとは?

社内コミュニケーションは、ハード・ソフトの両面から改善することが大切です。

では、具体的にコミュニケーション改善におけるハード面、ソフト面というのはどのようなことを指すのでしょうか。

ハード面

ハード面とは、会社の制度や仕組みのことを指します。

これらを整えていくことで、社員間のコミュニケーションを改善していきます。

ソフト面

一方、ソフト面とは個人のコミュニケーションスキルを指します。

これは、ITリテラシーの要素も含みます。

例えば、チャットでのコミュニケーションを上手くとっていくスキルを身につけること。これも、ソフト面における対策といえるでしょう。

社内コミュニケーションの改善は、ハード面かソフト面どちらか一方に偏りがちです。しかし、対策は両方について行っていくことが重要なのです。

コミュニケーションのポイント ソフト面

コミュニケーションにおけるソフト面、つまり個人のコミュニケーションスキルには、重要な2つの要素があります。

  • 傾聴
  • 共感

この記事では詳しい説明は割愛しますが、他の記事や動画でも解説しています。興味を持った方は、ぜひご視聴ください。

ソフト面を改善するにあたって、相手の納得感を醸成するということが大切な考え方になります。

どれだけコミュニケーションをとろうとしても、最終的に相手の納得感を得られなければ意味がありません。

コミュニケーションにおいてスキルアップすべきなのは、傾聴と共感です。これらをスキルアップするのは、相手の納得感を醸成するためなのです。

つまり、相手の納得感を醸成するためのコミュニケーションスキルを習得することが重要です。

コミュニケーションのポイント ハード面

相手の納得感を醸成するということは、同様にハード面においても大切な考え方になります。

ハード面、つまり会社の制度や仕組みを改善するにあたって、とるべき方法は様々です。

例えば新しいコミュニケーションツールを入れる、週1回は必ずミーティングをするなど、会社やチームの目的、諸事情によって最適な方法は違うでしょう。

しかしいずれの方法であっても、事前にルール設定と社内でのルール共有は必ず行ってください。

ルールというと、面倒に思う人もいるかもしれません。

具体的にルール設定とルール共有についてイメージできるように、次に例を挙げて解説します。

例1 東京ディズニーリゾートの場合

東京ディズニーリゾートのホームページには、4つの行動基準として「SCSE」が紹介されています。

  • S(Safety)安全性
  • C(Courtesy)礼儀正しさ
  • S(Show)ショーとして見せる
  • E(Efficiency)効率

優先度は上から順に高くなります。つまり、何よりもまずはSafety(安全性)を大切に行動しているということです。

SCSEの具体的な行動例として、ホームページではモップの独特な拭き方についても紹介されています。

ここでは割愛しますが、SCSEを行動基準としてどのように行っているのか知りたい方は、ホームページをご覧ください。

例2 ヤマト運輸の場合

ヤマト運輸では、「安全第一 営業第二」という行動基準が掲げられています。

この行動基準が掲げられる以前は、倉庫内や運送中の事故が多くありました。

「安全第一」ということは常々から伝えていましたが、なかなか状況は改善されませんでした。

そこで、創業者の小倉昌男さんは「安全第一 営業第二」ということを社員に徹底しました。

利益と安全のうち、「安全」の方が大切だということをはっきりと言い切ったのです。

安全第一というのは、誰でもわかる当たり前のことです。

しかし、現場で利益と安全のどちらを選ぶかという判断は、営業所長や運転手によって異なっていました。

一つでも多く荷物を載せれば利益は上がりますが、その分事故の危険性も高まります。

以前は安全第一というものの、結局事故を起こさなければよいという考えが多かったのです。

しかし、「安全第一 営業第二」というルールを設定することで、より安全性の高い選択肢を選ぶべきだという行動基準を社内に共有していくことができました。

このように、事前のルール設定やルール共有は、各自で判断を迷ったときに何に基づいて判断するのかという指針になります。

例3 カイラボの場合

カイラボでは、社内における行動基準を以下のようなカードで示しています。

  • レッドカード(一度でもNGな行動) 無断欠勤、嘘をつく、情報を隠す
  • イエローカード(繰り返すのはNGな行動) わかったふりをする、わからないことを聞かない、時間を守らない、発言しない
  • ファール (やめてほしい行動)目的を意識しない行動、考えるだけで行動しない、報連相の不足、チャレンジしない
  • グリーンカード(好ましい行動) わかるまで意識的に聴く、行動しながら考える、新しいことに挑戦する、周囲への情報共有

事前にこれを提示し、フィードバックもこれに基づいて行います。

これは、インターンの学生にフィードバックするときにも使用しています。

インターンの期間中、毎日このカードで自分の行動を振り返ってもらいます。 また、他の人の行動で、グリーンカードを渡せるのはどんなときだったかを話し合う場面もあります。

このカードを活用することで、会社側におけるフィードバックの観点は明確に定まっていきます。また社員側にとっても、行動が会社にとって好ましいものに近づいてくるという利点があります。

このように、社内ルールやコミュニケーション基準を示すということは、ハード面の改善において重要です。

この上で、ソフト面においてもこのように傾聴や共感を行ってほしいという情報を提示していきます。

まとめ

コミュニケーションはソフト(個人のスキル)、ハード(制度、仕組み)のどちらか一方だけでなく、両面とも重要です。

またコミュニケーションにおいては、相手の納得感を大切にするということも重要な考え方です。

相手の納得感を高めるということは簡単ではありませんが、そのためにどうしたらよいのかをお互い考えながらコミュニケーションをとることで円滑になっていきます。

最後に、ハード面における事前のルール設定とルール周知も大切です。

人間は、後から言われると納得感が下がる傾向にあります。 そんなルールがあるなら最初から伝えておいてほしい、といった状況には誰しも一度は遭遇したことがあるのではないでしょうか。

なぜ自社ではこのようなルールを決めているのか、ということは事前に伝えておきましょう。 そうすることで、相手も行うべきでない事を慎み、行動しやすくなります。

カイラボで実施している、レッドカード、グリーンカードなどのルールカードの使用もおすすめです。 このカードを取り入れることで、かなり円滑にコミュニケーションができるようになったという会社の事例もあります。

コミュニケーション改善はすぐにできるものではありません。少しずつ、社員全員がコミュニケーションに納得感をもてるように改善していってください。