最近、部下の育成について「コーチング」という言葉が注目されているのを知っていますか? また、コーチングの対比として「ティーチング」という言葉もあります。
そこで今回は「コーチングとティーチング」について解説します。
こちらの記事はYouTubeにて動画解説もしております。ぜひ参考にしてください!
コーチングとティーチング
まず、「コーチング」と「ティーチング」の意味を見みていきましょう。
これだけですと少しイメージしにくいかと思いますので、もう少し詳しく解説します。
ここで大切なことは、「どちらが良くて悪いのか」の優劣がある訳ではない、ということです。
コーチングをしている人で「コーチングはティーチングよりも素晴らしい」といった趣旨の発言をする人を稀に見かけますが、カイラボとしてはそのような認識はありません。
どちらも必要かつ重要なものであり、相手の状況や目的に応じた使い分けが重要になってきます。
最近はコーチングが人気傾向?
カイラボでは研修会や講演にて管理職の方々に「コーチングとティーチングどちらが重要だと思うか」と質問をすると「人気があるのはコーチング」「コーチングの方が重要」といった答えが圧倒的に多いです。
しかしこの考え方は、少し危険かもしれません。詳細は後ほど。
ティーチングとコーチングの使い分け
コーチングとティーチング、どちらも必要かつ重要なものであり、相手の状況や目的に応じた使い分けが重要とお伝えしました。
様々なケースや考え方があるかとは思いますが、カイラボが推奨している使い分けを図でまとめました。
①最初の段階「未経験の仕事」「新しいことへの挑戦」といった社員に対してはティーチングが重要だと考えます。たとえば、会社の事や仕事の進め方等、何もわかっていない新入社員にいきなり「営業に行ってこい!」と言っても無理です。かといって、何も知らない新入社員にコーチングで「あなたはどうしたいの?」「あなたはどういう風に仕事をしたらいいと思う?」と尋ねても答えるのは難しいでしょう。やはり、ある程度の”型”を教える必要があります。そのため、知識や技術を教える”ティーチング”が重要です。
②次に「ちょっと慣れてきた」「コツがわかりそう」「本当にこれでいいか不安」といった社員に対しては、コーチングが重要だと考えます。この時期は様々な疑問が湧いてくる時期ですが、ここで「こういう風にやるんだ!」とティーチングをしてしまうと本人が持っている疑問をつぶしてしまい、モチベーション低下にもつながります。本人の不安や疑問にしっかり耳を傾けて”コーチング”をすることが重要です。
③最後のステップ「コツをつかんだ」「次のステップに挑戦」「コツを周囲に教える」といった社員に対しては、コーチングとティーチングを半々に使い分けることが重要だと考えます。ある程度の自分のやり方が確立されている社員が多く、自分なりの”仕事に対するコツや思い”があるので、コーチングとティーチングどちらかに重きを置くのではなく、その時々の状況で”半々で使い分ける”ことが重要です。
ティーチングスキルのないコーチングの悲劇
先ほど「コーチングが人気傾向である」とお伝えしましたが「ティーチングスキルのないコーチングの悲劇」は避けたいものです。
たとえば
- 何もわからない相手に「あなたはどう思う?」地獄 ⇒ 聞かれている相手は「いいから早く教えてくれよ!」となります。知識を教えて実践後に聞く分にはいいですが、何も教えてない段階で「どう思う?」と聞いても相手からしたら地獄でしかないです。
- 過度に「なぜ」を繰り返す禅問答でお互いイライラ ⇒ 「なぜ」を言語化することは重要なことですが、際限のない禅問答になると、答えられない人と答えてもらえない人、お互いにとって地獄です。
- コーチングという名の誘導尋問 ⇒ これは上司と部下の関係よく見られるケースです。営業などでよく見られる光景ですが、たとえば「成績どうやって達成するの?」等、の返事として「今月中に100件訪問します」などと行動宣言。詰められて言わされたことだとしても目標が達成できなかった場合、また上司に「自分で言ったんだろ?」と詰められる・・・。これがコーチングという名の誘導尋問です。
上記のような「ティーチングスキルのないコーチングの悲劇」は、ティーチングの知識が乏しい中でコーチングを重要視しすぎたことが原因で起こることが多いです。
まとめ
何度もお伝えをしていますが、コーチングとティーチングどちらかに重きを置くのではなく、その時々の状況で使い分けることが重要です。
しかし原則、何も分からない相手にはティーチングからをお勧めします。
また、コーチングの乱用や誤用は少なくありません。何事も正しく学び、活用することが大切です。会社もしくは自身がコーチングに偏りすぎているかも?と感じたら、一度しっかりとティーチングについて学ぶと良いでしょう。