新人育成の優先順位は不安解消・自信・成長意欲醸成

編集部

新入社員の育成をどのように進めればよいか、悩んではいませんか。

自分たちの時代とは全く違う雰囲気や価値観を持っている新入社員に、どんな風に接したらいいかわからないという人もいるでしょう。

新人育成は、不安解消・自信・成長意欲の醸成という優先順位を守って進めれば、どんどん良い方向に変わっていきます。

しかしこの優先順位を間違ってしまうと、なかなか人が育たないかもしれません。

 

新人との関わり方に悩んでいる管理職・人事担当者の方は、この記事をぜひご参考ください。

新入社員育成に対してよく聞く声

4月は、新入社員が入社してくるタイミングです。この時期、新入社員の育成や教育に関して様々な声を聞きます。特に新入社員に関する次のような声は、管理職やOJT担当者の研修などでよく聞かれます。

  • 成長意欲が感じられない
  • 自分から質問してくるような積極性がない
  • 最近の若い人は昔みたいにガツガツしていない

これらは、確かにその通りだと感じることがあります。しかし一方で、新入社員の中でも強い成長意欲を持っている人に出会うこともあります。

また、最初はなかなか質問しない人でも、いったん心を開くと質問の量が増え、こちらが席を外すタイミングもなくなるほど質問してくれることもあるのです。

成長意欲が感じられない、積極性が足りないといったことは、ちょっとしたきっかけで変わることがよくあります。では、変わるきっかけに必要なことは何でしょうか。

解説動画

こちらの記事の内容は、動画でも解説しています。ぜひこちらもご視聴ください。

新入社員育成の優先順位

新入社員を育成するときの優先順位は、次のようになります。

  1. 不安解消
  2. 自信の醸成
  3. 成長意欲の醸成

新入社員育成でまず最初に行うのは、抱えている不安を解消してもらうことです。

自信を持たせるのは、不安を解消した次の段階で行います。

不安を解消するイメージとしては、仕事や会社に対して持っているマイナスのイメージを、まずはゼロまで上げることです。その上で、さらにゼロからプラスに上げていきます。

不安を抱え、自信が持てない時に「もっとみんな成長しよう」、「これができなきゃ成長しないよ」、「そんなんじゃ成長が止まっちゃうよ」などのプレッシャーをかけても逆効果です。

また、将来への前向きな展望を話したとしても、不安を抱えて自信がない状態ではそこに到達できるイメージが持てません。まずは不安を小さくして取り除いてから、自信がついたタイミングで楽しい未来をしっかり示唆すること。そうすれば、自分もその未来に到達したいと心の底から思えてくるでしょう。

最初に不安を解消してから自信を醸成していき、自信がついてきたタイミングで成長意欲を刺激して成長力の醸成をしていく、という順番こそが最も大切です。

なぜ最初に不安解消が必要なのか?

ではなぜ、最初に不安解消が必要なのでしょうか。

その理由は、今が情報にあふれている時代だからだといえます。

1台のスマートフォンさえあれば、様々な情報にいつでもアクセスできます。googleなどの検索エンジンで検索すれば、真偽がわからない情報が大量に表示されるでしょう。そんな状況ですから、自分にとって良い情報も悪い情報も目に入ってきます。

このような中で、多くの若手社員は情報の真偽がわからないまま不安だけが募っていくという状況に陥りがちです。

だからこそ、まずは不安をしっかりと取り除くことが大切です。

すでに相手がどのような情報に触れているかわからない状況だからこそ、何か不安を抱えているかもしれない、自信を失くすような情報を目にしたかもしれないという前提で接することは非常に大事になります。

具体的な声掛け例

上で示した優先順位について、具体的な声掛けの例は次のようになります。

  1. 不安解消 「完璧じゃなくて大丈夫」「10分でできる範囲で」
  2. 自信の醸成 「できてるよ!」「今の段階でこれなら十分」
  3. 成長意欲の醸成 「こう工夫するとさらに良いよ」「せっかくならこれもやる?」

不安の解消であれば、まずは「完璧じゃなくても大丈夫」、「10分でできる範囲でやってみましょうか」といったことを細かく何度も伝えていくことです。

例えば10分経った後に全部できていなかったとしても、今回は10分でできる範囲でいいから大丈夫だということを何回も伝えることで、まだ今の時点ではここまでできれば大丈夫なのだと安心できます。

その上で、自信の醸成として「上手にできているよ」、「今の段階だったら、これで全然大丈夫だよ」と伝えます。

このように伝えることで、今自分が考えている事や作ったもの、自分が発した情報がこれでいいのだと肯定され、自信になっていきます。

さらに成長意欲の醸成には「こういう風にするともっと良くなるからね」「せっかくなら、これもやってみる?」という様に伝えプラスアルファの事柄を求めることで、本人の成長力を刺激していきます。

ここでは声掛けの具体的な内容について、いくつか紹介しました。しかし実際に重要なのはお互いの関係性であり、この声掛けをしたらすぐ効果がでるというわけではありません。

例えば、伝える時に怒ってブスッとしたような表情で「完璧じゃなくて大丈夫だからね」と言われても、相手はプレッシャーを感じるでしょう。

そのような表情で言われたら、相手は自分が期待されていないと感じてしまい、却って不安になる可能性もあります。

明るく声掛けをするのと無表情でするのでは、相手が受ける印象は当然変わってきます。

上で具体的に示した内容の声掛けをしておけば大丈夫だというのではなく、声掛けする時の表情や、声掛けする前後の文脈も非常に大事になります。

まとめ

新人育成において、まずは不安の解消が大切です。自信をつけるより前に、不安を解消していくことが重要になります。

さらに、相手に不安があるのは当然だというスタンスで接することも大切です。

新入社員だから不安になるという前提で話をすること、例えば具体的な箇所を示して不安がないか確認したり、自分が新入社員の時に不安だったことを話して相手の不安を聞くのも効果的です。

また、不安の表現方法は人によって様々です。

不安だからもじもじするという表現の人もいれば、不安だとちょっと斜に構えるようなやり方をする人もいます。そういう人は、時には生意気に見える態度から、不安ではなく自信過剰になっていると思われることもあるでしょう。

しかし、よく話を聞いたり行動を観察していくと、そういう態度になるのは不安からであるということがわかってきます。

不安からきている行動だとわかれば、その場合も声掛けをして不安を取り除いていくことが必要です。

不安を取り除くには、失敗するのは何ら恥ずかしくないということや、むしろどんどん失敗していったほうが評価されるといったことを、言葉だけでなく表情や周囲との実際の接し方などで伝えていくことが大事になります。

今回は、新入社員との接し方というテーマでお伝えしました。

その他、新入社員や若手社員との接し方について、管理者向け・OJT担当者向け、メンター向けの記事もあります。接し方についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらもご参考ください。